【獣医師監修】老犬がごはんを食べない場合の対処法について|食べさせるコツや注意点を解説
犬も年齢を重ねて老犬になると、ご飯を食べる量が少しずつ減ってきてしまうことがあります。食いしん坊だった愛犬が、あまりにも食べる量が減ってきてしまうと、不安になってしまいますよね。老犬がご飯を食べない理由は、運動量が低下することによる空腹感の減退だけではないかもしれません。
今回は老犬がご飯を食べない理由とその対策についてご紹介します。
目次
老犬がご飯を食べない理由とは
まずは、老犬がご飯を食べない時に考えられる理由を4つご紹介します。
ご飯を食べない原因は老化による機能低下だけでなく、病気が潜んでいる場合もあります。体重の増減のチェックや、獣医師による定期的な健康診断で身体の状態を把握し、健康状態をよく観察してあげてくださいね。
【1】代謝や運動量の低下
人間と同じように、犬も加齢とともに足腰が弱くなり、運動量が低下します。運動量が低下することで必要とするエネルギーや代謝も減少し、お腹が減りにくくなる一因に。
また、筋力が落ちてしまうと、食餌を摂っている間に姿勢を保ちにくく、頭を上げ下げする動作が辛くなり、ご飯の時間自体を嫌がってしまうこともあります。
【2】病気による食欲不振
病気が原因で食欲不振になってしまう場合もあります。
老犬は歯周病、歯肉炎になりやすく、歯茎の腫れや出血、歯のぐらつきといったことで、固いご飯が食べにくくなってしまうでしょう。
嘔吐を伴う場合は、消化器系の病気、肝不全、腎不全といった病気が考えられます。下痢症状がみられたら、感染症などで腸にダメージを負っている可能性も。
ご飯だけでなく、水分も摂れない場合は脱水を引き起こしていないか注意が必要です。見た目で分かる胃腸炎などの病気だけではなく、悪性腫瘍などの深刻な病気が潜んでいるかもしれません。
【3】味覚や嗅覚の衰え
老犬になると、味覚や嗅覚が鈍くなってしまうことがあります。
好物だった食餌も、味覚や嗅覚が鈍くなることで、美味しさをあまり感じなくなって食欲が落ちたり、好物が変わったりする場合もあります。
【4】消化機能の衰え
高齢になると、消化機能も徐々に衰えていきます。唾液や胃液などの分泌が弱まり、肝臓や腎臓といった臓器の働きも低下する傾向にあります。消化機能の低下は食欲不振にも繋がってしまうでしょう。
シニア期の愛犬がご飯を食べない場合の対処法
続いて、老犬がご飯を食べなくなった時の対処方法を紹介します。
もしかすると、ひと工夫することで食べられる量が増えるかもしれません。犬の健康状態や体調に合った方法を試してみてください。
食餌の量や回数を工夫する
老犬の食餌回数は、1日3〜5回くらいがおすすめです。
噛む力が弱くなったり、歯周病、歯肉炎になりやすかったり…老犬にとって1回の食餌の量が多いと、それだけ負担になってしまうかもしれません。
体力や体調に合わせて、1日に必要な食餌の量を小分けにし、回数を調整してみましょう。
食器の高さを変える
頭を上げ下げし辛い様子が見られたら、食器の下に、高くするための台を設置して頭を下げなくても食べられる高さに食器をセットしてあげてください。
ホームセンターなどでも専用の台が販売されていますが、家庭にあるプラスチックケースや段ボールなどで代用可能です。犬の食べる様子を確認しながら、食べやすい高さに調整しましょう。
フードをふやかす
噛む力が弱くなってきた時には、ドライフードを水かぬるま湯で柔らかくふやかしてあげるのがおすすめです。
ただし、ドライフードをふやかす際に熱湯を使用すると、ドライフードに含まれる栄養素が壊れてしまう場合があるので、必ず水かぬるま湯を使用しましょう。
トッピングしてあげる
ご飯をあまり食べないようであれば、好物のウェットフードをトッピングしてあげるのも、ひとつの手です。
普段からウェットフードを食べている場合には、少し温めて匂いを強く感じさせるように工夫すると、食欲増進に繋がることもあります。
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老犬がご飯を食べない場合に気をつけること
老犬がご飯をあまり食べなくなってきた時に、気をつけたいポイントがあります。食欲や体調と併せてチェックしてみましょう。
水分はしっかりと摂取させる
食事量が減ってくると同時に、水分をあまり摂らなくなってしまうケースがあります。ご飯を食べなくても、水分はしっかりと摂取するように気を付けてあげましょう。
特に、老犬は喉の渇きを感じにくく、脱水症状を起こしやすい傾向にあります。水飲み場を増やすなど、こまめに水分補給ができる環境作りも大切です。
1日のトータルの食餌量
老犬になってくると、急にご飯を食べなくなってしまうことも。特に具合が悪い様子が見られなければ、1回の量で判断するのではなく、1日のトータルの食餌量を確認しましょう。
また、老犬は代謝や運動量が衰えてきているため、成犬時と同じ量やカロリーを摂取してしまうと肥満に繋がってしまうこともあります。食欲が落ちたからといって、好きなものやおやつの量を増やすのではなく、総合栄養食をメインに食べさせるようにしましょう。栄養バランスや摂取カロリーをよく考えたメニューを用意してあげてくださいね。
ご飯を食べないのは寿命が近いサイン?
ご飯を食べなくなると、寿命が近いのではないかと気がかりになりますよね。次に、食欲不振以外に見られやすい症状をまとめてみました。
その他の症状
寿命が近づくと、以下のような症状が見られることがあります。しかし、これらの症状すべてが当てはまるわけではありません。なんの兆候もなく、突然亡くなってしまうケースもあります。
- 歩行困難(寝たきり)
- 睡眠時間が長くなる
- 下痢
- 不規則な呼吸(短い呼吸の停止、浅い呼吸など)
- 手足のバタつき
- 反応が鈍くなる(意識レベルの低下)
動物病院に相談する
寿命が近づくとさまざまな症状がみられますが、体調不良という場合も考えられます。かかりつけの動物病院を受診し、血液検査などで内臓機能の状態を確認し、治療の必要があるか相談してみるのがおすすめです。
日頃から愛犬の健康チェックを欠かさないようにしよう
老犬は、加齢による運動量や体力、筋力などの低下に伴い、食欲不振になってしまう場合もあります。また、食欲だけでなく体重の変化や元気があるかなど、日々の健康チェックや獣医師による健康診断も大切です。
愛犬の体力や健康状態に合わせて、食餌の工夫も取り入れてみてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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