いちじくは犬に与えちゃダメ|NGの理由と食べてしまったときに見られる症状
いちじくは「不老長寿(不老不死)の果物」とも言われる栄養価の高いフルーツです。スーパーに並ぶのはだいたい6~10月頃ではあるものの、定番の果物というわけではないので、近所のスーパーでは取り扱っていないというケースも多いのではないでしょうか。栄養豊富なものは愛犬にも食べさせてあげたいと思うのが親心だと思いますが、いちじくは犬には食べさせてはいけない果物です。本記事ではいちじくを犬に与えてはいけない理由と万が一食べてしまったときに見られる症状をご紹介します。
いちじくを与えるのは避けるべき理由
いちじくは葉に「ソラレン(※1)」、皮や茎に「フィシン(※2)」といった成分が多く含まれているとされますが、これらが犬にとって害を及ぼす(中毒症状を引き起こす)と考えられています。
愛犬に葉や皮などの部分を与える飼い主さんはあまりいないと思いますが、ソラレン・フィシンといった成分が万が一体内に入ってしまうと、口内に炎症が起きたり、よだれが過剰に分泌されたり、下痢や嘔吐などの症状が見られる可能性があるので、果肉部分であってもいちじくを犬に与えないようにしてください。
生の状態はもちろん、後述するドライフルーツなどの加工品も犬にあげないようにしましょう。
ソラレンを多く含む食べ物はいちじく以外にもレモン、グレープフルーツ、ライムなどの柑橘系の皮の部分やパセリなどです。(※3)
また、ラテックスアレルギーがある犬の場合、いちじくに対してもアレルギー反応を起こすことがあります。(いちじくはイラクサ目クワ科イチジク属に分類され、ゴムの木の仲間です。)
交差反応は稀だと言われていますが、いずれにせよ犬にいちじくを食べさせるべきではありません。ラテックスアレルギーはアボカドやキウイ、バナナなどでもアレルギー反応を示すことがあるようです。
※1 ソラレン・・紫外線の吸収率を高め、色素沈着や皮膚の炎症を引き起こすことがある成分。いちじくでは葉に多く含まれ、果実にはほとんど含まれていない。
※2 フィシン・・タンパク質を分解する酵素。いちじくを切ったときに出てくる乳白色の液体がこれにあたる。肌の弱い人は素手で触ってしまうとかぶれる可能性があるので注意。
※3【参考】「駒沢女子大学 教員の声|声のひろば|ニュース&トピックス|健康栄養学科「果物や野菜に含まれるソラレンの量はどのくらい?」にお答えします【拡散希望】」
インターネット上の「ソラレンを多く含む食べ物」という情報については、駒沢女子大学の西山教授より誤った情報が多いと指摘されています。気になる方はこちらをご覧ください。
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乾燥いちじくは犬に与えてもいいの?
果物の種類によっては与えてはいけないものもありますが、犬はドライフルーツ自体は食べることができます。しかし、糖質や繊維質の摂りすぎにより下痢や嘔吐の原因となってしまうことがあるほか、カロリーも高く肥満や糖尿病の原因にもなりかねないので、基本的にはドライフルーツを与える必要はありません。
ドライフルーツは皮ごと食べられるようになっているものもありますが、いちじくは皮にフィシンが多く含まれていると言われているため、ドライフルーツであっても食べさせるのはやめましょう。
また、乾燥いちじくはシュウ酸塩を多く含むので、尿路結石の既往がある場合は犬だけでなく人も食べ過ぎに注意と言われています。
乾燥いちじくのほかにも乾燥レーズンや乾燥プルーンも犬にとって危険な食べ物です。
愛犬がいちじくを食べちゃった・・どんな症状が出る?
犬がいちじくを食べてしまったときに見られる可能性がある症状について見ていきましょう。
ソラレンによるもの
下痢や嘔吐といった中毒症状のほか、元気不振などの症状が見られることがあります。下痢や嘔吐が続いてしまうと脱水症状を引き起こすこともあるため、注意が必要です。
また、紫外線を吸収しやすくなることから、ソラレンが皮膚に付着したあとに紫外線を浴びると皮膚に炎症が起こる可能性も考えられます。
フィシンによるもの
フィシンはタンパク質を分解する酵素のため、いちじくを肉と一緒に料理すると肉が柔らかくなったり、消化の助けとなるといった効果があります。また人に対しては整腸作用もあります。ただし、この酵素は人によっては手や口の中などに痒みを生じるケースもあります。
人には手助けとなる役割を持つ一方で、犬にとっては有害な成分です。万が一フィシンを舐めてしまうと口内が荒れたり、よだれが大量に出るなどの症状が見られます。
口の中や食道の炎症が重症だとごはんや水分を摂ることができなくなる可能性があり、危険です。
アレルギー反応
ラテックスアレルギーを持つ犬がいちじくを食べてしまった場合、交差反応(※)によりアナフィラキシーショックを起こす可能性があります。
アナフィラキシーショックの症状としては、下痢や嘔吐のほか、蕁麻疹、血圧の低下、頻脈、呼吸困難などです。状況によっては早急に処置をしないと命に関わるとても危険な状態のため、愛犬の様子がおかしいと感じたらすぐに動物病院に連れて行ってください。
※交差反応とはアレルゲンと似た構造のタンパク質に間違って反応してアレルギー症状が出てしまうことです。
どれくらいの量を食べると危険なの?
どのくらいの量のいちじくを食べたら危険なのかについて詳しいことは分かっていません。というのも、いちじくに限らず犬が中毒症状を起こす量や耐性は個体差が大きく、同じ量を食べて症状が出る子もいれば出ない子もいるからです。ほんの少し食べてしまっただけで症状が現れるケースや、食べた直後は特段問題なくても時間差で症状が現れることもあり、この程度であれば問題ないと言い切ることはできません。
もしもいちじくを食べてしまったことに気がついたら体調に変化がないか注意深く観察し、異変が見られたらすぐに動物病院を受診するようにしてください。
応急処置方法はある?
犬がいちじくを食べてしまった場合に飼い主さんが自宅でできる応急処置方法はありません。食べてしまった時点で一度かかりつけ医に相談し、指示を仰ぎましょう。
ここで挙げたような症状が見られた場合は、なるべく早く動物病院に連れて行ってください。その際にはどれくらいの量をいつ頃食べたのか、生なのか(果肉なのか皮なのか葉っぱなのかなども分かると◎)加工品なのか、食べてからどれくらいの時間が経っているか、どのような症状が見られるかなどをメモして獣医師に伝えてください。
犬にとって好ましくない食べ物はたくさんある
人間にとっては嬉しい効果がある食べ物でも、犬にとっては健康を損ねてしまう食べ物は意外に多いです。愛犬の健康を思って食べさせたのに、苦しい思いをさせてしまうのは犬にとっても飼い主さんにとってもつらいですよね。
犬になにかを与えるときには自己判断せず、信頼できる情報源の情報を参考にしたり、かかりつけ医に相談するようにしましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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