犬にわさびを与えてはいけない理由と食べてしまった際の対処法
わさびは辛みが強いため、愛犬に積極的に与える飼い主さんは少ないと思われますが、好奇心からチューブ入りのわさびを齧ってしまったり、置いてあったわさびを誤って食べてしまった、ということが起こるかもしれません。人間ですら、わさびを付けすぎると涙が出たり鼻がツンとするので、犬が舐めたり飲み込んでしまったら大変なことになるというのは想像に難くないですよね。
今回は、犬がわさびを誤って食べてしまった場合、体調にどう影響するのかを解説します。
目次
犬にわさびを与えても問題ない?
結論から言うと、わさびは刺激物にあたるため、犬が食べてはいけない食材の一つです。
そもそもそんな刺激物を犬が自ら食べたりすることはないのですが、物を噛む癖があったり、ストレスが溜まっている時など、興味本位から歯ごたえのあるものを噛んでしまうことがあります。
もし、それがわさび入りの容器だったら、ついつい舐めたり口に入ったりすることは容易に考えられます。特にわさびはペーストですから、犬は固形物のように吐き出すことができず、飲み込むしかないのです。
わさびに含まれている成分
人間にとってわさびは、ほんの少量だけを用いて風味や味覚を変えて楽しむ薬味です。しかし、犬にとっては少量であっても刺激物であり、胃腸の健康を損なうことにもなりかねません。
その刺激物はどういったものなのでしょうか。その成分を見ていきましょう。
独特の辛み成分が刺激の元
わさび独特の辛み成分は「アリルからし油」という辛子油の一種だとされています。
そのままかじっても辛さはあまり感じませんが、すりおろすことでわさびの細胞が破壊され「ミロシナーゼ」という酵素が働き、辛子油配糖体(グルコシノレート)が分解されて辛く感じるようになります。
揮発性が高いため、時間を置くと徐々に辛みはなくなっていくので、おろしたてのわさびを薬味に使うのはそのためです。
しかし、チューブ入りのわさびの場合、鮮度を保つ工夫がしてあるので、おろしたての風味がずっと生きたままなのです。そのため、犬が誤ってチューブ入りのわさびを食べてしまった場合は、辛み成分をきちんと摂取してしまうということになります。
実は豊富な栄養成分に富んでいるわさび
わさびにはタンパク質やカルシウム、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンCなどが含まれているため、栄養成分に富んでいると言えるでしょう。
確かに体には良いのですが、辛みが強く少量しか摂取しないため、やはり風味を楽しむものなのです。
犬がわさびを食べてしまった際に考えられる症状と対処法
普段から気を付けていても、犬は思わぬ隙をついていたずらしたり、異物を飲み込んだりしてしまうものです。もし愛犬がわさびを食べてしまったら、どのような症状が出るのでしょうか?
また、もしもの時に慌てないよう正しい対処法も合わせて見ていきましょう。
胃腸に変調をきたしてしまう恐れも
わさびの辛み成分が胃の中に入ると、胃粘膜を刺激して嘔吐したり、胃炎になる可能性があります。また、腸の働きに変調をきたして下痢を引き起こすことも。
胃腸が悪くなってしまうと食欲不振になり、体の調子自体が悪くなることもあるので注意が必要です。
症状が出た場合の対処法
もしわさびを食べて愛犬の様子に異常があった場合、適切な処置が必要になります。速やかにかかりつけの動物病院等で診察してもらいましょう。
半日〜1日絶食させたり、吐き出させたりなどの対処法がありますが、まずは獣医師にどれだけの分量を口にし、どんな症状が出ているのかをきちんと説明することが大切です。
わさびは口に入ると吐き出せない?
チューブ入りのわさびはペースト状になっていて簡単には吐き出せないこともありますが、吐き出せないのは犬の味覚構造にも大きな要因があります。
人間と比較して犬の味覚の感度は1/5程度だと言われており、辛いものかそうでないのかが感知しにくい構造になっています。そのため、口に入れた瞬間は辛さをさほど感じず、気付かないうちに飲み込んでしまうということが起こります。
また、辛みや苦みを感じる味蕾細胞は舌の奥の方にあるため、辛みを感じた時にはすでに喉の近くに流されている状態で、飲み込まざるを得ないということになります。
わさびを使ったしつけがしたいなら犬用のアイテムを
刺激のあるわさびの辛さを利用して、噛んでほしくないものに少量塗り、噛み癖の矯正として使うという方もいます。確かにわさびは手に入りやすく、ほんの少量を塗るだけでも、その辛さに驚いて噛まなくなるなど一定の効果があると言われます。
しかし、先述したように下痢や胃腸の不調を引き起こすなど、愛犬が体調を崩すリスクがあることを忘れてはいけません。健康リスクのあるわさびは使わず、安全に配慮された犬用の苦味スプレーが販売されていますので、そちらを使うようにしましょう。
犬に与えてはいけない食べ物はわさび以外にも
わさび以外にも、犬に与えてはいけない刺激物が複数あります。
西洋わさびやわさび菜もNG
西洋わさびやわさび菜も犬には与えてはいけません。西洋わさびは、ホースラディッシュとも呼ばれ、ローストビーフなどの付け合わせにも使われます。スーパーなどで市販されているチューブタイプのわさびの原料にも多く使われ、本わさびの1.5倍の辛さがあるとも言われていますので、絶対に与えないようにしましょう。
また、シャキシャキの食感が特徴のわさび菜は、「からし菜」の仲間です。わさび同様にピリッとした辛さがあり、刺激が強いので与えてはいけません。
さらに、わさび味のお菓子などの加工品やサビ入りのお寿司など、わさびを含んだ食べ物は与えてはいけないと覚えておきましょう。
香辛料
わさびの他にも刺激の強い「唐辛子」や「ニンニク」、「コショウ」などの香辛料は犬に与えるべきではありません。わさび同様に消化器への負担が大きく、下痢や嘔吐を引き起こす可能性があります。
ちなみに、香辛料の中でも生姜やしそ、クミンなどは少量であれば与えても問題のない食材となっています。犬に与えてはいけない香辛料は以下の通りです。
- ニンニク
- コショウ
- からし
- 唐辛子
- 山椒
犬がわさびを食べてしまっても慌てずに対応を
わさびは刺激物とはいえ、ほんの少量であれば中毒性はなく、そこまで神経質にならなくても大丈夫です。嘔吐や下痢などの症状が出た場合は、決して慌てず速やかに獣医師に診てもらうようにしましょう。
犬が誤飲しない環境を整えることが一番ですので、保管場所に気をつけたり、食事の際には食卓に長く置かないなど工夫すると良いですね。
<参考文献>
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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