日本のペットブリーダーの実態に迫る。海外との違いやペット産業の法規制など解説

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犬や猫の生産者は通称「ブリーダー」と呼ばれています。ブリーダーは母犬や父犬を飼育し、交配により子犬を誕生させ、その子犬を販売することで収入を得ています。

ここでは、日本の産業におけるブリーダーの立ち位置やブリーダーの実態、ペットの繁殖に関わる法規制や条例についてご紹介します。

日本のペットブリーダーの実態に迫る。海外との違いやペット産業の法規制など解説

目次

  1. 日本の産業におけるブリーダーの立ち位置
  2. ブリーダーの実態
  3. ペットの繁殖に関わる法規制や条例
  4. 日本のブリーダーの現状は

    日本の産業におけるブリーダーの立ち位置

    子犬
    birgl

     日本の産業におけるブリーダーの立ち位置はどのようなものなのでしょうか。 

    日本と海外のブリーダーの違いとは

     法律や動物の福祉に対する考え方は国によって異なるため、海外と日本のブリーダーについて簡単に比較することはできません。

    ペット先進国と言われているドイツやイギリス、フランス、アメリカなどではブリーダーは犬の専門家として高い地位にあり、純潔種特有の健全性に重点を置きながら犬質の向上に努めています。

    日本にはブリーダーの専門資格が無い

     日本ではブリーダーになるために必要な専門資格はありません。犬種向上主義のブリーダーもいる一方、残念ながら十分な知識をもたず商業目的で無理な繁殖を繰り返すブリーダーが多く存在するのも事実です。

    繁殖させた犬や猫を販売するには、動物愛護管理法により第一種動物取扱業の登録が必要です。各自治体から犬や猫を飼育するための環境が整っているかの立ち入り調査を受け、専門知識を持っていることを証明し、開業許可を得ることで販売可能になります。

    ブリーダーの実態

    子犬
    vlaaitje

     ブリーダーの登録者数や犬・猫の生産業者の形態、犬の生産者の飼育頭数、犬・猫の取扱業者の従業員数についてご紹介します。 

    ブリーダーの登録者数

     平成28年度の環境省データによると、第一種動物取扱業者のうち、ブリーダーを含む「犬猫等販売業のうち繁殖を行う者」の登録状況は日本全国で12,603件となっています。 

    犬猫の生産業者の形態

     犬や猫の生産に関わる形態は、主に次のようなパターンに細分されています。 

    専業繁殖者

     最も市場に浸透しており、割合として全体の40~50%を占めるとされています。多品種、多頭数、牧場での大規模繁殖を行います。

    基本的には販売用の犬や猫をせり市に出し、同時に自分で販売する目的や繁殖用に不足した生体を補充する目的で、逆にせり市から仕入れることもしています。

    ペットショップ経営兼繁殖者

     ペットショップを経営するかたわら、自家繁殖を行います。全体の10~20%を占め、多品種、多頭数を扱う特徴があります。

    ブリーダー

     一犬種および少犬種の繁殖を行い、頭数生産のケースが多いという特徴があり、全体の10~20%を占めます。

    ブリーダーの大半は、直接最終的な飼育者に販売しているようです。

    趣味的繁殖者・一般購入繁殖者

     一犬種及び少犬種の繁殖を行います。全体の10~20%を占めます。 

    犬猫の取扱業者の従業員数

     自分一人での経営が20.1%、次いで従業員数2人が20.1%、1人が17.8%であり、3人以下が75%以上を占めています。 

    犬の生産者の飼育頭数

     平成13年度に環境省が行ったアンケート調査とヒアリング調査によると、50頭以上の飼育が 21.5%と最も多く、次いで10~20 頭未満(20.4%)、5~10 頭未満(14.9%)となっており、平均飼育数は36.3 頭です。

    性別でみると、オスの平均飼育数は8.2 頭なのに対しメスの平均飼育数は 26.9頭と3倍以上多くなっています。

    ペットの繁殖に関わる法規制や条例

    犬
    13040762

     ペットの繁殖には様々な法規制や条例があります。ここでは、2019年に公布された「改正動物愛護管理法」から2つの事項についてご紹介します。 

    幼齢動物の販売規制

     改正動物愛護管理法では、生後56日を経過しない犬及び猫の販売、販売のための引渡し・展示が禁止されました。

    これは、母犬や兄弟犬、人間に触れあわせることで適切に社会化することで成長後の問題行動を予防したり、免疫力を高めて出荷・販売することで感染症のリスクを減らすことに繋がります。

    日本犬6種は規制の対象外

     天然記念物に指定されている日本犬6種(柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬)は、今まで通り49日齢を超えれば販売できることになっています。 

    マイクロチップの義務化

     犬猫の販売業者(ブリーダー・ショップなど)はマイクロチップの装着が義務化されました。犬または猫を取得した日(生後90日以内の犬猫を取得した場合は、生後90日を経過した日)から30日を経過する日までに装着します。 

    現物確認・対面説明の義務化

     近年、インターネット上での動物の取引が増加していましたが、法の改正により生体を販売する際には、購入希望者に対して予め販売する動物の様子を直接見せると共に、対面によって飼養方法、生年月日など、適正に飼養のために必要な情報を提供することが義務付けられました。 

    日本のブリーダーの現状は

    犬
    PicsbyFran

     いかがでしたか?今回はペットと関わりがとても深い職業、ブリーダーの現状についてまとめました。ブリーダーになりたい人やブリーダーの仕事に興味がある人は、参考にしてみてくださいね。

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    komugi

    この記事のライター

    komugi

    都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!

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