【獣医師監修】しつけの基本「おすわり」を愛犬に上手に教える方法|今すぐできる簡単4ステップを解説

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犬のしつけの基本とも言える「おすわり」は、犬と暮らす上で習得していると役に立つしつけのひとつです。そして、なかなか奥が深いしつけのひとつでもあります。

そこで今回は、おすわりの上手な教え方を、具体的な4つのステップでご紹介します。また、失敗しないためのコツもご紹介しますので、おすわりのしつけに苦手意識のある方はぜひ読んでみてください。

【獣医師監修】しつけの基本「おすわり」を愛犬に上手に教える方法|今すぐできる簡単4ステップを解説

目次

  1. おすわりを教える前に必要な準備
  2. 犬におすわりを教えるためのルール
  3. おすわりの教え方のポイント|簡単にできる4ステップ
  4. 犬がおすわりできないときの原因と解決のヒント
  5. しつけることが難しいときはプロの手を借りましょう
  6. 愛犬と一緒に暮らすうえで「おすわり」は大切なしつけのひとつ

おすわりを教える前に必要な準備

犬 おすわり

おすわりの教え方の具体的なステップを確認する前に、飼い主さんが準備しておくべきことをご紹介します。

集中できる環境を作る

まず、犬が落ち着ける集中できる環境を作るのがポイントです。犬が気になってしまうおもちゃを片付け、テレビやオーディオの音を消し、少し余裕を持ったスペースを確保してトレーニング環境を整えていきます。

特におすわりのしつけを行う場合には、犬の足が滑りにくい環境を作ってあげるのも大切です。おすわりがしにくい床だと、上手くいかない場合もあるため、足が滑りにくい素材のカーペットやマットを敷いてあげましょう。

犬が集中力を保てるのは10~15分程度と言われています。「集中力がなくなってきたな」と感じたら、一旦しつけは切り上げて時間を置いてからまた行いましょう。

ごほうびを用意する

犬にしつけを行う場合には、ごほうびを使うのが効果的です。

おやつ

おすわりを覚えさせるときに、おやつを使うことも一般的です。ただし、おやつは犬が満腹になってしまうとしつけの質が落ちてしまうのと、肥満になるリスクがあるため、可能であれば「おもちゃ」や「褒める」といった方法を優先して試すようにしましょう。 しつけを行う前に、犬が飼い主さんから褒められてうれしいと感じられるような関係を築いておくことも大切です。

おもちゃ

犬にとってのごほうびは、飼い主さんから褒められることです。そこにプラスして、普段から遊んでいるお気に入りのおもちゃも上手く取り入れてあげると、より一層しつけがしやすくなります。

犬におすわりを教えるためのルール

犬 おすわり

しつけを行う際のルールを見ていきましょう。

押さえつけたり叱ったりしない

犬をしつけようと、お尻を強く押さえて「こうするんだよ」と叱るのはNGです。「おすわりの掛け声=身体を押さえ込まれる」と紐づいてしまうので逆効果になります。犬は成功体験によって覚えていくため、「1ステップずつできるようにする=1ステップずつ成功体験を得る」という気持ちでしつけを行う必要があります。

失敗したときは1つ前のステップに戻り、焦らずに教えていきましょう。

コマンド(指示語)を決める

コマンドには「おすわり」のほかに、「Sit(シット)」や「すわれ」などがあります。犬の混乱を防ぐためにも、しつけを始める前に家族の中でコマンドを統一しましょう。家族全員が使いやすく、覚えやすい言葉で統一するのがよいですね。

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おすわりの教え方のポイント|簡単にできる4ステップ

犬 おすわり

犬におすわりを覚えさせるには、段階的に進めていくのが効果的です。最初のうちはボールやおやつなどのごほうびを活用してみましょう。

ステップ【1】ボール遊びで気を引く

おすわりのしつけを行う前に、犬と一緒にボール遊びをしましょう。犬の周りにボールを転がしたり、ロープがついたボールを犬と引っ張り合ったりして、犬がボールに興味を持つように工夫してみてください。

ステップ【2】声をかけて座ったらほめる

犬がボールに興味を示すようになったら、ボールを犬の真上にゆっくりと上げていきます。犬はボールを見上げるために自然とのけぞるような格好となり、最終的にはおすわりの姿勢を取ります。そこですかさず「おすわり!」と声を発し、犬がお尻を床につけて完全に座った姿勢になったら「イイコ」と軽くほめましょう。

なかなかお尻を下ろそうとしない場合、ボールを持っていないほうの手を軽くお尻に添えて、床につけられるよう誘導してあげても良いでしょう。このときに力を入れてお尻を床に押し付けることはNGです。

これを繰り返すことによって、ボール遊びをして犬とのコミュニケーションを深めていけると共に、おすわりという姿勢そのものと同時に「おすわり!」という声がコマンドとなることを犬が覚えていきます。

ステップ【3】飛びつく場合はボールを高い位置にキープ

ボールを握っている手に犬が飛びついてきた場合は、高い位置に手を上げて犬が届かないようにします。そのときにボールを握った手は、飼い主さんの顎の下あたりに持ってくるようにしてください。犬が飼い主さんの顔に注目しやすくなるので、犬とアイコンタクトを取りながらトレーニングができます。

ステップ【4】慣れてきたらコマンドのみで

上記のステップを何度も繰り返し、連続してできるようになったら、今度は手を握って犬の正面に出して「おすわり」と声をかけ、座ったらほめてボールを与えます。そして、手の合図なしで「おすわり」と声をかけ、座ることができたら同様にほめてあげてください。

コマンドを言っても犬が反応してくれなかった場合は、ボールを使用せずに手で誘導してあげます。それでもおすわりの姿勢にならない場合は、犬のおしり部分を軽く押して、おすわりの姿勢に誘導します。

最初は犬がなかなか覚えられないこともあるかもしれませんが、何度も繰り返して練習していくと、「おすわり」の言葉だけで座れるようになっていきます。

犬がおすわりできないときの原因と解決のヒント

犬 しつけ

おすわりは比較的簡単なしつけに該当しますが、それでもなかなか犬が覚えてくれないときには、他に原因があるかもしれません。 

おすわりをしない

おすわりをしない場合は、しつけを行うときに周りからの刺激が多くないか、興味を惹くごほうびか、コマンドが聞き取りづらくないかなど、見直してみてください。少しずつ、犬の個性に合わせてしつけを行っていきましょう。 

おすわりが我慢できない

犬にとって、おすわりとマテは同じ行為のように思えて実は別物になります。「何かをすること」を教えるおすわりとは違い、「何もしないこと」を教えるのがマテです。おすわりを我慢できずに動いてしまうのは問題ありませんが、マテは必ずしつける必要があります。他の犬や周りの方の安全を守ったり、犬自身の事故を防いだりするためにも、根気よく練習しましょう。

状態によってはおすわりしない

おすわりは「動作」ではなく、「姿勢」という認識を持つようにしましょう。「動作」としておすわりを教えてしまうと、犬は立っている姿勢からしかおすわりをしなくなる可能性があるため、「姿勢」としておすわりを教える必要があります。

「姿勢」としておすわりを教えることで、寝ている状態や伏せをしている状態など、どんな体勢の時でも犬がおすわりすることができるようになります。

中途半端におすわりをしてしまう

中途半端なおすわりで飼い主さんが満足してしまうと、犬もそれが正しいことだと認識してしまいます。飼い主さんが妥協せずに根気良くマスターできるまで練習することが、「動作」ではなく「姿勢」としてのおすわりにつながります。精度の高いおすわりは、あらゆるしつけを成功に導く基本となりますので、頑張りましょう。

急におすわりができなくなった

犬が急におすわりできなくなった場合には、身体のどこかに痛みを感じている可能性があります。何か思い当たる節がないかを確認し、動物病院に相談するようにしましょう。歩くときにふらついていたり、後ろ足など身体の特定の部位に触ると嫌がったりといった仕草が見られるようになった場合には、怪我をしている可能性があります。

また、犬がおすわりの姿勢のまま、お尻を引きずるように歩くこと(=お尻歩きすること)があります。これは別名「スクーティング」と呼ばれる動作で肛門に何らかの異常があるサインと言われており、同様に早めに動物病院を受診しましょう。

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しつけることが難しいときはプロの手を借りましょう

犬 しつけ

どれほど根気よく教えても上手におすわりができないときは、プロの手を借りましょう。

しつけ教室を利用する

犬のしつけの中で、最も大切なのが子犬の時期のしつけです。おすわりを覚えるまで時間がかかり悩まれている方や、自分のしつけの教え方が正しいか不安な方は、しつけ教室を取り入れてみるのもおすすめです。

しつけ教室によっては、出張トレーニングやプライベートレッスンを行ってくれるところもあるので、要望にあったしつけ教室を探してみましょう。

愛犬と一緒に暮らすうえで「おすわり」は大切なしつけのひとつ

犬 おすわり

人間と犬が一緒に暮らすうえで、おすわりは大切なしつけのひとつだということがお分かりいただけましたでしょうか?

事故やトラブルなどを防ぐのはもちろん、犬自身の身を守るためにも、子犬の頃からしっかりと覚えさせたいですね。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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