【獣医師監修】愛犬の後ろ足の様子がおかしい。考えられる原因と病気について解説します
立ち上がるときにふらついたり、散歩中にびっこを引いていたりと、愛犬の後ろ足の様子がおかしいと、何かの病気ではないかと心配になりますよね。
ここでは、犬の後ろ足の様子がおかしいときに考えられる原因や病気、対処法についてご紹介します。
目次
後ろ足の様子がおかしいときに考えられる原因
犬の後ろ足の様子がおかしいとき、考えられる原因には次のようなものがあります。
- 足の裏に異物が付着している、肉球に炎症がある
- 外傷
- 加齢によるもの
- 病気
足の裏に異物が付着している、肉球に炎症がある
散歩中に人間が噛んだガムや草の実を踏み、足裏の肉球の間にはさまってしまうことがあります。犬は違和感を感じ、足を挙げて歩いたり、足先をペロペロと舐めることがあります。また、こういったきっかけで舐めすぎた結果、肉球が腫れて炎症を起こす場合があります。
外傷
散歩道に落ちているガラスの破片や木の枝などで足の裏を傷つけてしまうことがあります。また、夏場は気温が上がりアルファルトが熱くなるため、火傷を負う危険性があります。
加齢によるもの
多くの老犬は、後ろ足から老化が始まると言われています。筋力が低下したり、関節の軟骨がすり減ることで痛みを感じ、立ち上がる動作がぎこちなかったり、散歩で立ち止まったときに後ろ足がガクガクと震えることがあります。
病気
膝蓋骨脱臼や股関節形成不全、腫瘍などの病気が原因で後ろ足に異常が見られることがあります。
併発していたら要注意の症状
犬の後ろ足がおかしいときに、次のような症状を伴っているときは病気や怪我の疑いがあります。すぐにかかりつけの動物病院で診察を受けましょう。
こんな症状を併発しているなら要注意!
- 後ろ足を気にして舐めている
- 後ろ足を挙げて歩く
- 歩きたがらない
- 腰を振るように歩く
- 歩くときにふらつく
- 触られることを嫌がる
- 触ると悲鳴をあげる
後ろ足の様子がおかしいときに考えられる病気は?
犬の後ろ足がびっこを引いていたり、ふらついて歩くときには病気の可能性も考えられます。ここでは代表的な5つの病気についてご紹介します。
椎間板ヘルニア
背骨同士をつないでいる椎間板には脊椎にかかる圧力を分散する大切な役割がありますが、激しい運動や外傷などが原因で従来の位置から突出すると椎間板ヘルニアとなります。悪化すると脊椎の中にある太い神経(脊髄)を圧迫し位置によりさまざまな運動障害が生じます。
犬は発症すると後ろ足がふらついたり、段差を避けて歩いたり、抱き上げると悲鳴をあげるようになります。
どの犬種でも発症の可能性はありますが、ダックスフンドやコーギー、ペキニーズ、ビーグルなどは椎間板ヘルニアの好発犬種として知られています。
股関節形成不全
股関節が発育の段階で形態的な異常を起こし、関節のかみ合わせが浅くなる病気です。大型犬や超大型犬での発症が多く見られます。
股関節形成不全の犬は「モンローウォーク」という腰をふるような特徴的な歩き方をしていたり、横座りが見られることもあります。
関節炎
加齢や外傷などさまざまな原因で関節に負荷がかかり、関節軟骨に炎症が起こる病気です。重症になると歩行障害が見られます。
肥満の犬は関節にかかる負担が大きく、症状を悪化させてしまうので、体重管理に注意しましょう。
膝蓋骨脱臼
犬の膝蓋骨脱臼は小型犬でよく見られる病気です。膝にあるお皿のような骨(膝蓋骨)が正常な位置から内側、または外側に外れてしまう状態で、遺伝的な影響が大きいと考えられています。
症状は脱臼の程度によりさまざまで、無症状のこともあれば、びっこを引いたりスキップのような歩き方をすることもあります。
指間炎
犬が足先に違和感を感じて気にして舐めたりすることが原因で、指の間や肉球の隙間に炎症がおこし指間炎になります。散歩で濡れた足をケアせずそのままにし、雑菌が繁殖して発症することも多いようです。
炎症を起こした部位は赤く腫れ、ひどい場合には膿んでしまうこともあります。すると更に、炎症を起こした部位を気にした犬が舐めたり噛んだりして、細菌が繁殖し悪化することもあります。
愛犬の後ろ足がおかしいと気づいた時の対処法
犬の後ろ足がおかしいと感じたら、次のように対処しましょう。
飼い主さんにできること
まずは犬の後ろ足をチェックしましょう。足の裏にガムや木の枝などの異物がはさまっているような場合は、取り除くだけで違和感がなくなり歩き方は改善します。足を触ろうとすると痛がったり、嫌がるときには無理をせず動物病院で診察を受けましょう。早い段階でレントゲン検査など適切な検査を行うことで、原因が分かって症状に合った治療を進めることができます。
動物病院に行くときに準備すること
動物病院では獣医師が歩行の様子を確認しますが、病院では犬が緊張してしまい、足を引きずらなくなることがあります。犬の症状を正確に伝えるためにも。自宅で歩き方を撮影し、動画を持参すると良いでしょう。
愛犬の様子がいつもと違ったら獣医師に相談を
犬の後ろ足に違和感を感じるときは、足の裏を怪我していたり、関節に痛みを感じているのかもしれません。原因によっては早期に対処しなければ悪化してしまうこともあるので、早めに動物病院を受診することをおすすめします。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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