【獣医師監修】愛犬が老衰で亡くなる際の前兆と落ち着いて看取るための心構え
犬の寿命は犬種や体の大きさによっても異なりますが、約14〜15歳と言われています。家族として長年連れ添ってきた愛犬が高齢になってくると、お別れがいつ来てしまうのか、不安になる飼い主さんが多いと思います。
どんなに健康な犬でも老衰は避ける事が出来ません。普段から飼い主さんが愛犬の体調をよく観察し、異変に気付いたら落ち着いて対処できるようにしておくのが理想です。
今回は「愛犬が老衰で亡くなる際の前兆」「愛犬のために飼い主さんが出来ること」「愛犬を看取る時にしてあげられること」についてお話ししていきます。
愛犬が老衰で亡くなる際の前兆
昨日まで元気にしていたのに突然別れが訪れることも残念ながらありますが、老衰が進むと普段とは違う行動、様子が見られることが多くあります。
ここでは前兆としてよく見られる症状をいくつかご紹介します。
食事量の減少
死期が近づくと、今までと比べて急激に食べる量が減ったり食事をしなくなる場合があります。そんな時の工夫としては、主食に食欲増進が期待できるトッピングを加えてみる、ドライフードを15分ほどお湯でふやかして与えてみる、ドライフードではなくウェットフードの食事に変えてみる、今食べているものの他に食べやすい物は何かないかを探る、などの方法が考えられます。愛犬の食事の様子を見ながら対応していきましょう。
反応の鈍化
寝ているように見えても、実は意識レベルが下がっていて反応を示さなくなることもあります。呼吸はしていても、意識が朦朧としていて目を開ける力がない場合もあるので、どのような状態なのか判断に困る場合は、かかりつけの動物病院に相談しましょう。
呼吸が荒くなる
呼吸が苦しそうな様子で速くなったり、異常にゆっくりになったり、元気な時と比べて明らかに乱れていることがあります。肺に上手く酸素が送れず意識が薄れている状態では、状態が急変することもあるので、場合によってはかかりつけの動物病院に状態を連絡し、自宅での対処方法はあるか、受診の必要があるかを聞く必要があります。そして、できるだけ愛犬の傍で声をかけてあげましょう。
体温の低下
最期が近づくと徐々に体温が低下していきます。老衰が進むと代謝能力が低下し体温調節が難しくなります。毛布や敷くタイプのペットヒーター、暖房などを使って保温してあげましょう。その際には、熱くなりすぎないように、愛犬のそばに温度計を設置して適温になっているかを確認することが必要です。
痙攣・下痢
体温が低下すると手足や体が痙攣することがあります。毛布などで保温して、怪我をしないように注意して見てあげてください。また、嘔吐や下痢をしてしまった場合は、清潔な状態を保てるように、飼い主さんがこまめに体を綺麗にしてあげてください。
老衰で亡くなる前に必要な心構え
高齢の犬は老衰と共に体の機能が弱っていきますが、飼い主さんがしてあげられることはたくさんあります。
別れが近づいているからこそ、後悔がないように愛犬と一緒に過ごす時間を大切にしましょう。
1.気持ちの整理をつけておく
家族同然の愛犬との別れの後、ペットロスになってしまう飼い主さんはとても多いです。どれだけ手を尽くしても悲しいことに変わりはありませんが、後悔のない選択をして、前もって気持ちを整理しておく必要があるでしょう。
愛犬が亡くなることは出来るだけ考えたくありませんが、笑顔で見送るためにも、気持ちの切り替えをするためにも、いざという時の心構えをしておくことが大切です。
2.病院に連れて行くかどうかを決める
少しでも適切な処置で延命させたいから病院に入院させたいというのも一つの考えです。しかし、病院で急に容体が悪化した場合、病院から連絡を受けても飼い主さんが愛犬の亡くなるタイミングに間に合わず、最期に立ち会えない可能性もあります。
愛犬が心理的に安心できる自宅で看取ることを希望するのであれば、出来るだけ一緒に過ごす時間を作ってあげましょう
3.スキンシップの時間を増やす
老衰で体が弱ってきて不安なのは飼い主さんだけではありません。今までできていたことができなくなったり、思うように体が動かず転んでしまったり、なんとなく以前と違う自分の体に愛犬も不安になるのです。
愛犬にとって大好きな飼い主さんと一緒に過ごせるということは何よりも安心できるので、たくさん話しかけ、頭を撫でたりマッサージをしてあげるなどのスキンシップをとり、触れ合う時間を増やしてあげましょう。
4.体のケアをする
老衰で亡くなる前は、体力があまり残っておらず自力で体を動かせなくなる子が多いので、飼い主さんが体の向きをこまめに変え、床ずれを防いであげることが大切です。床ずれを防ぐためには、低反発のマットの利用なども一つの方法です。
動くことができないゆえに体が汚れてしまう場合もあるので、濡れタオル等で体を拭いて常に清潔な状態を保てるようにしてあげましょう。
愛犬を看取る際に飼い主さんにしかできない大切なこと
最後に、愛犬を看取る際に飼い主さんができることについてお話しします。
生き物には寿命があります。悲しいですが、いつか必ず愛犬との別れはやって来ます。突然の事で何も手がつかないかもしれませんが、家族である愛犬の最期を看取る事は飼い主さんにしかできない大切なことです。
最期の瞬間まで愛犬の傍に寄り添って、感謝の気持ちを持って送り出してあげましょう。
声をかける
愛犬が亡くなって間もない頃は喪失感と悲しみが強いかもしれませんが、愛犬を看取った直後は前向きな言葉をたくさんかけてあげてください。最期まで頑張ってくれた感謝や、一緒に過ごした楽しい思い出を語りかけてあげれば、飼い主さんの「ありがとう」の気持ちは愛犬にきっと届くでしょう。
体を整える
愛犬が亡くなって放置していると、だんだんと身体の硬直が始まってしまうので、できるだけ早く体勢を整えてあげましょう。目や口が開いていたらゆっくり閉じ、体は綺麗に拭き、ブラッシングで毛並みを整えます。
体液が漏れる場合もあるので、体の下にはペットシーツを敷いておき、難しければ病院で処置してもらいましょう。
棺に入れる
段ボールや犬用の棺を用意して、お気に入りのおもちゃやお花、大好きな食べ物などと一緒に入れてあげましょう。葬儀に送り出すまでの間に体が傷まないように、涼しい部屋に安置して、保冷剤などで体の広い面(お腹や背中など)を中心に冷やしてあげる必要があります。
葬儀会社に連絡する
近場にあるペットの葬儀会社に電話をするか、分からなければかかりつけの動物病院に相談しましょう。
愛犬を見送るためのプランは個別葬や合同葬など色々あるので、どのような形で供養したいのかあらかじめ考えておくといいかもしれません。
幸せな最期を迎えてもらうために
「老衰」を避けることはできませんが、事前に死期が近づいている場合の兆候を知り、飼い主さんが可能な範囲で最期まで手を尽くすことによって、愛犬を悔いなく見送ってあげることができるでしょう。
大好きな飼い主さんが傍にいてくれることは、体が弱って不安を抱えている愛犬にとっては安心でき、これ以上にない幸せです。日頃からたっぷりの愛情を注いで愛犬と一緒に過ごす一瞬一瞬を大切にしてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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