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【獣医師監修】犬の歯並びが悪くなってしまう原因|正しい咬み合わせと矯正方法を獣医師が解説

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「犬の歯並び」というのは、ここでは『咬み合わせ』のことを指します。犬の永久歯は全部で42本あり、生まれつき咬み合わせの良くない子も一定数存在しますが、正しい咬み合わせとはどういう状態を指すのでしょうか?また歯並びが悪い場合に、矯正ができるのかどうかについても併せて解説します。

【獣医師監修】犬の歯並びが悪くなってしまう原因|正しい咬み合わせと矯正方法を獣医師が解説
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目次

  1. 犬の歯並びには4つのパターンがある
  2. 犬の歯並びが悪くなる原因として考えられること
  3. 愛犬の歯並びが悪い場合、矯正する方法はある
  4. 歯並びは子犬の時から観察するようにしましょう

犬の歯並びには4つのパターンがある

犬 口 歯

歯並びが良い、すなわち正しい咬み合わせとはどういう状態のことを指すのでしょうか。犬の咬み合わせのパターンは主に4つに分類されます。

1.正しい咬み合わせのシザーズバイト

上の前歯の裏面に、下の前歯の表面が接している状態で、まるでハサミのようにきっちりと咬み合っている状態を指します。 全ての犬の見本とも言える咬み合わせで、鋏状咬合(はさみじょうこうごう)とも呼ばれています。

2.前歯がかっちり咬み合ったレベルバイト

水平咬合(すいへいこうごう)、切端咬合(せったんこうごう)とも呼ばれていて、上の前歯と下の前歯がペンチのようにぴったりと咬み合う状態を指します。

3.オーバーショット

オーバーショットとは上の前歯が前に出過ぎている状態で、下の前歯との間に大きな隙間ができます。犬は咀嚼をあまりしないため、日常生活に不便はありませんが、やはり見た目を気にされる飼い主さんも多いと言えるでしょう。

4.アンダーショット

下の前歯が、上の前歯より前に出た状態のことをアンダーショットと呼びます。しゃくれているように見えますし、多くの犬種のスタンダードでは許されていません。ただしブルドッグなどの短頭種ではアンダーショットであることが望まれています。

犬の歯並びが悪くなる原因として考えられること

犬 おもちゃ

犬の歯並びが悪くなってしまう原因には、いくつかのことが考えられますが、飼い主さんが注意することで防げる場合もあります。その原因について解説していきましょう。

1.乳歯遺残(にゅうしいざん)

永久歯と入れ替わるはずの乳歯が抜けずにいつまでも残っていて、永久歯の成長を阻害してしまうパターンです。 そのまま放置しておくと咬み合わせが悪くなったり、伸びた歯が歯肉を傷つけてしまうこともあります。

乳歯遺残に関しては、飼い主さんの注意によって防げることもありますので、歯の入れ替わりの時期はきちんと観察しておくといいでしょう。

2.外傷によるもの

子犬の頃に顎関節(がくかんせつ)を骨折したり脱臼したりすると、関節のズレが起こったり、歯の成長がバラバラになることがあるため、不正咬合(ふせいこうごう)になってしまうことがあります。やんちゃな子犬は打撲、落下、骨折などを起こす子も多いので、遊ばせるときはしっかりと見張っておきましょう。

3.遺伝によるもの

ブルドッグやパグ、ペキニーズなどは生まれつきアンダーショットになるよう作出された犬種ですが、体を小さくするなど人為的に作出された犬種の場合、遺伝によって不正咬合の子犬が生まれてくることがあります。トイプードルやミニチュアシュナウザーなどがそれにあたりますが、親犬が不正咬合になるDNAを持っていた場合、遺伝する確率も高くなります。

愛犬の歯並びが悪い場合、矯正する方法はある

子犬 口 歯

基本的に犬は歯並び・咬み合わせが悪くとも生活に支障のないことが多いのですが、まれに歯が削れたり、歯肉を傷つけたりすることもあります。また飼い主さんの歯磨きが行き届かずに、歯周病になることもあります。

犬の歯並びを矯正することは出来るのでしょうか?その方法を見ていきましょう。

犬の歯並びを矯正する方法|1.歯列矯正

専門の歯科を持つ動物病院であれば歯列矯正は可能です。

とはいえ、アンダーショットやオーバーショットを根本的に矯正するというのは、顎の切断手術を伴う可能性もあり、犬の苦痛を考えれば現実的ではありません。そういった意味では歯列矯正というよりも、咬み合わせを良くしてあげることに重点を置いた方が良いと言えます。

斜めに生えた歯を正常な位置に戻す場合、矯正器具を用います。麻酔下で歯に矯正用ボタンを取り付け、シリコン製のチェーンで引っ張るというものですが、定期的な検診が必要となり、完了するまで半年ほど掛かってしまいます。子犬の場合は、矯正期間が短く済みますので、なるべく早い時期に矯正しておいた方が良いでしょう。

犬の歯並びを矯正する方法|2.抜歯

乳歯遺残の影響などで咬み合わせが悪くなっている場合、原因となっている歯を抜くことで咬み合わせを矯正することは可能です。 抜歯は一般的な動物病院でもお願いできることが多く、全身麻酔下で行う手術になります。

歯並びは子犬の時から観察するようにしましょう

子犬 笑ってる

歯列矯正は犬にとって不快感を伴うものになります。歯並びが悪くとも生活に大きな支障がない限り、愛犬のチャームポイントだと受け入れてあげるのが良いかもしれません。子犬の乳歯が生え変わる時期(およそ生後半年くらいまで)入念に観察しておくと、気になることがあった場合に早めに獣医師に相談することができますので、普段から口元を触ったり歯磨きをする習慣をつけておきましょう。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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