眼球突出は何らかの衝撃が頭部に加わり、その結果眼球が飛び出てしまう現象です。眼球脱出（がんきゅうだっしゅつ）とも呼ばれています。

短頭犬のチワワは眼窩(がんか※①)は狭く浅いため、この病気になりやすいと言われています。

※①眼窩(がんか)・・・眼球やその付属の構造物が入っている骨の部屋のこと

この眼球突出はチワワ以外にもフレンチブルドック、パグ、ペキニーズ、シーズー、ヨーキー、マルチーズなどがかかりやすいと言われています。

いわゆる鼻ペチャといわれる犬種が代表的ですが、これらの犬種は鼻が短いというだけでなく、頭蓋骨自体も丸く大きくなっています。この丸くて大きく上にせり出す頭蓋骨と短い鼻のせいで、眼球が収まるくぼみが相対的に小さくなっています。そのため、普通の状態でも、眼球の収まりが悪く眼球がやや飛び出しているのです。

さらにチワワは愛玩犬としてとても人気のある犬種なので今でも品種改良がされておりどんどんサイズが小さい個体が出てきています。小さな頭に脳と眼球を収納するのは超小型犬であればあるほど難しくなり、必然的に眼球は飛び出した顔になります。

そのため、眼球は少し狭くなったくぼみに軽くはまるように存在しているので、少しの力が加わるだけで簡単に突出してしまうのです。

では、どんな時にチワワの目が飛び出だしてしまうのか原因も一緒に見ていきましょう。

眼球突出はほとんどが咬傷や交通事故などの外傷によるものです。頭部に強い衝撃が加わった際、その弾みで眼球が飛び出てしまうことがあります。

例えば散歩中や多頭飼いなどによる他の犬との激しい喧嘩や、遊び。 道路などへの飛び出しによる交通事故・階段からの落下などによるものが多いです。

外傷以外には眼球をおさめる穴の中に腫瘍や膿の袋（膿瘍：のうよう）ができて、それが眼球を前方に押し、眼球が突出することもあります。

眼球の露出してしまった部分が大きければ大きいほど発症する確率は高くなり、カラダが小さい犬種ほどリスクが高いようです。

＜眼球突出の主な原因＞

・外傷（咬傷・交通事故など）

・腫瘍

・膿瘍

先ほども説明しましたが、眼球突出になった場合は、眼球がまぶたの外に飛び出してしまっている状態のため、見た目の判断はしやすいです。

眼球が飛び出す以外にも、充血、血がたまっている様子が見られる場合があります。また、眼球が飛び出たことにより眼球が炎症したり、乾燥・眼球の壊死（えし）なども考えられます。発症から経過した時間が長いほど、眼球や周りの組織の出ている部分が乾燥したり、細胞が死んで色が変わってしまったりすると最悪の場合失明が考えられますので早期に診察してもらうことが重要です。

眼球突出になってしまうと非常に強い痛みが伴うため、チワワは震えたり鳴いたり、飼い主さんに触られたり抱っこされたりするのを嫌がることもあります。異常な突出のせいで眼をつむることが出来なくなっているので、涙を流しているのに眼の表面が乾燥してきます。

飼い主さんでおこなえる治療はありません。まずは速やかに動物病院に連れていくことが重要ですが、痛みや衝撃で興奮している場合は暴れたり、前足で目を引っ掻いてしまうことがあります。その場合はまずは、愛犬を落ち着かせることが重要です。これ以上目に衝撃を与えないよう二次被害を防ぐ意味でもまずは、抱っこしたり体を抑えたりしてチワワの気持ちを落ち着かせましょう。

次に、あればこれ以上目に衝撃を与えないようにエリザベスカラーと言われる首の周りにラッパ状に巻く装具を使い、手元になければクリアファイルで同じような形に作成するかタオルを首に巻くなどして、とにかく前足で眼をいじれないようにしましょう。もしあれば清潔なガーゼや布を水で濡らして眼球に当てます。これは突出した眼球の乾燥を防ぐためにおこないます。このときに両方の目を隠してあげると落ち着きやすくなる場合もあります。

絶対にやっていけないことは、飼い主さんが自ら、チワワの眼球を押し戻すことです。下手に押し戻すと神経が傷ついて失明したり眼球破裂にもつながってしまいます。

飼い主さんもびっくりしてパニックになってしまうこともあるかと思いますが、愛犬を守れるのは飼い主さんだけなので落ち着いて正しい行動をすることが重要です。 

眼球突出は痛くて辛い状態です。眼球突出の治療は多くの場合が全身麻酔をかけてから行います。全身麻酔がかけられたら、眼球を押し戻し、まぶたを2～4針縫合することが主な手術です。術後は1週間～2週間で抜糸します。眼球の炎症が重度の場合には眼球表面の結膜下に消炎剤を注射することなどもあります。

地域、実施する病院や重症度により治療法が異なるためおおよそですが最終的な抜糸まで平均的には10～25万円ほどです。

今回はチワワの目が飛び出してしまう病気「眼球突出」について解説していきました！

いかがでしょうか？チワワの眼球が飛び出てしまうなんてそんなことあるの？とびっくりしてしまう方もいらっしゃるかと思いますが、実は小さな衝撃、例えば階段から落ちて頭をぶつけてしまったなどのちょっとした事故で飛び出してしまうこともあり、チワワは眼球突出をしやすい犬種です。

眼球突出した場合の見た目の衝撃は飼い主さんにとってはかなりショッキングなものだと思います。（今回も症状の写真掲載は控えさせていただきました。）

だた突出してしまった眼球が元どおりに戻るかどうかはそのときに一刻も早く正しい対応ができたかどうかに大きく左右されます。

もしなってしまった場合は落ちついて対処・速やかに病院で診てもらいましょう。事前にこの記事を読んで、もしもの時に心構えをつくっていただけたらなと思います。

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