【獣医師監修】犬が片足を上げて歩く原因とは?注意すべき病気と対処法
犬が前足や後ろ足を浮かせていたり、引きずるような歩き方をしていると、飼い主さんとしては心配になってしまいますよね。一時的な捻挫や打撲という場合もありますが、重大な病気やケガである可能性もあります。
本記事では、犬が足を浮かせて歩く原因や、発症している可能性のある病気について紹介していきます。病気やケガである場合は、なによりも早期発見が大切です。当てはまる項目がないか、しっかり確認してみてください。
目次
犬が片足を上げて歩く場合に考えられる原因
犬が足を浮かせていたり、かばうようにして歩いている状態を跛行(はこう)と呼びます。跛行している場合は、足に痛みや違和感を感じていることがほとんどです。したがって、まずは痛みや違和感を引き起こしている原因を突き止めましょう。
考えられる原因【1】足の捻挫、打撲、骨折
前足や後ろ足を浮かせている場合は、捻挫、打撲、骨折を疑ってみましょう。外傷がないにもかかわらず、立ち上がるのが困難だったり、立ち止まっている間も足を浮かせているようであれば注意が必要です。
足腰の弱い高齢犬や骨が未発達で細い子犬は、成犬に比べて捻挫、打撲、骨折を引き起こしやすいです。 腫れがみられる場合もあります。変化に気付いたら出来るだけ早めに動物病院を受診をしましょう。
考えられる原因【2】足や肉球のケガ
足や肉球をケガをしているときにも足を浮かせるようにして歩く様子が見られます。浮かせている足に外傷がないかを確認してみましょう。夏は火傷、冬は凍傷に注意が必要です。爪が割れて痛がっているという可能性も考えられるので、傷や出血の跡がない箇所であっても注意深く観察してみてください。
考えられる原因【3】爪が伸びすぎている
犬の爪はお散歩や外で走り回ったりすることで削れていくものですが、外に出る機会が少ない場合や、体重が軽い小型犬はあまり削れません。また、自然に削れていく場合でも均等に削れるわけではないことや、狼爪と呼ばれる部分は地面に接しないため削れません。そのため、放っておくと巻き爪になって痛みを伴い爪が折れる、歩き方がおかしくなる、伸びた爪が肉球に刺さるなどさまざまなトラブルを引き起こします。
さらに爪が伸びることで中を通っている血管も伸びてしまい切るに切れなくなることがあります。フローリングを歩くときにカチカチと爪のあたる音がしたら爪切りのサインだと言われているので、こまめに爪の長さをチェックして巻き爪にならないようにしましょう。自分で切るのは不安という場合には、トリミングサロンや動物病院に相談してください。
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考えられる原因【4】痛がらない場合は足のしびれなど生理的なものの可能性も
長時間座った状態から立ち上がった際に、足がしびれてしまっているという可能性も考えられます。高齢のため筋力が低下したり、運動能力が低下してきている犬の場合は、病気やケガがなくてもふらついたり、足を浮かせるなどの症状を示す場合があります。一時的に足の血行が悪くなっているだけなので、痛がることもありません。
この場合であれば、時間が経つとおさまることがあります。
犬が片足を上げて歩く場合に考えられる病気
続いて、犬が足を浮かせて歩いている場合に考えられる病気について解説していきます。病気である場合、目立った外傷が無く、見た目では気付くことが難しい状態であることがほとんどです。ここで列挙する症状や原因に当てはまるようであれば、なるべく早く動物病院を受診することをおすすめします。
考えられる病気【1】犬の前十字靭帯断裂
前十字靭帯断裂とは、後ろ足の膝関節の裏にある前十字靭帯が切れてしまい、痛みを引き起こす病気です。
断裂の度合いにより痛みの強さも変わるため、犬が足をたまに浮かせる程度の軽度な症状から、常に足を浮かせるような重度の症状まであります。
主な発症原因は、強度の高い運動や交通事故によってかかる強い衝撃による急性型と、普段の運動により小さな損傷が蓄積し、時間をかけて断裂してしまう慢性型の2つです。
犬の前十字靭帯断裂の予防法
急性型の場合の予防法としては、普段から強度の高い運動を避けることです。強度の高い運動をしてしまった後は、しっかり休ませてあげるようにしましょう。
慢性型の場合、前十字靭帯断裂を完全に予防することは難しいでしょう。遺伝や加齢など、様々な要因が発症原因になり得るからです。
普段から心がけることとしては、体重増加による膝への負担を減らすためにも、バランスの良い食事と適度な運動で、肥満の予防をしてあげましょう。
考えられる病気【2】犬の膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)
膝蓋骨脱臼(しつがいこつだっきゅう)とは、犬の後ろ足の膝にあるお皿が脱臼してしまう病気です。小型犬に多く見られる病気で、放置しておくと骨が変形してしまい、正常な歩行ができなくなってしまいます。
発症原因として、生まれつき膝関節まわりの筋肉や骨に形成異常がある先天性。または、高い場所から落下した際などに発症する後天性のものがあります。
犬の膝蓋骨脱臼の予防法
犬の膝に負担がかからないように、フローリングには滑り止めの効果があるマットを敷くようにしましょう。また、飛び降りの衝撃による発症を防ぐためにも、高低差を生むような障害物は取り除くようにしてください。 肥満も原因の一つになり得ますので気をつけましょう。
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考えられる病気【3】犬の関節炎
関節炎とは、足の関節に炎症が起き、痛みを引き起こす病気です。発症する原因としては以下のようなものが挙げられています。
- 肥満
- 加齢
- 外傷
- 過剰な免疫反応によるもの
これらの原因などにより、関節で炎症が起こります。安静にしているときは痛みを感じたり、異常を感じることが少ない場合があり、歩いたりジャンプをしたり運動による負荷をかけたときに初めて痛みが生じることも多いです。
犬の関節炎の予防法
栄養バランスのとれた食事と適度な運動を心がけ、犬の肥満を防ぎましょう。高齢犬の場合は、関節に負担がかかるような激しい運動や、段差の上り下りを避けるようにしてください。 関節に対して良い成分が含有されているサプリメントの使用も良いでしょう。ただし、サプリメントの種類はさまざまで、それぞれの成分が含まれている割合も製品によって異なります。自分の判断で適当に選ぶよりも、かかりつけの動物病院に相談して、その子の体調や症状に合ったサプリメントを選択するのが良いでしょう。
犬が片足を上げて歩く場合の対処法
犬が足を浮かせている場合に家でできる対処法は、基本的に安静にすることです。一時的に散歩を控え、足への負担を減らしてあげるようにしましょう。時間が経っても回復しない場合や、痛みが出ているようであれば、安易に様子をみることはせず、早めに動物病院へ連れて行くようにしてください。
無闇に犬の足を触らないように
足に痛みが出ている場合、触ろうとした際に噛まれる危険があります。また、触ることで症状を悪化させることも考えられます。痛がっている足はできるだけ触らないようにしましょう。
膝に悪い環境を改善する
安静にしているときでも、犬は自ら立って歩きたがることがあります。基本はできるだけケージレストを心がけます。ケージの外へ一時的に出すときは、できるだけ短時間で、犬の足に負担がかからないように、フローリングにマットを敷いたり、段差のある場所を無くすようにしましょう。
犬が片足を上げて歩いているけど痛がらない場合は?
犬の中には、「以前足を上げて歩いたら飼い主さんが声をかけてくれた」、「抱っこしてくれた」などの経験から、注目してほしいときや構ってほしいときなどに同じような行動をとる子もいるようです。
人間でいう仮病のようなもので、飼い主さんの気を引こうとしていると考えられています。とはいえ、犬は痛みを我慢する生き物だとされており、片足をあげて歩くという行動の中には爪を切ることで解消できるものから、動物病院での処置が必要なケースまであることや、仮病なのか本当に痛みが生じているのかを見分けるのは難しいので、かかりつけ医に1度診てもらうのがよいでしょう。
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早期発見できるように日頃から愛犬の様子をよく観察しましょう
犬が足を浮かせて歩いている場合、足のしびれや、その子特有の癖という可能性もありますが、早期に治療する必要がある病気、ケガである可能性もあります。自宅でどんな原因なのかを見極めることは難しいです。
1日ほど経過を観察しても治らない場合や、痛みがでているようであれば、病気やケガを疑う必要があります。早めに動物病院で適切に処置してもらうようにしてください。
もし病気、ケガの場合でも、早期に発見することで早期の治癒が期待できます。普段から愛犬の行動に気を配り、いち早く異常に気付くことができるよう心がけましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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