【獣医師監修】犬の舌が白い場合に考えられる病気と対処法について
犬の舌の色が白っぽいと思うことはありませんか?犬の舌の色は普段ピンク色ですが、いつもと違うと心配になりますよね。犬の舌が白い場合には重大な病気が潜んでいる可能性があり、その原因によっては、すぐに対処したほうが良いかもしれません。
今回は、犬の舌の色が白くなっている場合に考えられる病気や対処法についてご紹介したいと思います。
犬の舌が白くなっている際には、貧血や呼吸不全を起こしている場合が考えられます。
考えられる原因【1】呼吸不全
呼吸不全とは、肺から十分に酸素を取り込めない状態です。呼吸不全が起こると、犬は息が苦しい症状、一般に呼吸困難と言われる症状を引き起こします。
呼吸不全が重度の場合、舌の色が薄くなって白っぽくなり、さらに進むとチアノーゼが見られ、舌の色は青紫色になります。
舌の色は酸素が全身に行き届かないときの指標となりますので、普段からよく観察しておきましょう。
考えられる原因【2】貧血
犬の舌が白いときに考えられる原因で多いのは、貧血です。貧血と言っても原因はさまざまで、精密検査を実施しないと原因がはっきりしないこともあります。
原因としては、出血が起きているとき、溶血(赤血球が破壊される)が起きているとき、心臓病、肝臓病、腎臓病、ホルモン性疾患(甲状腺や副腎など)、栄養障害、中毒、免疫疾患(骨髄など)、腫瘍、寄生虫の感染によるものなどが挙げられます。
犬の舌が白い場合に考えられる病気
犬の舌が白い場合に考えられる病気には、重大なものが多くあります。
併発する症状【1】元気が無くなる、食欲低下、疲労感
元気がない、震える、食欲が低下するなどの症状は、いろいろな病気に見られる一般的な症状のため、血液検査や画像検査(レントゲン検査、エコー検査など)を実施することで病気を絞り込んでいきます。
考えられる病気【1】免疫介在性溶血性貧血
免疫介在性溶血性貧血は、2歳から8歳程度の犬に多く発症すると言われる病気です。免疫反応の異常により引き起こされ、赤血球が破壊されることで貧血になります。抗生物質や感染、腫瘍などの原因によって引き起こされる場合は、その原因を特定し、治療していくことが必要です。
原因が特定できない場合でも、一般的には早急にステロイド剤や免疫抑制剤などを用いた治療を開始します。命にかかわる重大な病気であるため、時には輸血や抗ガン剤による治療も必要になることがあります。
併発する症状【2】呼吸数が増える、動きたがらない
犬の舌の色が普段より薄く白っぽい症状に加えて、呼吸異常も見られるときには、心臓や呼吸器系に何かトラブルが起きていることも考えられます。
考えられる病気【2】心臓疾患
心臓疾患により、心臓の働きが悪くなると血液の循環が悪くなります。これにより肺動脈の血圧が上がり、肺に水が溜まってしまう状態を肺水腫といい、重度になってくると呼吸回数の増加、咳、チアノーゼが見られます。
肺水腫を引き起こす心臓疾患は、主に僧帽弁閉鎖不全症が多いと言われています。肺水腫を疑う症状が見られる場合は、すでに心臓疾患は命にかかわるレベルまで進んでいる可能性があるため、早急に受診して治療を検討する必要があります。
併発する症状【3】出血
犬が出血を起こして、さらに舌が白い状態になっているときは、貧血に陥っている可能性があります。
考えられる病気【3】失血性貧血
失血性貧血とは、出血が原因となって起こります。交通事故などのケガによる出血のほかに、体内の腫瘍から出血していることもあります。
その場合、身体の中で起こっている病変なので、家で発見することは困難です。元気や食欲の状態なども合わせて観察し、心配な症状がある場合は早めに病院を受診することをおすすめします。
併発する症状【4】元気や食欲の低下、黄疸、尿の色が赤い
元気や食欲の低下に合わせ、黄疸や血尿(尿の色が赤い)などの症状があるときには、玉ねぎ中毒の可能性が考えられます。
考えられる病気【4】ハインツ小体性溶血性貧血
ハインツ小体性溶血性貧血は、玉ねぎ中毒による貧血です。ネギ類の成分は犬にとって有毒で、赤血球を破壊してしまいます。誤食してしまった場合、食べた直後なら吐き出させることもできますが、催吐処置をして良い状態かどうかはその場合によって違ってきますので、家でどうにか対処しようとはせずに、まずは早急に病院を受診しましょう。
中毒の症状には個体差があり、少量を口にしただけでも症状が見られる場合もあります。 症状が見られた場合には、有害な成分を薄め、身体の外へ排泄するための点滴が必要です。
併発する症状【5】発熱、尿の色が赤い
発熱や尿の色の変化(濃く、茶色がかった尿が見られ、血色素尿と言われる)が見られるときには、以下の病気を引き起こしていることがあります。
考えられる病気【5】バベシア症による貧血
バベシア症は、マダニの中に潜むバベシアという寄生虫が犬の体内に入り、赤血球を破壊し貧血に陥る病気です。発熱や尿の色の変化(血色素尿)なども見られるので、舌の色と合わせて観察するといいでしょう。一度バベシアの寄生が起こってしまうと完全に除去することは難しく、再発の可能性もあります。
アウトドアに連れて行くことが多い子やお散歩で草むらに入りたがる子などは特に、普段からマダニの予防薬を使用して予防に努めるのが大切です。
犬の舌が白い場合の対処法
犬の舌が白いときは緊急性の高いケースが多く、家でできることは限られてしまいます。
対処法はいち早く病院を受診すること
犬の舌が白い場合、そのほとんどが緊急性の高い病気によるものです。命にかかわることもあるため、できるだけ早く病院を受診して適切な検査を行い、治療を開始してもらうのがいいでしょう。
まずは目に見える部分での出血の有無や、その箇所を確認し、出血をしている場合にはタオルやハンカチで傷口をしっかりと押さえるなどして止血し、病院を受診してください。受診を待つ間などは、姿勢を変えずになるべく動かさず、安静に保っておきましょう。
愛犬の不調を見逃さないようにしましょう
犬の舌が普段と比べて白くなっているときには、貧血をはじめ、重大な病気を引き起こしていることが考えられます。治療開始が遅くなると命にかかわることもあるため、早めに病院を受診しましょう。犬の舌の色は、いつもは何気なく見ていると思いますが、時々気にして見てあげてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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