banner

banner

【獣医師監修】知っておきたい犬の熱中症に関する基礎知識|初期症状や見分け方、予防法などを紹介します

お気に入りに追加

汗をかいて体温調節ができない犬にとって、高温多湿になる夏(6~9月)は特に気をつけたい季節です。暑い時間帯のお散歩、閉め切った車内やエアコンを使わない室内でのお留守番は、熱中症のリスクを高めます。暑さに弱い犬は熱中症になりやすく、症状が出た時には命に関わる危険な状態であることも多いです。

ここでは、犬の熱中症の初期症状と見分け方、すぐに取り入れられる予防法を紹介します。愛犬を熱中症から守るために、飼い主さんとして知っておきたい知識を得ておきましょう。

【獣医師監修】知っておきたい犬の熱中症に関する基礎知識|初期症状や見分け方、予防法などを紹介します
話題/ 犬用ベッド徹底比較 犬用ベッドなんでも良いって思ってない?愛犬の寿命にもつながるベッドの選び方教えます。

目次

  1. 犬の熱中症の初期症状と見分け方
  2. 犬が行っている発汗の代わりの体温調節方法
  3. 愛犬を熱中症から守るために知っておきたい知識
  4. 熱中症になりやすい犬種は?
  5. 愛犬の熱中症をしっかり予防しよう

犬の熱中症の初期症状と見分け方

犬

犬の熱中症とは、高熱が出て体温が下がらなくなり、ぐったりしてしまう状態のことです。体温が急に上がって下がらない状態が続き、対応が遅れると命に関わる事態になることもあります。
犬の熱中症は、飼い主さんが正しい知識を持って対策することで防げるので、まずは熱中症の初期症状と見分け方をしっかりと頭に入れておきましょう。

こんな症状が見られたら要注意!犬の熱中症の初期症状

身体の熱を外に放出できなくなると、以下のような症状を示すようになります。
大切なことは、健康な状態の愛犬の様子をよく知っておくことです。普段から愛犬とよく触れ合い、平常時の体温や口の中の様子を把握しておくようにしましょう。

  • 呼吸が荒く、激しいパンティング(口を開けてハッハッハッと浅い呼吸を繰り返すこと)がおさまらない
  • 耳やお腹を触ったときに普段より熱い
  • 口の中が普段よりも赤い
  • いつもよりよだれが多く、ネバついている
  • 元気がない、ぐったりしている
  • 水を飲みに行かない、食べない

重篤化するとこんな様子に。一刻も早く病院へ

熱中症の症状が重篤化すると、以下のような様子がみられます。
この状況になると、一刻を争う状況である可能性があります。すぐに動物病院に連絡し、愛犬の安全を確保しながら動物病院へ向かってください。

  • 嘔吐、下痢
  • 吐血、血尿、血便
  • けいれん発作を起こす
  • 舌や口の粘膜が真っ赤、または紫色になる
  • 意識がなく、呼びかけに反応しない

【重要】愛犬の平熱を把握しておこう!

犬の平熱はおよそ38~39度の間ですが、熱中症になると体温は40度近くになり、そこから更に上昇していきます。
普段、愛犬が落ち着いている状態で耳やお腹を触って、愛犬の平熱を感覚的に覚えておきましょう。耳を触ったときに普段よりも熱い場合は、体温が39.5度以上になり熱中症の初期症状が出ている可能性があります。

こちらの記事もチェック

犬の平熱って何度くらい?発熱したときや低体温になったときの症状と対処法を解説

あわせて読みたい

犬の平熱って何度くらい?発熱したときや低体温になったときの症状と対処法を解説

風邪を引いたときは平熱よりも熱が上がることがありますが、犬も同様に、体調が悪いときは体温に変化が見られることがあります。そのため、愛犬の平熱を知っておくことは一定の健康管理に役立てることが可能と言えます。今回の記事では、犬の平熱は何度くらいなのか、また、発熱したときや低体温になったときの症状と対処法などについて解説します。

【獣医師監修】犬が発熱しているときのサインとは?症状や考えられる病気を解説します

あわせて読みたい

【獣医師監修】犬が発熱しているときのサインとは?症状や考えられる病気を解説します

人間と同じように、犬も病気によって発熱することがあります。しかし問題なのは、人間と犬は生態が異なり、言葉を話すことができないため、飼い主さんが愛犬の発熱に気づきにくいということです。そのため、何か様子がおかしいと気づいたときには、いつのまにか病気が進行している可能性もあります。なかには、放置すると最悪の場合、死に至る病もあります。 そこで今回は、犬の発熱のサインと原因、対処法をまとめて解説します。

犬が行っている発汗の代わりの体温調節方法

口を開けている犬

よく「犬は汗をかかない」と言いますが、一体どのようにして体内の熱を発散しているのでしょうか。ここでは犬の体温調節の仕組みを知っておきましょう。

犬は汗をかかない?!どうやって体温調節している?

犬も人間と同様に汗をかきますが、犬には体温を調節するための「エクリン腺」と呼ばれる汗腺が、肉球や鼻先などの限られた場所にしかありません。
そのため、犬は以下の方法で体温を調節しています。

  • パンティング(口を開けて激しく呼吸を繰り返すこと)で、気化熱を使って体温を下げる
  • 冷たい地面や床材などに身体を触れさせることで、熱伝導を利用して体温を下げる
  • 涼しい風や冷たい水に当たることで、空気や水の対流を利用して体温を下げる
  • 身体を伸ばして寝そべるなどし、放射熱の量を増やして体温を下げる

愛犬を熱中症から守るために知っておきたい知識

犬

最近、気温や湿度が高い日には「熱中症注意情報」が出るようになったので、愛犬との散歩や外出の時間帯に気を遣っているという方も多いでしょう。
犬の熱中症はあっという間に重症化してしまいますが、飼い主さんがよく注意しておけば防げるものです。本格的に暑くなる前から、犬が熱中症になりやすい状況と予防法について、しっかり頭に入れておきましょう。

1.外出時は、気温・湿度・地面の温度に注意!

すでに広く認識されている通り、暑い日の外出は熱中症のリスクを高める危険な行為です。
多くの方が気温には注意されていますが、忘れてはいけないのが”湿度”です。同じ気温でも、湿度が高いと犬は体温を下げられなくなってしまいます。特に、曇りの日や初夏には油断しがちなので注意が必要です。

散歩では地面の温度にも気を付けて

散歩は気温が上がる前の早朝か、気温が下がりきった夜に行いましょう。
また、必ず手の甲で地面の温度を確認して、地面が熱くないかを確認することも忘れずに。陽が落ちてもアスファルトの表面温度は下がりきっていないことも多く、裸足で歩く犬にとっては肉球を火傷する原因になりかねません。

2.家でのお留守番でも気を抜かない!

特に注意が必要なのは、夏のお留守番です。犬の熱中症のうち、7割は室内で発症しているという報告があります。

空調を積極的に活用しよう

犬にとって快適な気温は25度以下とされているので、室内では積極的に空調を活用しましょう。

また、直射日光があたる場所や風通しがよくない場所は部分的に室温が高くなっている可能性があるため、愛犬が生活するスペースが愛犬の目線の高さできちんと涼しくなっているかをチェックしてください。

万が一の停電などによって空調が使えなくなる事態に備え、日中はカーテンを閉め、愛犬が自由に部屋を移動できるようにドアは開けておくようにしましょう。

3.車内でのお留守番は絶対ダメ!

車で出かける場合、車内は密閉空間になるので注意が必要です。愛犬がいる場所が涼しくなっているかを必ず確認しましょう。そして、愛犬を車内に残して車を離れることは厳禁です。窓を開けていたとしても、エアコンをつけていない車内はたった10分で40度を越えてしまいます。エアコンをつけていたとしても、直射日光があたるダッシュボード部分の温度は70度を越えると言われています。

こちらの記事もチェック

室温や湿度はどれくらいが快適?犬が過ごしやすい環境を作るための工夫

あわせて読みたい

室温や湿度はどれくらいが快適?犬が過ごしやすい環境を作るための工夫

犬が健康で長生きするためには、食事管理や病気の予防はもちろん、犬が生活する環境の温度や湿度の管理も大切です。人にとっては快適と感じる空間でも、犬にとっては過ごしにくい場合もあります。ここでは犬が過ごしやすい温度や湿度、夏や冬など季節によって快適に過ごすための工夫などについてご紹介します。

犬にとって湿気は体調不良の原因となる?その理由や簡単な湿度管理法・おすすめグッズなど

あわせて読みたい

犬にとって湿気は体調不良の原因となる?その理由や簡単な湿度管理法・おすすめグッズなど

梅雨等の湿気が多い季節は、ちょっぴり憂鬱な気分になるという方も多いかもしれませんが、実は犬にとってもトラブルの起きやすい時期です。湿気は犬の体調不良や病気の元にもなるため日頃からのケアや空調管理は欠かせないもの。 この記事では湿気が原因となる犬の病気や簡単な湿度管理法、おすすめの除湿グッズを紹介していきます。

熱中症になりやすい犬種は?

パグ

どんな犬種でも熱中症になるリスクはありますが、特に発症しやすい犬種が存在することをご存知でしょうか。
併せて、発症しやすい体調や健康状態についても知っておきましょう。

寒冷地が原産国の犬種

シベリアンハスキー、アラスカンマラミュート、サモエド、グレートピレニーズ、バーニーズマウンテンドッグ、セントバーナード、ゴールデンレトリバー、秋田犬、ジャーマンシェパードなどの寒冷地を原産とするダブルコートの大型犬種は、暑さが苦手なうえ身体に熱がこもりやすいので注意が必要です。

短頭種

パグ、ペキニーズ、ボストンテリア、シーズー、フレンチブルドッグといった、マズルの短い犬種を「短頭種」と呼びます。
短頭種は、鼻孔が小さい、軟口蓋がたるんで気道を塞ぎがち、気管が細いなどといった特性を持っており、鼻呼吸がしづらくパンティングによる体温調節が難しいため、熱中症のリスクが高い犬種とされています。

持病のある犬、子犬、シニア犬

心臓疾患、呼吸器疾患、腎臓病などの基礎疾患がある子、また免疫や体力が落ちたシニア犬や子犬も熱中症のリスクが高いため注意が必要です。


サマーカットをしている犬

犬の被毛は、紫外線から身体を守り体温上昇を防ぐなどの役割があります。「暑そうに見える」からとサマーカットをした場合、熱中症のリスクが高まるので、特に熱中症に気をつける必要があります。

ストレスや疲れがたまっている状態

熱中症の発症リスクは、体調によっても大きく左右されます。疲れやストレスは目に見えにくいものですが、いつもに比べて元気がない、食欲がない様子が見受けられたら、些細なことと思わず無理をさせないように気を配り、必要に応じて早めに動物病院を受診しましょう。

愛犬の熱中症をしっかり予防しよう

犬

飼い主さんの知識が不足していると、処置が間に合わず愛犬の命を奪ってしまいかねない熱中症。犬には季節に応じた換毛期がありますが、室内生活が長くなることでタイムリーに換毛が起こらないケースも出てきています。
ハッハッと激しいパンティングが止まらない、体温が急に上がった、舌が真っ赤や赤紫色になっているなどの症状が出たら、迷わず熱中症を疑い対策をとりましょう。

こちらの記事もチェック 

【獣医師監修】犬の高脂血症とは?症状はある?発症の原因や治療法、予防法なども解説

あわせて読みたい

【獣医師監修】犬の高脂血症とは?症状はある?発症の原因や治療法、予防法なども解説

自覚症状がほとんどなく進行し、命に関わる病気を引き起こす生活習慣病は「サイレントキラー(沈黙の殺し屋)」とも言われています。その中のひとつである「高脂血症」は犬にとっても注意しておきたい病気です。犬が高脂血症になるとどんな症状が出るのか、原因は何なのか飼い主さんとしては知っておきたいところです。 この記事では、高脂血症の原因や症状と、治療方法、予防方法もあわせて解説していきます。

【獣医師監修】犬が草を食べるのは危険?散歩中に草を食べようとする心理とやめさせた方がいい理由

あわせて読みたい

【獣医師監修】犬が草を食べるのは危険?散歩中に草を食べようとする心理とやめさせた方がいい理由

皆さんの愛犬は草をかじったり食べたりしたがる傾向はありますか? 犬が散歩中に道端の草を食べようとする行動は、決して珍しいことではありません。草を食べる理由に科学的な根拠は示されていませんが、いくつかの説があります。今回は、犬が草を食べるのはなぜなのか、また、草を食べる行動をやめさせた方がいい理由について解説していきます。

愛犬の寿命に繋がる!?犬用ベッド徹底比較 2024年最新版 床ずれの防止、腰の負担予防など愛犬の健康のために考え抜かれた犬用ベッドを徹底比較!
choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

【petan編集部企画】ペットベッド「DoggyBaseとは?」

あわせて読みたい

【petan編集部企画】ペットベッド「DoggyBaseとは?」

飼育に関する知識に関する記事

【獣医師監修】犬が1日に必要な水分量について。飲まない理由と対策を知って健康管理を

健康管理/病気

【獣医師監修】犬が1日に必要な水分量について。飲まない理由と対策を知って健康管理を

私たち人間はもちろん、犬やその他の動植物が生きるためには、水分の摂取が必要不可欠です。暑い時期...

2023年3月31日

【獣医師監修】犬の心拍数の正常値とは?心拍数の測り方と数値が異常な場合に考えられる原因

健康管理/病気

【獣医師監修】犬の心拍数の正常値とは?心拍数の測り方と数値が異常な場合に考えられる原因

みなさんは愛犬の心拍数がどれくらいか、把握されていますか?自信を持って『〇回です!』と言える飼...

2023年3月30日

【獣医師監修】老犬が痙攣を起こした場合の対処法について|原因と発作が起きたときにやるべきこと

健康管理/病気

【獣医師監修】老犬が痙攣を起こした場合の対処法について|原因と発作が起きたときにやるべきこと

愛犬が突然体を硬直させて痙攣を起こすような場面に居合わせたら、ほとんどの飼い主さんは驚いて、ど...

2023年3月17日

犬と一緒に寝るのはいいことだらけ?デメリットや注意点を解説

飼い方/育て方

犬と一緒に寝るのはいいことだらけ?デメリットや注意点を解説

みなさんは夜、愛犬と一緒に寝ていますか?最近の調査データによると、犬や猫の飼い主さんの半分ほど...

2023年3月15日

【獣医師監修】犬の顔を上手に洗う方法とは|手順と注意点を解説

飼い方/育て方

【獣医師監修】犬の顔を上手に洗う方法とは|手順と注意点を解説

犬の顔周りは、目ヤニやご飯の食べカスなどで汚れやすいため、清潔に保つためのお手入れが欠かせない...

2023年3月14日

もっと見る

関連するキーワード

カテゴリー

人気記事ランキング

Petan独自調査

獣医師監修記事

おすすめ記事

人気のキーワード