犬の狼爪(ろうそう)って何?狼爪の正しい切り方・爪のケアの仕方を学ぼう
狼爪(ろうそう)というものを知っていますか?実は犬たちの足に付いている、ある部分の爪のことを「狼爪」と言います。犬と暮らしているという飼い主さんでも、見たことがない方もいるかもしれません。犬によって前肢・後肢で狼爪があったりなかったり・・・そんな狼爪に関する疑問を、正しい狼爪の切り方・ケア方法と一緒にご紹介します。
犬の狼爪ってなあに?
犬の足を観察したとき、地面と接している4本の指から離れた位置にもう1本爪があることが分かります。この地面に接さない指の爪を狼爪といい、人で例えると親指にあたります。
前肢には全ての犬種がこの狼爪をもって生まれますが、後肢の狼爪は退化して生えてこないこともあります。そのため一般的に犬の指は前肢5本、後肢4本と言われるのです。狼爪が生えてこなくなった理由は、単純に現代の犬たちに必要がないからと考えられています。狼爪はもともと野生で生きていた犬たちの祖先が、岩場や荒い地形を歩くために使っていた爪でした。
現代では狼爪を切除することも
犬種や血統によっては後肢にも狼爪が生えることがあり、先祖がえりなどと呼ばれています。後肢に狼爪をもって生まれてきた場合は、ブリーダーの判断により動物病院で切除されます。犬種やブリーダーの判断によっては前肢の狼爪も切除します。
基本的には生後一週間以内の手術が子犬に負担が少なく好ましいとされており、局部麻酔や無麻酔などの手術方法は獣医師によって違います。成犬になってからでも手術することは可能ですが、麻酔手術は犬の身体の負担になります。避妊去勢や病気などの麻酔を使用する手術のときに一緒に切除してもらうのがよいでしょう。
切除する理由とは
切除する理由は大きく分けて「怪我防止」「犬種のスタンダード」のふたつです。狼爪を何かに引っ掛けて爪や指が折れるなどの、リスクを減らすために切除するブリーダーや飼い主さんは多くいます。またJKC(ジャパンケネルクラブ)が定めている犬種のスタンダード(標準)においては、原則後肢の狼爪は無いものであるとされています。先祖がえりで後肢の狼爪が生えやすい犬種では「望ましくない/切除すべき」とされますが、なかには「許容される/認められる」と定められている犬種もあります。
狼爪を放置しないで!伸びすぎは巻き爪になる
狼爪は他の爪と違って地面に接することがないため、爪が伸び続けてしまいます。犬の爪はカーブを描いて内側に曲がりながら伸びますので、放っておくと足に刺さるほどの酷い巻き爪になります。悪化すると犬が爪や足を噛む、爪が皮膚に食い込み出血や腫れがでる、カーペットや服に引っかかり根元から折れるなどさまざまな怪我に繋がります。切除せず狼爪を残す場合には、こまめなケアを行いましょう。
狼爪に特徴のある犬種たち
ほとんどの犬は後肢の狼爪は生えてきませんが、祖先のオオカミに近い犬種や、大型犬には先祖がえりの傾向が強くあります。 後肢に狼爪が生えやすい犬種の中でもJKCの犬種スタンダードの中で切除すべきとされている犬種はどれくらいなのでしょうか?
狼爪を切除すべきとされている犬種(例)
オーストラリアンシェパード/ニューファンドランド/アラスカン・マラミュート/サモエド/シベリアン・ハスキー/チワワ 等
犬種スタンダードとして許容される犬種(例)
ブリアード/グレート・ピレニーズ/セント・バーナード 等
上記にあげた以外にもまだ数犬種が定められています。狼爪が許容される犬種のうち、ブリアードとグレート・ピレニーズは狼爪が2本重なって生えてくることもあり、スタンダードではそちらの方が好ましいとされています。
狼爪の切り方|犬に負担を書けないケア方法
狼爪の爪切りをする目安は月に一度が好ましいですが、犬によって爪の伸びる速さは変わります。日頃から愛犬の爪をよく観察してください。爪切りの前にはすぐ手が届く範囲に犬用爪きり、止血用ガーゼや止血剤、爪ヤスリなどを揃えておきましょう。
基本的な切り方
基本的に切り方や保定は他の爪を切るときと同じで構いません。一気に切るのではなく、スライスするように少しずつ切っていき、血管の手前で止めます。白っぽい爪のときには外からでも赤い血管が見えるのでそれを目安にし、黒っぽい爪のときにはより慎重に切っていき途中で爪の断面組織の色が変わったら止めましょう。切り終わったら爪ヤスリで丸みをおびるように整えると、犬が身体を掻くときや飼い主さんが抱っこをするときに怪我をしにくくなります。
出血してしまったら
もし血管を切って出血してしまっても、慌てる必要はありません。止血剤は痛みを伴うこともありますので、犬が嫌がるようなら指やガーゼで圧迫止血をしてください。自宅でのケアが難しいときには、ペットサロンや動物病院などでお願いしてみましょう。
狼爪は正しいケアが大切|オオカミ時代の名残
被毛が長い犬種は狼爪が隠れてしまい、探さなければわからないこともあります。愛犬の足には狼爪があるのか、ぜひ観察してみてください。もしあったなら、巻き爪や怪我の防止のために切除をするか、残す場合はきちんと定期的にケアをしましょう。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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