【獣医師監修】愛犬の歯が茶色くなった。病気のサイン?変色する原因と対処法について
真っ白だったはずの愛犬の歯がいつの間にか茶色くなっていた、という経験はありませんか?犬の歯はどのような理由で変色してしまうのでしょうか。
本記事では、犬の歯が茶色くなる原因や考えられる病気、対処法についてご紹介します。
犬の歯が茶色い場合に考えられる原因とは
まず、犬の歯が茶色くなってしまったときに考えられる原因を4つご紹介します。
原因【1】歯垢・歯石
口の中で細菌が増殖して蓄積すると、歯垢ができます。歯垢は「プラーク」とも呼ばれ、プラークに唾液中に含まれるカルシウムなどのミネラルが結合すると歯石になります。
犬は歯垢から歯石に変わるスピードが早く、3〜5日程度で歯石になり、歯みがきでは落とせなくなってしまいます。
歯石を放置すると歯周病になり、歯根の先端に膿が溜まって頬が腫れたり、血流に乗って全身に運ばれた細菌により、内臓に深刻なダメージを与えることもあります。
原因【2】歯がすり減っている
硬いボールのおもちゃやヒヅメのおやつ、ケージなどを噛み続けると、エナメル質や象牙質がすり減ってしまいます。これを「咬耗(こうもう)」と言い、すり減った歯の表面が茶色くなることがあります。咬耗の程度がひどい場合には、神経が露出してしまいます。
原因【3】色素沈着
人間の場合、お茶やコーヒーに含まれる色素やタバコのヤニなどが歯の表面に付着し、色素沈着することはよく知られています。犬も同様に、食べ物に含まれるさまざまな色素が歯の表面に沈着します。色素の沈着は「ステイン」とも呼ばれます。
原因【4】歯の病気
まれですが、犬も虫歯になることがあります。虫歯になった歯は茶色くなったり、黒くなることがあります。
犬の歯が茶色い場合に考えられる病気
次に、犬の歯が茶色くなっている場合に考えられる病気を、茶色い歯と併発して見られる症状とともに2つご紹介します。
症状|歯の表面に穴が空いている
犬の歯に茶色や黒い点があったり、歯の表面に穴が空いている場合は虫歯の可能性が疑われます。
病気【1】虫歯
犬に見られる口腔内のトラブルのほとんどは歯肉炎や歯槽膿漏などによるものですが、まれに虫歯になることもあります。
虫歯は正式には「う蝕(うしょく)」と言い、犬は痛みにより食べるペースが落ちたり、食欲が低下することがあります。症状が進行すると歯髄(神経組織)にまで病巣が拡がり、抜歯などの処置が必要になります。
原因はさまざまですが、体質によるものや、糖分が多い食べ物、デンタルケアが不十分な場合にも虫歯になりやすいと考えられます。
症状|歯がもろい、歯の表面がざらざらしている
歯の表面がざらざらしていて歯石や歯垢が付着しやすい、歯がもろくなり、すり減りやすかったり折れやすいといった症状を併発している場合には、エナメル質形成不全の疑いがあります。
病気【2】エナメル質形成不全
歯の表面層(エナメル質)が発育過程中に正常に作られなくなる状態で、限局的に起こることもあれば、全体的に起こることもあります。
幼犬期にジステンパーウイルスやパルボウイルスなどの感染症にかかっていた場合や、重度の消化器疾患などにより栄養障害を起こした場合、特定の薬剤の使用などが原因でエナメル質形成不全になることが知られています。
愛犬の歯が茶色い場合の対処法は?
犬の歯が茶色くなっている場合、対処が必要かどうかは原因によって異なります。原因不明な場合は自己判断せず、動物病院を受診して指示を仰ぎましょう。
色素沈着の対処法
色素沈着は歯の表面に色素が沈着している状態であり、犬の健康に害を及ぼすわけではありません。専用の器具を使って歯の表面を磨くスケーリングで落とそうとすると、かえって歯のエナメル質を傷付け、歯垢や歯石が付きやすくなったり、虫歯の原因になってしまうことも考えられます。
飼い主さんは気になるかもしれませんが、デメリットを考えるとそのままにした方が良いでしょう。
虫歯などの対処法
歯が変色して穴が開いている場合など、病気が疑われる場合は様子を見ずに動物病院を受診しましょう。
虫歯をどのように治療するかは、症状の程度や治療を受ける病院の考え方などによって異なりますが、虫歯になった部位を削り取ってそこに詰め物を入れたり、歯髄を除去したり、抜歯をすることがあります。
歯垢や歯石の対処法
歯垢を落とすのに最も有効なお手入れは、歯ブラシによる歯みがきです。子犬の頃から慣れさせておくことが大切ですが、成犬になってからでも遅くありません。初めて磨くときは嫌がることが多いので、おやつなどを使って褒めながらしつけましょう。
歯垢が一度歯石に変化すると、歯磨きでは落とすことはできません。基本的には全身麻酔下でスケーリング(歯石除去)する必要があるため、動物病院に相談しましょう。
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愛犬の歯が茶色いと気付いたら早めの対処を
愛犬の歯の健康を維持するには、毎日のデンタルケアが欠かせません。
犬の歯が茶色くなっているときは、ただの色素沈着で健康に問題はないこともあれば、歯みがきでは取れない歯石が付着していたり、虫歯になっていることもあります。
歯石や虫歯の場合は、対処が遅れると抜歯が必要になったり、肺や心臓にまで悪影響を及ぼすこともあるので、疑わしい症状がある場合は、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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