【獣医師監修】犬の消化時間について|ライフステージで異なる消化時間と注意するべきこと
犬は食べ物を消化するのにどのくらいの時間を要するのでしょうか?一般的に人の場合は、食後すぐに運動することは控えたほうがよいとされていますが、犬も同じなのでしょうか?ここでは、犬の消化にかかる時間はおおよそどのくらいか、犬のライフステージによって個体差はあるのか、飼い主さんはどのようなことを注意すべきかということをご紹介します。
目次
犬が食べ物を消化するのにかかる時間
犬の消化にかかる時間は年齢や食餌内容などにより個体差がありますが、食べ物が口に入ってから便として体外に排泄されるまでおよそ12〜24時間と言われています。人間の場合は食べ物が消化吸収され便として排出されるまでの時間が24~48時間とされているので、比較すると犬のほうが短いことが分かります。一般的には胃での消化に2時間、小腸での消化に1時間ほどかかり、その後大腸でゆっくり水分が吸収され、排泄されます。
犬の体内で作られるエネルギーのうち60%以上が消化のために使われているとされています。
食べ物を口にしてから胃を通過するまで
犬の場合、食べ物が口に入ってから食道を通過し、胃に入るまでの時間は約4〜5秒です。
胃には主に食べ物の貯蔵と、消化の準備をする役割があります。胃で分泌された胃液により食べ物は少しずつドロドロの状態になり、小腸に送られます。
小腸に入ってから排便するまで
小腸は胃に近い側から十二指腸、空腸、回腸となっています。十二指腸には、食べ物を体内に吸収しやすい大きさに分解する「膵液」や、脂肪を小腸で吸収しやすくする「胆汁」などの消化液が流れ込み、本格的な消化・吸収が行われます。
小腸で栄養が吸収された後の不要物は大腸に送られ、水分が吸収された後、肛門から排出されます。
消化にかかる時間はライフステージにより異なる
犬の消化にかかる時間は個体差があります。子犬や老犬の場合、消化にかかる時間において、どのような違いがあるのでしょうか?
子犬が食べ物を消化するのにかかる時間
消化管が未発達な子犬は、食後40分〜2時間くらいで食べた物が便として排出されます。空腹時間が長いと胃液を吐いたり、低血糖になってしまう危険性があるので、食餌は間を空けすぎないことが重要と考えられます。1日3〜4回の回数を目安に与えましょう。
また、1度に大量の食餌を与えると消化不良を起こしてしまうので、決められた1日分の食事を小分けにして与えましょう。
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老犬が食べ物を消化するのにかかる時間
老犬になると消化管の機能が低下してくるため、消化に時間がかかるようになります。
消化できずに吐き戻してしまうような場合は、ドッグフードを消化しやすいようお湯でふやかしたり、一日分の食事を小分けにして与える回数を増やすなどの工夫をして、消化管にかかる負担を減らしましょう。
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犬にとって消化にいい食べ物ってどんなもの?
犬は雑食寄りの肉食動物だと言われており、野菜や穀類よりも肉類の消化が得意だとされています。そのため、消化が苦手な食べ物を与えすぎてしまうと消化不良を起こし、下痢や嘔吐などを引き起こすこともあるので注意が必要です。では、犬にとって消化によい食べ物とはどのような特徴があるのでしょうか?
繊維質が少ない食べ物
食物繊維が豊富な食べ物は便秘や下痢の改善に役立つことがありますが、繊維質が多すぎる食べ物は消化に負担がかかります。そのため、消化にやさしい食べ物としては、繊維質が少なめのものを選ぶとよいでしょう。ただし、適量の繊維は腸内環境を整えるために必要なので、バランスが大切です。
脂質が少ない食べ物
脂質が多い食べ物は消化に時間がかかりやすいです。そのため、消化しやすい食べ物を選ぶときは脂肪分が少ないというところにも着目しましょう。
ただし、脂質は犬にとって重要なエネルギー源の一つです。不足すると毛艶が悪くなったり、皮膚の乾燥を招くことがあるので、制限しすぎないように注意してください。
新鮮な食べ物
鮮度が落ちた食べ物は消化しにくく、消化不良の原因となることがあります。特に酸化したドッグフードは消化に悪影響を与える場合があるため、できるだけ新鮮なうちに食べきれる量を与えるようにしましょう。
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消化に関して飼い主さんが気をつけること
犬の消化に関して、飼い主さんが注意すべきことをご紹介します。
誤飲・誤食の防止
通常、食べた物は胃の中に2〜3時間ほど残っています。犬が食べてはいけないものを口にしてしまった場合には、早急に吐かせるための催吐処置や内視鏡による摘出、開腹手術などが必要になる場合があるので、誤飲に気づいた時点で動物病院を受診しましょう。
消化に時間のかかる食べ物に注意
食物繊維を多く含む食べ物は適切な量を与えることで便通の改善効果が得られますが、犬は人と比べ食物繊維の消化が苦手なため、与え過ぎると軟便や下痢の原因になるので注意が必要です。
犬は肉食寄りの雑食であるため、野菜や雑穀は消化しにくく、消化に時間がかかったり消化不良を起こし、下痢や軟便、嘔吐などの症状を引き起こしてしまうことがあります。
食後の運動は控える
食べ物が胃の中にある状態で急に運動すると、胃が多量のガスで膨れ上がり、胃が捻れる「胃拡張・胃捻転症候群」を起こすことがあります。
胃拡張・胃捻転症候群を発症すると腹部が膨らみぐったりとし、頻繁にゲップをしたり大量のよだれが出るようになります。その後、呼吸困難や脈圧の低下が起こり急激に状態が悪化して、ショックを起こし死に至ります。胸の深い大型犬に多い病気ですが、小型犬でも発症することがあります。
食後2時間ほどは安静を保ち、散歩や運動を控えましょう。
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消化管に負担がかからないような健康管理を
食後すぐに散歩に出かければ胃拡張・胃捻転を起こすことがありますし、消化管が未発達な子犬の空腹時間が長くなれば低血糖を引き起こすなどのトラブルも考えられます。
犬の消化にかかる時間は、年齢や食餌内容によって違いがあります。飼い主さんが知識をもって、普段から正しく健康管理をしてあげてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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