犬の介護用品にはどんなものがある?トイレや食事など場面ごとに紹介
犬の平均寿命は14.65歳です。犬の14歳は、若く見えても人間の年齢でいうと70代後半にあたります。身体にさまざまな衰えが見られ、介護が必要になることもあるでしょう。
今回は犬の介護用品について、トイレや食事などの場面ごとに紹介します。
要介護の愛犬を飼っている方や、将来の介護に必要なものを知りたい飼い主さんは、ぜひ参考にしてください。
床ずれ予防の介護用品
床ずれとは寝たきりの犬が長時間同じ体勢でいることで、身体の一箇所に体重がかかり、血流が悪くなった皮膚の細胞が壊死してしまう症状です。
床ずれは筋肉が薄く、寝たときに骨があたってしまう部分にできやすく、具体的な場所としては肘や肩、腰骨などが挙げられます。
床ずれは一度できると治りにくいため、寝たきりの状態やあまり動かない犬には床ずれ予防として定期的な体位変換と、予防グッズの使用がおすすめです。
- マットやベッド
- クッション
- サポーター
順番にみていきましょう。
マットやベッド
介護用に使われるマットやベッドは分厚く、体重を分散してくれる働きをもっています。
寝たきりの状態の犬は定期的に体位変換をおこなったとしても、気付けば床ずれができていることも少なくありません。
常に過ごす場所にマットやベッドを置いて、床ずれを防止しましょう。
また汚れてしまった場合を想定して、マットの上にペットシーツを敷く工夫もしておくとケアがしやすくなります。
ペットシーツはズレないよう、テープで固定して使ってください。
汚れを拭き取りやすい素材のマットもあるため、ケアのしやすいものを選ぶとよいでしょう。
クッション
寝たきりやあまり動かない犬には、床ずれ予防としてクッションもおすすめです。
クッションはベッドやマットと違って場所をとりませんが、身体全体のカバーはできないため、床ずれのできやすい箇所にあてて予防してあげましょう。
愛犬がクッションを噛んで遊んだり飲み込んだりしないよう、注意して観察することも大切です。
サポーター
床ずれができやすい箇所や腕全体を保護するサポーターもおすすめです。
サポーターは足が悪くなっても動きたい犬に向いています。
日中に動くときはサポーターを履かせ、夜休む際にはクッションやベッドに寝かせるなど、使い分けるとよいでしょう。
また、サポーターをしている箇所は蒸れやすいため、使っていて皮膚に異常が見られる場合は中止してください。
蒸れを防ぐためには、あまり長時間使用しないことや、通気性がいい素材を選ぶことが大切です。
トイレの介護用品
高齢犬になると足や膀胱の筋力が緩み、トイレまで歩けなかったり粗相をしてしまったりすることがあります。
愛犬をトイレへ連れいていくのが難しいときや、長時間留守にしてしまう場合は、以下の介護用品を使ってみてください。
- オムツ
- マナーホルダー
それぞれを紹介します。
オムツ
オムツは排泄の失敗を防いだり飼い主さんが長時間留守にしたりする場合に役立ちます。
犬用オムツはペットショップや通販で売られているので、利用してみましょう。
人間用のオムツに、尻尾が通るよう穴を開けて使用する方法もあります。
また、オムツを長時間替えないままでいると、オムツ内が蒸れ、皮膚が荒れてしまうことや排泄物が毛に絡んでしまうことがあります。
オムツを使用する際は、オムツで隠れる部分の毛を短くして衛生的にし、排泄をしたらなるべく早く交換しましょう。
犬の体格に対してオムツのサイズが大きく排泄物が漏れてしまう場合は、医療用テープでズレないように軽くとめると漏れにくくなります。
マナーホルダー
マナーホルダーとはおしっこ飛びを防止するマナーパッド専用のカバーです。
マナーパッドをあて、腰にマジックテープ付きの布を巻き付けて装着します。
マジックテープで調節可能なのでサイズ調整もしやすく、オムツよりもズレにくいというメリットがあります。
マナーホルダーに関しても、長時間の使用は皮膚トラブルを引き起こす可能性があるため、衛生的な使用を心がけましょう。
お風呂の介護用品
介護中でも、愛犬の清潔感を保つためには定期的なお風呂は欠かせません。
皮膚炎やフケ予防にもなりますので、シャンプーは定期的におこないましょう。
シャンプーの頻度は、成犬では2週間に1回程おこなえば清潔に保てますが、シニア犬の場合は2カ月に1回が目安となります。
ただし、お風呂は思ったよりも犬に負担がかかるため、頻度はあくまで目安として、体調の良い日を選んでおこなうようにしてください。
愛犬の身体に負担なくシャンプーをおこなうため、以下の3つのケアを紹介します
- 低刺激シャンプー
- ドライシャンプー
- 部分ケア
低刺激シャンプー
介護が必要な犬のシャンプーを行う場合、低刺激のシャンプーを使いましょう。
シニア犬になると皮膚が薄くなってしまうので、少しの刺激にも敏感に反応してしまうためです。
肌への負担を考えて、低刺激や無添加のもの、薬用シャンプーなどを使用してみてください。
またシャンプー時間を短くするために、リンスインシャンプーの使用もおすすめです。
汚れやすい耳や目頭、肛門や足先などポイントを絞って手早く行いましょう。
シャンプー中のお湯の温度は高いと刺激となってしまうため、やや低めの36度程度がおすすめです。
シャンプー中の呼吸状態や歯茎が白くないかなどの体調のチェックも必要です。
ドライシャンプー
負担をかけずに愛犬を清潔に保つ方法として、ドライシャンプーがあります。
ドライシャンプーとは洗い流す必要がなく、粉や泡などを付けて拭き取るだけで済むシャンプーです。
拭き取るだけのボディシートもドライシャンプーに含まれます。
水がいらないので手軽に使えますが、洗浄力は通常のシャンプーより劣るため、数回に一回は通常のシャンプーを使ってしっかりと洗ってあげましょう。
部分ケア
全身を一気に洗うのではなく、汚れた箇所や汚れやすいお腹周り、お尻周り、顔などを中心に洗う部分ケアもおすすめです。
汚れやすい箇所の毛は短く切っておくと汚れが付きにくく、ケアの時間も短くできます。
食事の介護用品
食事は毎日するものなので、できるだけ食べやすくしてあげましょう。
食事の介護におすすめなグッズは以下の3つです。
- 介護食
- 食事台や食器スタンド
- 持ち手付き食器
順番にみていきましょう。
介護食
犬の介護食は通常のフードと比べ、少量で栄養が摂れるよう高カロリーに作られています。
- ドライタイプ
- ウェットタイプ
- ペーストタイプ
- パテタイプ
- 流動タイプ
上記のように犬の介護食はさまざまな種類が販売されているので、愛犬の好みに合わせて選んでください。
迷った場合はかかりつけ医に相談して、愛犬に合ったものや飼い主さんの与えやすいフードを選びましょう。
食事台や食器スタンド
食事での介護は、床に直接食器を置かず、食事台や食器スタンドを使いましょう。
シニア犬は飲み込む力が弱いため、食べ物がしっかりと胃に送られるよう、食べるときの姿勢も大切です。
食器の位置が低いと、首を落とし腰をかがめて食べることになってしまうので、シニア犬にとっては飲み込むことが難しいのです。
食事台を使用して頭の位置を高くすることで食事が飲み込みやすくなります。
専用のものを使用する必要はありませんが、食器とセットで販売されているスタンドもあるため、愛犬の高さにあったものを選びましょう。
愛犬の前足や首への負担も軽くなるため、ぜひ使ってみてください。
持ち手付き食器
持ち手付き食器とは、飼い主さんが犬の口元へ食器を持っていって食べやすく介護できるよう、持ち手のついた食器のことです。
食事台や食器スタンドと同じく頭の位置が高くなるため、フードを飲み込みやすいメリットがあります。
食欲の落ちてきたシニア犬でも、飼い主さんが口元へ運んでくれたフードなら食べる子も多くいるんですよ。
食事台や食器スタンドと併用し、使ってみてはいかがでしょうか。
歩行の介護用品
愛犬の歩行を介護するものとしては、以下の介護用品があります。
- 歩行補助ハーネス
- ブーツ
- 車椅子
順番にみていきましょう。
歩行補助ハーネス
歩行補助ハーネスは愛犬の身体に巻き付けて飼い主さんが引っ張ることで、弱くなった足腰を支える介護用品です。
ただハーネスといってもさまざまなタイプがあります。
散歩の際に使用する目的であれば持ち手がある程度長く排泄しやすいもの、室内のみの使用であれば持ち手が短いものなど、使う状況に合わせて選びましょう。
また、ハーネスのサイズも重要です。
ハーネスが小さければ犬が苦しさを感じてしまいますし、大きければバランスが不安定になるうえ、肌に擦れて刺激を与えてしまいます。
購入する際は愛犬の体型とハーネスのサイズを確認して選びましょう。
ブーツ
ブーツは足の力が弱くなってしまった愛犬に履かせ、踏ん張る力の補助を目的に利用します。
購入する際は、愛犬の足のサイズをしっかりと測定しましょう。
ブーツが大きければ脱げやすく、小さければ履かせづらくなってしまいます。
また犬によって好みが分かれ、ブーツを受け付けない犬もいます。
ブーツ嫌いな犬はブーツを見ただけで散歩が嫌になってしまうかもしれません。しばらく履かせてみても慣れずに嫌がり続ける場合は、諦めてほかの方法を探すことも大切です。
車椅子
ハーネスやブーツのほか、歩行の介護用品として犬用の車椅子があります。
筋力が衰え、歩くのが難しくなってしまったシニア犬でも散歩が可能になり、ストレスの発散ができるほか、残った筋力を鍛えるためにも役立ちます。
散歩だけでなく家の中での使用もできると、愛犬の行動範囲が広がるでしょう。
車椅子は市販のものからフルオーダーメイドまでさまざまです。
慣れるのに時間がかかる場合もあり値段も安くないため、車椅子のメリットやデメリットを考えて購入しましょう。
バリアフリー
介護が必要となった愛犬も、部屋の中を自由に歩きたいですよね。
しかし家の中には運動機能の衰えてしまった身体にとって、危険がたくさんあります。
そんなときは危険を減らせるよう、以下のものを使って家の中をバリアフリーにすると愛犬も嬉しいでしょう。
- ステップやスロープ
- ペットサークル
- 滑り止め用マット
ステップやスロープ
家の中の段差解消には、ステップやスロープの利用がおすすめです。
家の中に段差があると、たとえ段差が低くても筋力の衰えたシニア犬はつまづいてしまうかもしれません。
今まで飛び乗っていたソファのような気に入った場所にも乗ることができず、ストレスを溜めてしまう可能性もあるでしょう。
高い段差にはステップの追加やスロープを設置することで関節への負担を減らせます。
ペットサークル
ペットサークルは犬を囲うことで、物にぶつかったときの衝撃を減らせる介護用品です。
飼い主さんが注意を払って見られない場合、ペットサークルに入っておいてもらうと危険を防げます。
また認知症を発症している場合、回り続ける旋回行動もサークルの中なら安心です。
ぶつかっても痛くないよう、介護用に柔らかい素材が使われたペットサークルが販売されているので置くスペースを考慮して選びましょう。
滑り止め用マット
脚の筋肉が衰え歩く力が弱くなってきたシニア犬には、滑り止め用マットも効果的です。
フローリングで滑ってしまい踏ん張りがきかなくなってしまった場合でも、マットがあれば効率的に足に力が入れられます。
滑り止め用マットはシニア犬だけでなく、若い年齢の犬にも転倒予防として使うとよいでしょう。
また上記のペットサークルの中に敷くなど、組み合わせて使う方法もおすすめです。
まとめ
愛犬の介護を考えたときになにが必要なのか具体的に想像できず、不安に思う飼い主さんも多いのではないでしょうか。
介護は愛犬の身体機能の衰えを把握し、適切な用具を使うことが大切です。
飼い主さんが穏やかに傍でお世話をしてあげることで、愛犬の生活の質を変えることなく、豊かな日々を送らせてあげることができるでしょう。
今回紹介したなかで必要なものを確認し、介護に役立ててみてください。
この記事のライター
nana
泳ぎも走りも得意な運動神経抜群のゴールデンレトリバーと暮らしています!今は愛犬とタンデムサーフィンの練習中。いつまでもアクティブに楽しく過ごせるような情報を発信していきます。
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