犬のナックリングって何?原因や症状を知って予防や対策をしよう
愛犬が歩くとき、不自然に足先を丸めて足の甲で歩いていませんか?地面で足をこすりながら歩いているのに、愛犬自身が気にしていない様子はありませんか?
もしこれらの症状が当てはまったら、ナックリングという病気かもしれません。どんな年齢、どんな犬種のコでも患う可能性はあります。もしものときのために、ナックリングの詳しい症状や、対策について知っておきましょう!
「ナックリング」はどんな症状?
体重を支えきれず手首足首のあたりで内側に足が折れ曲がることを「ナックリング」と言います。足の甲で地面に立ち、歩くときもそのまま甲を引きずって歩くのが特徴です。前肢・後肢どちらも発症する可能性があります。
多くの場合、痛覚麻痺も同時に発症するため、出血していても痛がったり足を気にしたりせず歩き続けることがほとんどです。
ナックリングの原因って?
ナックリングは何が原因で引き起こされるのでしょうか。原因として考えられるものを見ていきましょう。
腕神経叢裂離(わんしんけいそうれつり)
ひとつめは腕神経叢裂離(わんしんけいそうれつり)という神経の病気による症状で、主に前肢に異常がでます。交通事故などによる外傷や転倒、高所からの落下など外部からの神経の損傷が原因として挙げられます。
腕神経叢裂離とは、頸椎(首辺り)から前肢に伸びている腕神経になんらかの異常が起きている状態のことを指し、下記のような症状が表れます。
- 神経が上手く情報を伝達できず足が不自然に曲がる(ナックリング)
- 肩や肘が動かしにくくなる
- 痛覚麻痺を起こす(痛みに鈍感または感じなくなる)
加齢による筋肉や神経の衰え、脊椎の変形
ふたつめは加齢による筋肉や神経の衰え、脊椎の変形などが原因となる症状で、主に後肢に下記のような異常がでます。
- 足が不自然に曲がり、甲を地面に付ける
- 爪や足をひきずって歩く
- 痛覚麻痺を起こす
いずれも、神経の損傷がひどい場合は、足の切断に至ることもあります。
また、椎間板ヘルニアの症状として表れることもあるため、ヘルニアを発症しやすい胴長で短足のコーギーやダックスフンドなどの犬種は特に注意が必要です。
ナックリングを予防する方法はある?
加齢で足腰が弱くなってきている、歩き方がおかしいなど少しでも「いつもと違うな、変だな」と思ったらすぐにかかりつけの獣医師に相談してください。既に神経が損傷していても、軽度なら回復することもあります。また加齢と共に少しずつ対策や予防の準備をしていれば、ナックリングの症状が出てからでも愛犬に負担をかけにくい生活を送ることができます。
ハーネスで筋力アップと歩行補助
散歩のときに胸元に装着するハーネスではなく、ヘルニアや足腰が弱って自力で歩くのが難しい犬のための歩行補助用ハーネスがあります。前足用、胴体用、後ろ足用など、愛犬の症状によって使い分けることができるほか、ハーネスを持ち上げることで足腰にかかる負担が減って歩きやすくなるため、愛犬自身の「歩きたい」という欲求を解消することにも繋がります。
散歩の機会を減らすことはより筋力の低下を招きますので、できるだけ歩く機会を失くさないようにしましょう。日光に当たることは皮膚病の予防になったり免疫アップにもなるので、お散歩ができない場合は日向ぼっこもおすすめです。
また、犬は後ろ足から老化がはじまると言われているため、若いうちから足腰の筋力を鍛えておくことで、シニア期に入っても健康的に暮らすことができると言えるでしょう。
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テーピングやサポーター、ブーツの活用
ナックリングの症状がある場合、麻痺で痛みを感じずらくなっており、足の甲や爪先を地面に引きずって歩くので怪我をする可能性もあります。そのようなときには犬用のブーツを履かせるのがおすすめです。症状が軽度であれば、サポーターや靴下、テーピングを活用することで足を曲がりにくくすることもできます。
犬はもともと素足で生活しているので、慣れるまでは嫌がったり脱いでしまったりしてしまうかと思いますが、無理をさせない範囲で、少しずつ慣らしていきましょう。
身体全体から足先へのマッサージ
予防としても症状が出てからでも行うことができるマッサージは、身体や足の血行を促進することで神経麻痺の緩和が期待できます。専門家に依頼することも、飼い主さん自身が自宅で行うことも可能です。飼い主さん自身がマッサージをする場合は、愛犬のためにきちんと正しい方法を学んで行いましょう!
負担のかかりにくい環境づくり
先ほども述べましたが、ヘルニアになりやすいコーギーやダックスフンドなどは特に、背骨に負担をかけないような環境を整えることが大切です。ジャンプや階段の上り下りなどは、なるべくさせないようにし、自宅に高低差のある段差がある場合は、スロープなどを活用するとよいでしょう。
また、老犬に限らず、首輪は頸椎を痛める可能性があるのでハーネスがおすすめです。
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病院を受診する
軽度の場合は回復の見込みもありますが、神経の損傷などによる症状は完治が難しく、緩和ケアがメインとなります。老犬の場合は手術はせず、リハビリや投薬、サプリメントの服用で経過を見ることが一般的でしょう。
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愛犬の歩き方に異変を感じたら獣医師へ相談しよう
どんな愛犬でも、ある日突然歩き方がおかしくなる可能性はあります。症状がでる前からの予防と、症状がでた後の対策をしっかり知っておきましょう。人間も犬も、できるだけ自分の足で歩くことが身体全体の健康に繋がります。
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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