ぷにぷにとした肉球は、犬の身体の中でも特にかわいい部位のひとつですよね。わたしたちからすれば癒しの部位ですが、犬にとって肉球は、足にかかる衝撃を和らげたり、足先を保護する靴のような役割を担っています。そんな肉球がパンパンに腫れてしまったらとても心配になりますよね。そこで今回は、犬の肉球が腫れている場合に考えられる原因や病気、必要な対処法について解説します。

犬の肉球の役割について
冒頭でも述べましたが、犬の肉球には重要な役割があります。可愛いだけではない肉球の働きについて見ていきましょう。
足の保護
表皮・真皮・皮下組織の3層からなる肉球は、内側が脂肪や弾力のある組織で構成されており、歩くときや走るとき、さらにはジャンプするときにかかる衝撃を吸収してくれています。外側は角質化した皮膚で覆われているので、地面からの熱や冷気、石や木の枝などの鋭利なものからも守ってくれているのです。
滑り止め
肉球の表面にはスパイクのような突起が密集しているため、走っているときの急停止や急旋回といった動きが可能になっています。ぷにぷにと柔らかいですが、滑り止めの役割があるのです。
また、運動時には肉球から汗を分泌することで、思いっきり走り回っても滑りにくくなっていると言われています。
地面の情報を得る
肉球には多くの神経と血管が通っており、地面の温度や状態を感じ取っています。犬がトイレシートの感触を覚えて、似た感触の場所をトイレだと認識するのも、肉球で感じ取った情報によるものです。
犬の肉球が腫れている場合に考えられる原因
犬の肉球がパンパンに腫れているときは、次のような原因が考えられます。
1.病気によるもの
足の裏が何らかの原因によって炎症を起こしたときや、肉球に腫瘍ができたときには、足の裏が赤くなったり腫れ上がることがあります。
2.肉球を頻繁に舐めている
散歩中にガラスなどを踏んで足を傷つけたり、暑い季節にアスファルトで火傷したり、トゲが刺さったりしていると、犬は肉球を気にして頻繁に舐め、腫れてしまうことがあります。足の裏を気にしているときは、まずは飼い主さんが肉眼で異常が無いかよく観察しましょう。
また、強いストレスを感じているときに足先や肉球をなめ続けたり、噛んで腫れることも考えられます。長時間の留守番や運動不足、環境の変化などはストレスの原因になるので、できる限り生活環境を改善してストレスを無くしてあげましょう。
3.ハチなどの害虫に刺された
散歩中や山などでアウトドアを楽しんでいるとき、ハチや毛虫、ムカデをはじめとした動物や人間に危害を与える生き物に遭遇し、誤って踏んでしまうことがあります。犬が害虫に刺されたり噛まれると、悲鳴をあげたり、足の裏を気にして舐めたり、肉球がパンパンに腫れる様子が見られます。
ハチの毒は激しいアレルギーや炎症、痛みを引き起こしたり、神経や筋肉、心拍や血圧など体の重要な調節機能に悪影響を及ぼす危険性があり、緊急の対処を要する症状を引き起こします。
冒頭でも述べましたが、犬の肉球には重要な役割があります。可愛いだけではない肉球の
働きについて見ていきましょう。
4.アレルギー
何らかのアレルギーによって肉球が腫れてしまうこともあります。アレルギーの原因は食べ物によって引き起こされる食物アレルギーや花粉やノミなどの環境要因によるアレルギーなどさまざまです。肉球だけでなく顔や体に赤みや腫れを伴ったり、痒みから頻繁に舐めてしまうことで炎症を起こしたり感染症を引き起こすこともあるので、なるべく早く動物病院を受診しましょう。
犬の肉球が腫れている場合に考えられる病気
犬の肉球が腫れてしまったとき、考えられる病気についてご紹介します。
肉球に明らかな腫れがみられるとき
肉球の一部分が明らかに腫れていたり、腫れ以外に目立った症状が見られないときなどは、何らかの腫瘍の可能性があります。
腫瘍
肉球にできる腫瘍の種類はさまざまで、肥満細胞腫や悪性黒色腫、扁平上皮癌などが挙げられます。肉球が腫れる以外に目立った症状が見られないこともありますが、腫れを気にして舐めたり、地面と擦れて出血したり、歩きにくくなることがあります。
一般的に良性の腫瘍の場合は進行速度が比較的ゆるやかで、転移の可能性は少ない場合が多いと言えます。しかし、悪性の腫瘍は進行が早く、場合によっては指を切除する必要があったり、リンパ節や肺などの臓器に転移し命をおびやかすこともあります。
指の間が腫れたり赤くなっているとき
肉球や指の間が赤く腫れていたり、足先を頻繁に舐めたり、脱毛するような場合には指間炎の疑いがあります。適切に治療を行わないと、完治までに長期間を要することがあるので注意が必要です。
指間炎
指間炎はその名の通り指の間や肉球の間に炎症が起こる病気ですが、気にして舐めたり噛んだりを繰り返すうちに悪化し、ひどい場合には肉球までパンパンに腫れてしまうことがあります。
指間炎の原因は皮膚病やストレス、足の裏の怪我や火傷などさまざまですが、意外に多いのが散歩から帰った後の足の洗いすぎによるものです。足を洗った後、指の間に湿気が残っていると雑菌が繁殖し、炎症を起こす原因になります。日常的なお手入れは、濡らして硬く絞ったタオルで拭く程度にしましょう。
肉球が腫れているときの対処法
犬の肉球がパンパンに腫れてしまったときの対処法をご紹介します。
自宅でできるケア
自宅でのケアについて獣医師から指示があれば、従いましょう。飼い主さんができる基本的な肉球ケアについてご紹介します。
靴下や靴を履かせる
慣れるまで時間がかかりますが、犬用の靴下や靴を履かせるのもおすすめです。肉球にかかる負担を軽減し、足を過剰に噛んだり舐めることを防止します。
注意点として、犬は肉球から汗をかくので蒸れやすく、雑菌が繁殖しやすいので、靴を脱いだ後は足を拭いて清潔に保ち、毎日新しいものに交換するように努めましょう。また、滑り止めが付いていない靴下はフローリングで滑りやすいので注意しましょう。
肉球クリームを塗る
犬の肉球クリームにはクリームタイプ、ジェルタイプ、ミツロウタイプ、ローションタイプなどがあります。無香料・無着色、アルコール不使用など、安全性が高く、犬が舐めても問題のないクリームを選びましょう。クリームを塗った後は、すぐに舐め取ってしまうことがないように、乾くまで30分ほどエリザベスカラーを装着しておくのも1つのアイデアです。
動物病院を受診する
通常、健康に問題の無い子であれば肉球がパンパンに腫れてしまうことはありません。まずは動物病院を受診し、原因に合った治療を受けることが大切です。肉球にできた傷や腫れは治りにくいことが多いので、悪化する前にきちんと治しましょう。
なるべく早く動物病院へ連れて行きましょう
犬の肉球がパンパンに腫れているときは、病気や怪我などのトラブルが疑われます。肉球は割れたり出血すると治りにくい部位なので、ひどい状態になる前に動物病院を受診し、適切な治療を受けましょう。
肉球のトラブルは気が付きにくいかもしれませんが、愛犬が足を気にして舐めていたり、歩き方に異常を感じたら足の裏をチェックしてみてくださいね。
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