【獣医師監修】犬もアニサキスには要注意|症状や発症の原因を解説します
皆さんの愛犬はお魚は好きですか?
犬の中にはお魚が好きな子もいますが、犬に魚類を与える際は「アニサキス症」に注意が必要です。適切な対策を講じれば発症のリスクはぐっと下がるので、原因と予防方法をおさえておきましょう。アニサキス症の症状や治療法も併せて解説していきます。
犬も注意が必要なアニサキス症とは?
アニサキス症とは、アニサキスという寄生虫を摂取することで引き起こる食中毒です。アニサキスは長さ2~3cm、幅0.5~1mm程度の肉眼でも確認できる大きさで、半透明の白い糸のような形状をしています。体内に侵入したアニサキスの幼虫が胃壁や腸壁に突き刺さることで発症します。
主な症状
犬がアニサキス症にかかると人間同様に、激しい腹痛や吐き気、嘔吐などを引き起こします。アニサキスが体内に侵入してから数時間~数十時間後に症状が現れ、一定の間隔で腹痛を繰り返すのが特徴です。
他の犬や人間にうつる?
アニサキス症は、犬だけでなく人間も発症する動物由来感染症です。しかし、アニサキス症の犬から直接的に他の犬や人間にうつるのではなく、後述するアニサキス症の原因によって発症します。
アニサキス症を発症する原因
犬にも注意が必要なアニサキス症は、私たちの普段食べている身近な食材が原因となって発症します。では、その原因について具体的に見ていきましょう。
アニサキスが寄生した生の魚介類を食べて感染
アニサキス症は、アニサキスが寄生した生の魚介類を食べてしまうことで発症します。アニサキスはアジやイワシ、サバ、サンマ、カツオ、サケ、イカなどの内臓に寄生しています。
それならば、内臓を取り除いて身の部分を愛犬にあげればよいのでは?と思うかもしれませんが、アニサキスは宿主が死亡して時間が経つと内臓から筋肉(身の部分)に移動します。そのため、犬が生の魚介類を食べると中毒症状を引き起こすリスクが高いのです。
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かかりやすい犬種や年齢
アニサキス症状は、犬種や年齢に関係なく、全ての犬がかかるリスクがあります。
アニサキス症を治療する方法は?
犬がアニサキス症にかかった場合、効果的な駆除薬は残念ながらありません。アニサキス症にかかった場合は、内視鏡で虫体を確認してその場で摘出します。アニサキスが体内からいなくなれば症状はどんどん軽くなっていき、痛みなどの症状は消失します。
治療にかかる費用
動物病院によって幅はありますが、アニサキス症の治療にかかる費用は、各種検査費や内視鏡による摘出費などを含めて6~11万円ぐらいです。そして、この費用とは別に、摘出後も継続治療の通院費が発生することがあります。
アニサキス症を予防するには
アニサキスは熱に弱い性質があります。60度なら1分以上、もしくは70度以上での加熱処理により死滅するので、愛犬に魚介類を与える際は火を通したものだけにすると予防ができます。
また、加熱だけでなく冷凍にも弱いので、20度以下で24時間以上冷凍処理することでも死滅します。愛犬の食餌を手作りするにあたって魚を使用している場合、すぐに使わない分に関しては、冷凍して保存しておくとよいでしょう。
再発する可能性
アニサキス症にかかって回復しても、アニサキスが寄生した生魚を食べた場合、再び発症してしまいます。犬は生魚を食べられますが、アニサキスの寄生の可能性を考えると、火を通してから与えたほうが望ましいとされています。
もしお刺身などを食べている横で愛犬が欲しがるような場合であっても、安易に与えないほうがよいでしょう。普段から適切な予防策を取って、発症を繰り返さないようにしましょう。
生の魚類を愛犬に与える場合は火を通すと安心
犬がアニサキス症を発症すると、激しい腹痛や嘔吐などに襲われます。もし魚介類を食べた後に愛犬の様子がおかしいと感じたら、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。体内に侵入したアニサキスを摘出すれば、痛みは消えて回復していきます。また、調理器具や愛犬が使う食器を介した二次感染を防ぐために、洗浄もしっかりと行い、環境を衛生的に保つようにしましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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