大きな病気や怪我による手術や避妊・去勢手術などにより、一時的に傷口を保護しなければならないときには術後服(エリザベスウェア)が大いに役立ちます。傷口を守るためのアイテムとしてエリザベスカラーもありますが、術後服だからこそ得られるメリットも少なくありません。そこで今回は、術後服の特徴や選ぶときにチェックしておきたいこと、おすすめの商品などや手作りする方法までご紹介します。

犬の術後服の特徴・用途
はじめに術後服の特徴と、術後服を選ぶメリット・デメリットを見ていきましょう。
術後服の特徴・用途
術後服は、術後の傷口を保護するために着せる服のことです。エリザベスウェアとも呼ばれます。手術をした後、違和感から傷口を舐めてしまうケースは多く、また、患部に巻かれた包帯が気になって引っ張り、傷口が開いてしまったり雑菌が入ったりすることも少なくありません。そんな時に役立つのが術後服です。術後服を着せることで、傷口の保護になるほか、傷口を舐めさせずに衛生的に保つことができます。
術後服を選ぶメリット・デメリット
犬によっては、術後服がデメリットになることもあります。メリット・デメリットの両方を頭に入れておきましょう。
メリット|邪魔になりにくくストレスが少ない
エリザベスカラーをつけて傷口を保護することも可能ですが、術後服は身にまとうタイプなので、エリザベスカラーと比べてストレスになりにくいのがメリットです。
エリザベスカラーは傷口を舐められないような形状になっており、傷の回復のサポートにとても役立ちます。しかし、ごはんを食べるときにエリザベスカラーがお皿に当たってうまく食事ができなかったり、歩いているときにエリザベスカラーが家具にぶつかってしまったりすることがあるなど行動が妨げられることに加え、周囲の音も聞こえにくくなるエリザベスカラーは犬にとってストレスであり、外そうと暴れてしまう子や動きたがらなくなる子は少なくありません。
一方、体にフィットする術後服は邪魔になりにくく、着ていても動きを妨げることがないので、エリザベスカラーよりもストレスになりにくいと言えるでしょう。
デメリット|服が苦手な子は嫌がる可能性あり
服が苦手な子の場合は、嫌がって服を噛んで引っ張ってしまったりするかもしれません。また、服を着せようとすると暴れて、傷口が開いてしまう可能性なども考えられます。そのため、術後服を嫌がる場合は、無理に着せる必要はありません。
また、術後服の上から執拗に患部を舐めてしまったり、患部が足先の場合には術後服では保護することができないので、このような場合にはエリザベスカラーを選択するようにしましょう。
エリザベスカラーに慣れてもらう方法はこちらの記事で紹介しています
愛犬がエリザベスカラーを嫌がる・・対処法はある?役割や慣れてもらう方法もご紹介!
犬の術後服が指示される理由
近年、犬の術後服が多くの飼い主さんに選ばれている理由は、先述した「犬のストレスが少なく傷口を保護できる」というメリット以外にも以下のようなものがあります。
・睡眠時や排泄時も邪魔になりにくい
・一見洋服のようなデザインで周りの目が気になりにくい
・伸縮性に優れているのに脱げにくくずれにくい工夫がされている
エリザベスカラーを装着しての生活は日数が経てば犬も慣れてくるので、次第にうまく適応するようになりますが、寝ているときはやはり邪魔になりがちです。最近では柔らかい素材でできているものや、枕になるようなものも販売されていますが、それでも違和感がありますよね。しかし術後服は洋服と同じ形状なので、睡眠の妨げになりにくいです。
また、皮膚病を患っているわんちゃんは色素沈着や発疹などにより見た目が痛々しく見えたり、治療のため被毛を短くしなければいけないこともありますが、周囲の人に虐待を疑われたり、心無い言葉を投げかけられた経験のある飼い主さんもいます。術後服であれば皮膚の状態を隠すことができるので、近所の目を気にせずお散歩に行きやすいという声もあるのです。
犬の術後服の3タイプ
犬の術後服には以下のようなタイプがあるので、患部の位置に応じて選びましょう。
袖なしタイプ
一般的に術後服は、袖がないタンクトップやTシャツタイプが多いです。袖なしタイプは動きやすく、ストレスになりにくいのがメリットです。
フルカバータイプ
四肢まですっぽり覆うフルカバータイプもあります。フルカバータイプは、手術後の傷口の保護はもちろん、皮膚疾患により体を舐めてしまうのを防ぐのにも役立ちます。
留め具の位置が異なる2タイプ
背中側で留めるタイプとお腹側で留めるものとがあります。お腹に傷口がある場合は、背中側で留めるタイプにするなど、傷口の箇所を考慮して選んであげてください。
犬の術後服選びのポイントは?
愛犬が術後服をストレスなく着られるよう、選ぶときは以下の点を確認するようにしましょう。
体に合ったサイズを選ぶ
サイズが合っていないと服が脱げてしまい、傷口を保護する役目を果たせません。同じ犬種でも体の大きさには個体差があるので、愛犬の首回り・胴回り・着丈を採寸し、きちんとサイズの合ったものを選びましょう。
また、術後服によってはオス用・メス用と分かれている場合もあります。サイズと併せて確認してから購入するようにしてください。
着脱がしやすいものを選ぶ
術後服は、ボタンやマジックテープで留めるものや、ファスナー式になっているものなどさまざまなタイプがあります。なるべく愛犬にストレスがかからないようにするためにも、飼い主さんが扱いやすく、着脱に時間がかからないものを選びましょう。
蒸れにくく動きやすい素材であるかを確認する
術後服は傷口を保護することを目的としたものなので、体にフィットするように作られています。そのため、通気性のよい蒸れにくい素材であるかを確認してから選びましょう。ポリエステルや綿など、素材によってはアレルギーを起こすこともあるので、注意してください、
また、伸縮性のよい素材かも重要なポイントです。伸縮性のよい生地で作られていれば、術後服と傷口が擦れても影響が少ないからです。加えて、締めつけ感が少なく動きやすいので、着ていてストレスになりにくいと言えます。
犬の術後服の簡単な手作り方法
着ないTシャツとはさみだけで、簡易的な術後服を手作りすることができます。術後服は、基本的に使う頻度が低いので、使用日数が少ない場合などは、手作りするのもよいでしょう。
材料
用意するTシャツは、愛犬のボディを覆うことができるサイズを用意してください。愛犬が動きやすいように、伸縮性のある素材が向いています。
- 伸縮性のある素材の人用のTシャツ
- 裁ちばさみ
作り方
- Tシャツの前身頃と後ろ身頃をハサミで切り離す(※使用するのは、どちらか一方の身頃)
- 愛犬の体にTシャツを当てて足の位置をチェックし、足を入れる部分をカットする
- Tシャツの両脇に、幅2cm程度の間隔をあけながら切り込み(15cm程度)を左右対称に入れる
- 2でカットした部分に愛犬の足を通し、ひも状になっている左右対称の生地を背中のところで結び合わせる
- 試着させたら、おしっこがかかりそうな部分を確認して、その箇所をカットする
- その他に邪魔な部分の生地をカットして完成
おすすめ商品の術後服
ここでは、おすすめの術後服をタイプごとにご紹介します。
タンクトップの術後服2選
タンクトップの術後ウェアは動きやすいのがメリットですが、体を覆う面積が狭いので、事前にかかりつけの獣医師に傷口の位置を聞いて、傷口が隠れるか確認しておくことをおすすめします。
ずれにくくて動きやすい!
首の根元部分がクロスし、犬の動きに合わせて可動するデザインになっていることから、体にぴったりとフィットしてずれにくいのが特徴です。通気性のよいメッシュ素材で伸縮性にも優れているので、ストレスなく着せられます。また、着たまま排泄することも可能です。
防臭・抗菌加工で機能性が高いのが嬉しい!
衛生的に着ることができるよう、防臭・抗菌加工が施されています。吸水速乾性や伸縮性にも優れており、機能性が高いのも嬉しいところです。ボタンで留めるタイプで、ボタンの一部を外してサイズを調整することもできます。
- 商品名:犬用術後ウェア
Tシャツの術後服2選
Tシャツタイプの術後ウェアは、以下の2つがおすすめです。
おしっこやうんちが服につきにくく衛生的!
腹部の生地を巻き上げて固定できるようになっているので、おしっこやうんちをするときに服につきにくく衛生的です。快適に着られるように柔らかいコットン素材で作られています。頭を通して着せる必要があるので、服に慣れているコにおすすめです。
- 商品名:Gojiny/犬用術後ウェア
普段着としても活用できる!
柔らかくて肌触りのよいコットン100%で、着心地のよさが魅力です。ボーダー柄のおしゃれなカラーで、術後服としてだけでなく普段着としても活用できます。背中側にボタンが付いており、着脱がしやすいのもポイントです。
フルカバータイプの術後服2選
フルカバータイプの術後服は、確実に傷口を覆えるのがメリットです。
排泄部分をカットして使用できる!
肌に優しい高品質のコットン素材を使用しているので、皮膚が弱いコにもおすすめです。オス・メス兼用ですが、排泄部分をカットして使用できるようになっています。マジックテープで留めるタイプで着脱がしやすいと好評です。消臭・抗菌加工も施されているので、傷口を衛生的に保てます。
- 商品名:Due Felice/犬の術後服
皮膚疾患の子におすすめ!首元まで隠れるデザインの術後服
首元から足先まで隠れるタイプの術後服なので、皮膚疾患で体を掻いてしまうのを防ぐのにおすすめです。動きやすさも考慮し、ストレッチのきいたコットン素材で作られています。また、通気性もよいので蒸れる心配もせずに済みます。
ストレスになりにくい術後服で愛犬の傷口の保護を!
エリザベスカラーの装着は、食事や行動の妨げになってしまうといったデメリットがありますが、術後服であればそのような心配はありません。選ぶ際はサイズや素材、着脱のしやすさをチェックし、ストレスになりにくい術後服を選んであげましょう。
ただし、愛犬の様子や患部の場所によっては術後服ではなくエリザベスカラーの装着が推奨されるケースもあります。状況に応じて、傷口の保護はもちろん、なるべく愛犬の負担にならない物を選んであげられるとよいですね。
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