シニア犬になった愛犬の介護ケアを知ろう!わが子に必要なこととは?
犬の平均寿命は、犬の飼育環境が充実し、医療が進化したことによって、以前より長くなっています。シニア犬になっても一緒に生活できることは喜ばしいですが、同時に考えなくてはならないのが犬の介護問題です。シニア犬の介護ケアは犬の状態によって異なります。この記事ではシニア犬の介護ケアや老犬ホームについて紹介します。
犬の高齢化について
犬の飼育環境が整い、医療が進化していることで、犬の平均寿命は伸びています。
愛犬と長く一緒にいられることは嬉しいですが、介護について考えることも必要です。
ここでは、犬の高齢の基準や高齢化の背景、高齢化に伴う介護の必要性について解説します。
犬は何歳ごろから高齢なの?
犬の高齢は小型・中型犬で約8歳、大型犬では約7歳からとされています。
犬種や環境などによって個体差がありますが、目安として知っておきましょう。
高齢になったシニア犬は、病気にかかりやすくなったり、運動量が減ったりします。
人間と同じように介護が必要になるケースも多いです。
飼い主は愛犬の変化をよく観察し、シニア期に備えて介護必要なことを知っておく必要があるでしょう。
犬の高齢化の背景
犬の高齢化が進む背景には、飼育環境や医療の発展があります。
ペットの飼育環境が整い、栄養価の整ったドッグフードや、犬に負担をかけない暮らしが可能になりました。
その結果、犬の寿命が長くなったといえます。
また、獣医師の増加や、動物病院の処置内容の充実によって救える命が増えたことも高齢化の背景にあるでしょう。
人間と同じように、愛犬にとっても生活水準の向上が長寿につながったということです。
犬の高齢化に伴う介護の必要性
犬も高齢になるにつれて介護が必要になります。
シニア犬は足腰が弱くなり、排泄が自由にできなくなることがあります。
ほかにも認知症が進んで昼夜逆転の生活になってしまうことも珍しくありません。
そのため、1日の生活のなかで飼い主の手を借りないとできないことが増えてしまいます。犬の高齢化が進むということは、介護の必要性が高まるということなのです。
シニア犬の介護にはどんなことが必要?
シニア犬の介護をするにあたって、何をすればよいのか迷ってしまう飼い主も多いでしょう。
適切な介助を行わないと、飼い主自身が介護ストレスや疲労で倒れてしまいます。
そこで知っておいた方がよいのが、シニア犬の介護方法です。
ここでは以下の6つの場面ごとの介護方法について解説します。
- トイレの介護
- 食事の介護
- 散歩の介護
- お風呂の介護
- 床ずれの介護
- 認知症の介護
トイレの介護
排泄のトラブルはシニアになるほど多くなります。
自力で排泄できない、トイレに間に合わない、動くことができないなど状況によって介護の方法は変わります。
自力で排泄できない場合
排泄の意思はあっても姿勢が上手に保てない場合は、飼い主が補助してあげます。
その際、オシッコやウンチが飛び散る恐れがあるので、汚れてもいい服装で行いましょう。また、犬に排泄物がついてしまった場合は、きれいに拭き取ってあげます。
トイレに間に合わない場合
尿意や便意を感じる感覚が鈍くなってしまったり、足腰が弱くなってしまったりするとトイレに間に合わなくなってしまいます。
おもらしが増えてきたら、犬用のオムツを準備しましょう。
動くことができない場合
シニアになると自由に動くことができない、いわゆる寝たきりの状態になってしまうことがあります。
そうなった場合は無理にトイレに連れて行かずに、体の下にトイレシートを敷いてあげましょう。
食事の介護
シニア犬になると食事の与え方が栄養バランスや健康状態に大きく影響します。
食事の量や食べ方の変化を観察し、食事内容や食事の体勢を整えてあげることが必要です。
食事を食べなくなった場合
健康状態に問題がないのに食事を食べない場合は、味覚や嗅覚が衰えて今までの味を美味しく思えなくなっているのかもしれません。
その場合、フードを少し温めて香りをたてたり、とろみをつけたりして口当たりをよくしたりすると食が進むことがあります。
咀嚼が難しくなった場合
シニア犬は歯や歯茎のトラブルで咀嚼が困難になることがあります。
ドッグフードを噛んだり、飲み込んだりするのが難しそうなときはミキサーでフードを砕いてあげましょう。
また、お湯でふやかしてやわらかくしてあげる方法もあります。
食事の体勢を維持できなくなった場合
筋力の低下によって食事の姿勢を維持できなくなった場合は、食事の体勢を見直してあげましょう。
食事のお皿の位置を高くしたり、犬の体を支えたりして無理なくご飯が食べられるようにします。
また、寝たきりの場合は流動食を注射器で口に入れてあげる方法もあります。
この場合、間違った方法で行うのは危険なので、事前に獣医師に相談するようにしましょう。
散歩の介護
犬にとって散歩は楽しみであり、健康維持にも必要です。
シニア犬の場合、散歩で筋力の衰えを防げるので、可能な限り散歩は継続しましょう。
散歩の時間が短くなった場合
シニアになると自然と散歩の時間が短くなります。
健康状態に異常がなければ、加齢が原因です。
犬が歩くのを嫌がった場合は、その場で休憩させて再び歩きだすのを待ちましょう。
階段を嫌がるようになった場合
犬の脚力が落ちてくると、階段を嫌がる傾向があります。
無理をすると、関節に負担がかかるため注意が必要です。
ただし、できるだけ筋力を落とさないようにしたいので、緩やかな坂道を利用して適度な負荷をかけるのがおすすめです。
自力で歩けなくなった場合
自力での歩行が難しくなってしまったシニア犬でも、できる限り散歩を行うようにしましょう。
数歩だけでも飼い主の補助で歩ける場合は、自力での歩行の時間を残します。
完全に歩けない場合は、ペットキャリーや犬用バギーで外の空気に触れさせてください。日光を浴びると気分転換にもなります。
お風呂の介護
シニア犬は粗相が増えて汚れがちです。そのため、こまめにお風呂に入れてあげる必要があります。
成犬に比べて体力が低下しているので、暖かい時間帯を選び短時間で済ませましょう。
お風呂の中で滑らないように滑り止めマットを敷くなり、あらかじめ洗面器でシャンプーを泡立てておくとスムーズに体を洗えます。
入浴が困難な場合は、蒸しタオルで拭いてあげたり、水のいらないシャンプーを使用したりするのがおすすめです。
床ずれの介護
愛犬が寝たきりになると床ずれの問題がでてきます。
同じ姿勢で長時間寝ていると、筋肉が硬直し血行不良を起こしかねません。
皮膚が硬くなってしまったり、毛が抜け落ちてしまったりすることもあります。
床ずれを防止するために、飼い主がこまめに姿勢を変えてあげることが大切です。
愛犬の布団やベッドをやわらかくして厚みがあるタイプにするのもよいでしょう。
最近はシニア犬用の床ずれ予防クッションが販売されているので、気になる方は検討してみるのがおすすめです。
認知症の介護
シニア犬になると人間と同様、認知症を発症することがあります。
夜鳴き、徘徊、異常な食欲といった症状があらわれると飼い主の介護が不可欠です。
それぞれの症状の介護方法について解説します。
夜鳴き
夜中に鳴き声をあげる原因はわかっていません。
体内リズムの乱れや眠りが浅いことが考えられるので、太陽を浴びたり、飼い主がスキンシップやマッサージをしたりしてあげるとよいでしょう。
徘徊
家の中を歩き回ることで、家具やドアにぶつかってケガをする恐れがあります。段差がある家では足を踏み外してケガをしてしまう危険性もあります。
飼い主が留守にしたり、手を離せなかったりするときは、サークルやケージに入れて安全を確保しましょう。
異常な食欲
記憶力の衰えによって食事をとっても空腹を訴えることが増えます。
満腹中枢も衰えているので回数を多くせざるを得ないのです。
その際は、1日の摂取カロリーがオーバーしないように、一度に与える量を減らしたり、低カロリーのおやつを用意したりと調整しましょう。
介護の時間が確保できない飼い主は老犬ホームも検討しよう
シニア犬の介護が始まると、飼い主の生活は一変します。
時間と体力に余裕がないと共倒れしてしまう可能性もあるでしょう。
そこで、犬の介護に困ったときに検討したいのが老犬ホームです
老犬ホームってどんなところ?
老犬ホームとは、飼い主の代わりに犬の介護をしてくれる施設のことです。
一般的に施設で受けられる介護は以下の通りです。
- 食事
- 排泄の介助
- オムツ交換
- 散歩
- シャンプー
- トリミング
犬の預かり期間は数日から終身までと幅広く設定されている場合がほとんどです。
老犬ホームによっては、シニア犬を24時間介護するために、獣医師をはじめ有資格者がスタッフとして常駐しているところもあります。
老犬ホームの費用相場
老犬ホーム利用料金調査によると、2016年5月時点の老犬ホームの年間利用料金の平均額は566,409円だそうです。(引用:老犬ケア)
利用料金とは別に、入所金や医療費が加算される施設もあり、施設によって料金に差があります。
犬のサイズや介護の度合いによって料金が異なる場合もあるので、利用する場合は事前に確認しましょう。
介護期間は先が見えません。飼い主の状況と経済的な事情を加味しつつ、金銭的、精神的にも負担のかからない選択が大切です。
老犬ホームを検討するなら、複数の施設を見学し、カウンセリングを通して不安を解消しておくことをおすすめします。
老犬の介護はその子にあった介護を考えることが大切
シニアになった愛犬の介護は、期間が長くなるほど飼い主の負担が増えます。
愛情を注ぎたいばかりに、無理を重ねてしまうことも少なくありません。
場合によっては、ストレスがたまりすぎて愛犬にイライラをぶつけてしまうこともあるでしょう。
無理をしすぎずに、介護を人にお願いすることも大切です。老犬ホームなら、数日から預かってもらえます。
愛犬の様子を見ながら日数を増やすこともできるので、長期介護を覚悟する飼い主は利用の検討をおすすめします。
愛犬にとって、自分の介護で疲れていく飼い主を見ることは辛いことです。
全部を抱え込もうとしたり、プロの手を借りることを申し訳ないと感じたりする必要はありません。
元気だった頃の楽しい気持ちを忘れないように、自分の余裕を確保し、愛犬と楽しく暮らす方法を考えてみませんか。
長年一緒にいたからこそわかる愛犬の好きなことだけは飼い主が介護したり、老犬ホームのスタッフに細かな指示を出したりすることで、愛犬に合った介護を提供できるでしょう。
まとめ
犬も高齢化が進むにつれて、介護の問題を考える必要があります。
犬の状態によっては介護が24時間体制になり、飼い主の生活ががらりと変わるでしょう。
最期まで自宅で愛犬の面倒を見たい気持ちもわかりますが、体力的に難しくなったらプロに任せるのも1つの方法です。
老犬ホームではシニア犬の介護に慣れたスタッフが愛犬のお世話をしてくれます。
終わりの見えない介護期間だからこそ、無理をし過ぎない介護を意識するとよいでしょう。
この記事のライター
toto
子どものころからダックスと暮らしてきました。犬と生活していた経験を活かし、しつけ方のポイントやこんなときどうすればいいの?という疑問について分かりやすくお伝えします。
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