犬のチャイム吠えの理由は?犬のチャイム吠え対策にはコレを試して!対処法まとめ
玄関チャイムのピンポーンに反応してワンワンワンワン!多くの犬の飼い主のお悩みの一つが、この玄関チャイムに反応して過剰に愛犬が吠えること。近所迷惑になるだけではなく、興奮が収まらなくなるというお悩みもあります。なぜ犬はチャイムで吠えるのか、そこには犬なりの理由もあるのです。
そこで、まずは理解しておきたい犬種特性とチャイム吠えの対処法をご紹介します。
目次
チャイム吠えを学習する?吠えが「癖」になる原因とは
一概に“チャイム吠え”と言っても、上述の通り、犬がチャイム音に吠える理由はさまざまです。また「子犬の頃は吠えなかったのに、1歳を超えたあたりからチャイムに吠えるようになった」という話はよく耳にしますが、それもそのはず。犬は学習をしてチャイム音に対して吠える“癖”を身につけていきます。
吠え癖がついてしまう原因
もともと子犬の頃からチャイムの音に反応して吠える犬は少ないと言います。オヤツの袋をガサガサと開ける音を聞くと反応して近寄ってくる犬が多いと思いますが、これも子犬の頃から反応が見られていた訳ではないはずです。
犬は「特定の音に連動して“何か”が起こる」ということを日々の体験から学習していきます。そのため『オヤツの袋をガサガサ開ける音がすると美味しいものが出てくる』と学習し、近寄ってきたり喜ぶ反応を見せるようになっていきます。
成功体験を学習して吠えるように
チャイムの音で吠える場合にはきっかけは逆で、チャイムの音が鳴ったら『知らない人が来て怖い』『飼い主がバタバタとして慌ただしくなる』などの犬にとって嫌なことが起きます。これは犬にとってはチャイム音=注意すべき音と認識をさせてしまうことに繋がります。
そして吠えることによって知らない人を追い出すことが出来ると『自分のテリトリーから追い出せた!』『飼い主が近くに来てくれた!』と考えて、それを成功体験として記憶・学習してしまう場合があります。
単純に興奮しているのではなく「成長して徐々にチャイムで吠えるようになってきた」「チャイム吠えの癖が直らない」という場合には、このような後天的な原因が考えられますので、後述する方法で丁寧に対処・トレーニングをしていく必要があります。
なぜ犬たちは玄関チャイムで吠えるの?
いつもは、ワンとも吠えないのに玄関チャイム・インターフォンにだけは過剰に反応する、そんな“玄関チャイム犬”は多くの飼い主さんの頭を悩ませています。なぜ、犬は玄関チャイム音に吠えるのでしょうか?その「なぜ」を知るためには、犬の性格や犬種特性を理解すると共に、犬の心理・状態を探る必要があります。まずはチャイム音に反応して吠えているときの犬の心理・状態から考えていきます。
- 喜び・興奮している
- 縄張り意識・警戒をしている
- 恐怖心を抱いている
1.喜び・興奮している
人が大好きなコの場合は『チャイム音が鳴ったら誰かが来てくれる!』という気持ちで、来客が嬉しくて興奮して吠えている場合もあります。『お客さん嬉しい!遊ぼ!』という心理状態となっているため、来客時に訪問者に飛び掛かったりと言う行動が見られる場合に考えられる理由です。
2.縄張り意識・警戒をしている
自分が家のリーダーだと思っている犬に多い理由として、チャイムの音が鳴って吠えるのは「縄張り意識が強い」ということが挙げられます。縄張り意識がある犬は、自分のテリトリーに入ってきた侵入者に対して『入ってこないで!』と吠えて警戒信号を出し、追い出そうとします。
3.恐怖心を抱いている
チャイム音が鳴ると多くの場合で知らない人が自宅の玄関に入ってきます。これは飼い主さんにとってはただの宅配便であっても、犬にとっては未知の生物との遭遇になります。それゆえに怖がりの犬の場合は、見知らぬ人がきた恐怖・不安から『怖い!こっちに来ないで!』と怯えてしまい、それが吠える行動に繋がることがあります。
チャイム音で吠えやすい犬種・性格とは?
現在は家庭犬として人間と暮らしている犬でも、過去には農場の番犬や狩猟犬として活躍していた犬種があります。特に、吠えて獲物の居場所を教える使役をしていた狩猟犬や、吠えて動物を追い込む牧羊犬などは、吠えることを仕事としていたため、吠えることが悪いことだとは思っていません。
自分のテリトリーを守ろうとする意識の強い犬種や警戒心の強い犬種は、チャイム音というよりは外部からの侵入者に対して吠えやすい傾向があります。
また体の小さな小型犬は、大型犬と比較すると臆病な性格・神経質な性格の子も多く、吠えやすい傾向が見られます。
小型犬・怖がり・神経質な性格
恐怖や不安、警戒心を強く持つ犬は、玄関のチャイム音が鳴ると『知らない人がくる…』と反応して吠えることがあります。特に、愛玩犬として作出されたチワワやポメラニアンなどが吠えやすい犬種と言われており、これは犬の特性として自分より大きい物を警戒して吠えるという習性があることが原因と考えられています。
吠えることが仕事の牧羊犬
シェットランドシープドッグやボーダーコリーに代表される牧羊犬は、吠えながら羊を一ヶ所に追い込むことを仕事としていた犬種です。そのため、吠えることが悪いことだとは思っていません。また、牛追い犬として知られているウエルッシュコーギーも吠えることを仕事としていた犬種です。
狩猟犬の本能として吠える犬種
古来より人間の狩猟パートナーとして活躍していた犬種の中には、相手を威嚇するために吠える犬種と獲物の居場所を人間に教えるために吠える犬種があります。中でも吠える犬種として知られているのが、ジャックラッセルテリアを代表とするテリア種、スパニエル種、ミニチュアダックスフンド、ビーグルなどです。
番犬として活躍していた犬種
古来より人間と共に暮らしていた犬種の多くは、人間の仕事を助ける役目を担っていました。中でも、ガードドッグ、ウォッチドッグと呼ばれている犬種は、よく吠えることで知られています。代表的な犬種には、ミニチュアピンシャーで知られるピンシャー種、ミニチュアシュナウザーが人気のシュナウザー種、シェパード、マスティフ、ロットワイラーなどがいます。
「恐怖や警戒心によるチャイム吠え癖」の対策
玄関のチャイム音が鳴り、恐怖・警戒心・縄張り意識から吠えてしまう場合、そしてその経験の積み重ねによって後天的に吠えることが癖になっている場合は、以下の方法で「チャイム音は怖くない!」ということを根気強く丁寧に教えていく必要があります。インターホンの音への恐怖心を取り除き、嬉しい合図に変えていく方法です。なお、単にチャイム音に興奮して喜んでいる様子であれば「4」以降を参考にしてください。
トレーニングのポイント
- オヤツで警戒心を和らげる
- 無視して落ち着かせる
- 飼い主さんの姿を見せずに吠え我慢
- ハウスのコマンドだけで動けるように
- 社会化を身につけさせるのも大事!
1.オヤツで警戒心を和らげる
まずは家族や友人に「チャイムを鳴らしてもらう」もしくは「チャイム音を録音して鳴らす」ことで、疑似的にチャイム音が鳴る状態を作ります。このときチャイム音が録音できたなら、まずは小さな音から鳴らしていき、徐々に音量を上げ、最終的には実際のチャイム音で訓練をしていきます。
疑似チャイム音を鳴らしたら、愛犬が吠える前に、すかさず飼い主さんの手からオヤツをあげて愛犬を食べることに集中させます。こうすることで意識がオヤツに逸れ、チャイム音への警戒心・恐怖心を少し和らげることができます。
ここでは「チャイムが鳴っても吠えずにいられた」という経験を積ませることが大切になりますが、実践編ではなかなかチャイム音と同時にオヤツをあげることは難しいので、練習のときだけに限定するようにしましょう。
2.無視して落ち着かせる
チャイム音が鳴ったらすぐに吠えてしまい、オヤツを与える隙がない場合には、オヤツをあげるのではなく、まずは「吠えるのを無視して落ち着かせる」必要があります。
吠えた後にオヤツをあげてしまうと「吠えたらオヤツをもらえた!」と勘違いして学習してしまう恐れがあるため、愛犬の様子をよく観察して適切な訓練をしていく必要があります。
そして無視をして愛犬が落ち着いたら「ハウス」を指示し、中に入ったらオヤツをあげましょう。この訓練は1回や2回の練習で吠えるのをやめないからといって、やめてしまうのではなく、根気よく続けることが大切です。
3.飼い主さんの姿を見せずに吠え我慢
チャイムの音に愛犬が吠えなくなってきたら、次のステップです。チャイム音が鳴って吠えなくなっても、飼い主さんが玄関に行って姿が見えなくなってしまうと吠えることがあります。そのため、このステップでは、チャイムが鳴って飼い主さんの姿が見えなくなっても「吠えないこと」をしつけることがポイントとなります。
本番に即した形でチャイム音を鳴らしたら、オヤツの入った知育玩具を与えて、そっと愛犬の傍から離れ玄関に向かいます。そしてオヤツを食べ終わる前に愛犬の前に戻り、終始愛犬が吠えずにいられたらたくさん褒めてあげてください。徐々に飼い主さんの姿が見えない時間を長くしていき、トレーニングを進めます。
4.ハウスのコマンドだけで動けるように
このようにしてチャイム音に警戒心がなくなってきたら、次は玄関でチャイム音がなったら「ハウス」に入る練習です。この練習法はチャイムの音に反応して興奮してしまうコにもオススメです。
チャイム音を鳴らしたらすかさず「ハウス」のコマンドを指示し、愛犬をハウスに誘導します。こうすることで徐々にチャイム音がしたら「ハウス」に行くと学習しますので、オヤツがなくても大人しくしてくれるようになるはずです。
もし、ハウスに入ってもチャイム音に吠えてしまう場合は、ハウスの上から布をかぶせて暗くする、好きなおもちゃをハウスに入れるなどして、気を紛らわせるようにしてみるのも手のひとつです。
ハウストレーニング
上述の練習を行なう上では、事前にクレートを準備してハウストレーニングをしておきましょう。犬は、巣穴に入ることで本能的に安心する動物です。恐怖心や不安から吠えている犬の場合、自分のハウスがもっとも安心できる場所になります。
まだハウストレーニングが済んでいない場合は、トリーツをクレートの中に入れ、犬をクレートに誘導します。これを繰り返し実践し、ハウスに入ると「いいことがある!」と学習させることで、だんだんとクレートを愛犬の好きな場所・安心できる場所にしていきます。そして、犬が自発的にクレートに入るタイミングを見計らって「ハウス」のコマンドを加えていき、徐々にコマンドだけでハウスに入る訓練をします。
5.社会化を身につけさせるのも大事!
大きな音が嫌い、知らない人が怖い、お散歩中に他の犬に向かって吠えるなど、恐怖心を強く持っている犬の場合、社会化が上手にできていない可能性があります。人間社会で共存していくために環境に慣れさせるトレーニングをした方が、飼い主さんにとっても愛犬にとっても幸せな暮らしを送ることができるはずです。
無理のない範囲で、大きめの音の出る場所、車の騒音・人の往来が多い所などさまざまなところに連れて行き、できるだけ子犬の頃から社会性を身につけさせることが大切です。
チャイム音を変える
過去にチャイム音に対する強い恐怖があって長年吠え続けてきた場合などには、改善にさらに根気が必要となりますので、「チャイム音を変える」というのも意外にいい手です。
「興奮によるチャイム吠え」の場合の対策
学習してしまうと、なかなかやめさせることが難しいチャイム吠えですが、単に興奮しているだけなら、落ち着かせることで吠えるのをストップしてくれる可能性も高いです。とは言え、頭ごなしに大きな声で「やめて!」等といっても犬の興奮をさらに後押ししてしまうだけ。また、どんなしつけにおいても家庭犬に「罰」を与えて直していくのは好ましくないとされています。
では、どんな対策をするのが良いのでしょうか?ここでは、興奮しやすい犬に試してほしいチャイム吠え対策を2つご紹介します。
- 玄関から遠い部屋に移動する
- 大きな声は出さずに無視する
1.玄関から遠い部屋に移動する
玄関のチャイムが鳴ると『わーい、誰か来た?遊んでもらえるかも?』と、吠えながらダッシュ!してしまう興奮気味の犬の場合は、まず落ち着かせることが大切です。友人など知り合いが訪問してきた場合には、少し待ってもらい、オヤツなどを使って犬を玄関から遠い部屋の中に呼びもどします。耳たぶを優しくマッサージしたり、抱っこするなどして落ち着かせ、吠えなくなったら褒めてあげましょう。
2.大きな声は出さずに無視する
チャイムの音に反応して「誰か来た?!」と嬉しそうに吠える犬の場合、吠えている時に家族の誰かが「吠えちゃダメ!」などと大きい声で怒ると、犬は嬉しくなってしまいさらに吠え続けることもあります。犬にとって、必要以上の大きな声は怒られているのではなく、遊んでくれている楽しい声に聞こえます。
特に、高めの大きな声は、犬が嬉しくなってしまう音。どんなに怒っているつもりでも、犬にとっては一緒に吠えて遊んでいるように聞こえてしまいます。
そのため、チャイム吠えが始まったら、大きな声を出さずに、まずは無視してみましょう。吠えても誰からも反応されないと分かれば、吠えるのをやめる可能性があります。ただし、来客者を無視する訳にもいきませんので、家のチャイムの音を録音しておいて、誰も入ってこない状況を作って音を鳴らしてくトレーニングがこちらも必要です。
犬のチャイム吠え対策は根気強く慎重に
チャイム吠えが癖になってしまっている犬に、吠えないように対策することの難しさは、チャイムの音に気付いて吠えたら飼い主さんに構ってもらえた!オヤツをもらえた!と逆に覚えてしまう恐れがあることです。オヤツをもらえたことで警戒心が緩んで吠えにくくなることも期待されますが、やり方を間違えるとチャイム吠え=オヤツといった学習をし、逆効果になってしまうことも。学習をして吠えることを覚えたゆえに、解消する上でも時間が必要です。まずは吠え続けるところから、2~3回吠えるレベルに抑えられれば良いという気持ちで、根気強く慎重に指示を出すことを意識しましょう。
犬は理由もなく吠えることはありません。なぜ吠えているのか?その理由を考えて寄り添っていくことを常に意識できるといいですね。
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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