【獣医師監修】犬の脳腫瘍について。脳腫瘍が疑われる兆しや治療方法、かかる費用の目安
人間と同様に、犬にも脳腫瘍という病気があります。脳は身体や心のさまざまな機能を司る役割があるため、腫瘍ができてしまうと多岐にわたる症状が発現します。
脳腫瘍は予防できる病気なのでしょうか?ここでは、犬の脳腫瘍の原因や治療法・予防について触れていきます。
犬の脳腫瘍とは|兆しとされる症状
犬の脳腫瘍とは頭蓋内に発生する腫瘍の総称であり、腫瘍が悪性か良性かに関わらずさまざまな症状が現われます。また、脳のどの部位に発生するかによって症状が異なります。
犬の脳腫瘍だと疑う症状について
早期の発見で症状が現れないこともあれば、痙攣発作や食欲不振、姿勢や歩行の異常が見られたり、目が横方向、縦方向に揺れる眼振、視力低下、斜視など目に変化が現れることがあります。また、穏やかな性格の子が怒りっぽくなったり、臆病になるなど性格の変化が起こることもあります。
脳腫瘍は他の犬や人間にうつる?
脳腫瘍は感染症ではないので、他の犬や人間にうつる心配はありません。
犬の脳腫瘍の原因は?
犬の脳腫瘍は「脳原発性腫瘍」と「転移性(続発性)腫瘍」に大別されますが、脳原発性腫瘍が起こる原因については解明されていません。
脳原発性腫瘍
脳や脊髄自体が腫瘍化することもありますが、犬や猫に特に多く見られるのは、脳や脊髄を保護する髄膜という膜が腫瘍化する、「髄膜腫」と呼ばれる腫瘍です。ある報告(※1)では、犬の脳腫瘍178 症例のうち、髄膜腫45%、星状細胞腫17%、希突起神経膠腫が14%、脈絡叢腫瘍が7%、原発性中枢神経系リンパ腫が4%であったとされています。
このうちの髄膜腫について解説しますと、髄膜腫は人間でも発生する腫瘍で、全摘出を目指した外科切除による治療が行われています。
犬での髄膜腫は、脳を圧迫し、強直性のてんかん発作、運動失調、行動の異常、性格の変化などのさまざまな症状を引き起こします。
転移性腫瘍
腫瘍は身体のさまざまな部位に発生しますが、脳に隣接する組織や脳以外に発生した腫瘍から脳に転移する事があります。犬で最もよく見られるのは血管肉腫という悪性腫瘍であるとの報告があります。
かかりやすい犬種や年齢
犬の脳腫瘍は犬種、性別、年齢を問わず発生しますが、特に高齢犬に多く見られる傾向があります。ゴールデンレトリバーやフレンチブルドッグ、ボストンテリアなどは脳腫瘍の好発犬種と言われています。
犬の脳腫瘍の治療法や費用の目安
犬の脳腫瘍の治療方法は、外科手術や化学療法、放射線療法などの積極的な治療を行う場合と、生活の質を保つために自宅でケアする保存療法があります。犬の年齢や体力などにより、どのような治療方法が適しているか、獣医師やご家族とも良く話し合う必要があります。
治療にかかる費用
脳腫瘍は血液検査などの一般的な健康診断では見つかりません。症状などから脳腫瘍を疑い、確定診断するには全身麻酔をかけてのMRI検査やCT検査、脳脊髄液検査などを受ける必要がありますが、これらの検査を受けるには医療設備の整った専門性の高い病院を受診する必要があり、検査だけでも費用は高額になる傾向にあります。
費用の目安
動物病院によって差がありますが、目安として診察料に1,000~2,000円、MRI検査に5〜10万円、検査のための全身麻酔に1万5千円くらいかかります。また、積極的に治療する場合には化学療法における抗がん剤が1回につき2~3万円、放射線療法には1回につき1~5万円くらいかかると考えられます。
犬の脳腫瘍を予防する方法はある?
脳腫瘍という病気はハッキリとした原因が解明されていない上、生活習慣などは関係ないとされているため、残念ながら予防策を講じることは困難です。できるだけ早期に発見し、治療を開始することが重要になります。
再発する可能性
脳腫瘍には良性と悪性がありますが、悪性腫瘍の場合には転移する可能性が高くなります。手術をした後も、化学療法(抗がん剤)や放射線療法など再発を防ぐための治療が行われます。
愛犬が脳腫瘍を患ったときに飼い主さんが出来ること
脳腫瘍と聞くと「命に関わる怖い病気」「治らない病気」というイメージから悲観的になってしまう飼い主さんが多い傾向があります。確かに治療が難しい病気ではありますが、薬の服用などによりQOL(生活の質)を維持し元気や食欲を回復させるなど、飼い主さんにできることもたくさんあります。
どのようにすれば愛犬にとっていちばん良い選択肢になるのかを家族や獣医師とよく話し合い、納得した上で治療を受けることが大切だと心に留めておくといいでしょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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