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【獣医師監修】ワクチン必須の犬ジステンパーウイルス感染症について。命に関わる感染症から愛犬を守るために

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犬ジステンパーウイルス感染症についてご存知でしょうか。ジステンパーウイルス感染症は、ニホンオオカミが絶滅する原因ともなった感染症で、命にかかわる3大感染症のひとつであり、感染力、致死率ともに高いため、犬が毎年受ける予防接種の中にコアワクチンとして含まれています。

今回は、ジステンパーウイルス感染症について、症状や原因、治療法までを解説します。愛犬をジステンパーウイルスから守るために知識を増やしておきましょう。

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目次

  1. 犬のジステンパーウイルス感染症について
  2. 犬のジステンパーウイルスの感染経路は?
  3. 犬のジステンパーウイルス感染症の症状
  4. 犬のジステンパーウイルス感染症の治療法
  5. 犬のジステンパーウイルス感染症を予防するには
  6. 定期的なワクチン接種で愛犬を感染症から守ろう

犬のジステンパーウイルス感染症について

子犬

ジステンパーは、ジステンパーウイルスに感染することによって起こる感染症です。

ほとんどの肉食動物に感染する

南米ペルーから飼い犬を通してヨーロッパに持ち込まれたとされている感染症で、イヌ科の動物だけではなく、ネコ科、イタチ科、アライグマ科、アザラシ科など肉食のほとんどの動物に感染する病気です。
有名なところでは、タンザニアのセレンゲティ国立公園のライオンにジステンパーが流行しライオンが突然死したことや中国でサルの飼育施設で流行し、大量死したことなどが挙げられます。

感染力と致死率が高いことが特徴

人間のはしかウイルスに似た構造を持つジステンパーウイルスは感染力が高く、犬が感染すると発病率は25~75%、致死率は50~90%と非常に高く、恐ろしい感染症です。
感染しても軽い症状で済む場合や、重篤な症状から死に至る場合、後遺症が残る場合などさまざまな症状が存在することも特徴です。

犬のジステンパーウイルスの感染経路は?

犬

ジステンパーウイルスは、ジステンパーに感染している犬のくしゃみや鼻水、唾液などから感染します。
特に、空気が乾燥している冬場に感染しやすいと言われています。以下、3つの主な感染経路について挙げていきます。ジステンパーウイルスは、ジステンパーに感染している犬のくしゃみや鼻水、唾液などから感染します。
特に、空気が乾燥している冬場に感染しやすいと言われています。以下、3つの主な感染経路について挙げていきます。

1.接触感染

感染した犬の鼻水、唾液、目やに、尿、便などに接触することで感染します。
また、犬同士で遊んだ時に、感染した犬を舐めたり、噛むことからも感染します。

2.飛沫感染

感染した犬のくしゃみ、咳などによって空中に飛散したウイルスの粒子を吸い込むことで感染します。

3.間接感染

感染した犬が使用した食器、ブラシ、タオル、ボールなどのおもちゃを共用したことによって感染します。
多頭飼いの家庭の場合は、感染した犬が使用したものには、絶対に他の犬が触らないように気をつける必要があります。

かかりやすい犬種や年齢

ジステンパーウイルスは、犬種を問わずワクチンを接種していない犬、免疫力の低い子犬、シニア犬、基礎疾患を有する犬などがかかりやすいと言われていますが、成犬でも感染しないわけではありません。
また、成犬では3歳未満での感染率が高く、子犬は母犬の初乳の免疫が切れた時期で、かつワクチン接種が終わっていない「3ヶ月齢の頃」が最も感染しやすいとされています。

犬のジステンパーウイルス感染症の症状

犬

犬がジステンパーを発症した場合の症状を見ていきましょう。

初期症状

ジステンパーの症状は、急性、緩やかに進行する亜急性、慢性と3つのタイプに分けられます。
どの場合も、感染後の約1週間で鼻水、目やに、40度前後の発熱、食欲不振、元気消失などの初期症状が現れます。一般的に、初期症状は軽いとされ見過ごされがちですが、子犬やシニア犬など免疫の低い犬は、二次感染を起こしやすく重篤な症状となる場合があります。

初期症状の次に出る症状に要注意

免疫力の高い成犬などは、初期症状が治まるとそのまま治癒するケースもあります。
しかし免疫力が低い犬の場合は、感染後2週間程度で初期症状に続いて咳、くしゃみなどの呼吸器症状が発現します。そして嘔吐、下痢などの消化器症状が現れ、再び発熱して脱水や衰弱が起こります。
また、結膜炎、白血球の減少、体重減少などの症状が出ると、そのまま重篤化する恐れがあるため注意が必要です。

重篤となった場合の症状

ジステンパーウイルスが脳に侵入すると、麻痺やけいれん、運動失調といった神経症状が見られます。
この場合、ジステンパーウイルスによるジステンパー脳炎や脳脊髄炎が引き起こされます。これにより、網膜炎、網膜剥離、失明、化膿性の皮膚炎、鼻や足の裏のパッドが角質化するハードパッドと呼ばれる症状が見られます。
また、ジステンパーに感染すると、免疫の低い子犬やシニア犬はジステンパーウイルス以外にも、細菌による二次感染を起こしやすくなり、結果として重篤な症状となる場合があります。

他の犬や人間にうつる?

ジステンパーウイルスは、飛沫、接触、間接的に伝播する非常に感染力の高いウイルスです。
現在のところは人間に感染することはないとされていますが、ウイルスの変異や進化によって将来的に人間にも感染する可能性があるとも言われています。感染した犬と暮らしている場合、犬に触るなどの直接的な接触や、食器やボールなどを触るなどの間接接触をした場合には、石鹸できれいに手を洗うことが推奨されています。
また、多頭飼いの家庭の場合は、感染した犬を隔離することも重要です。

犬のジステンパーウイルス感染症の治療法

犬

ジステンパーウイルスに感染すると、有効な治療法がないため、症状緩和のための対症療法がとられます。
初期症状の段階では、ウイルスを抑制する抗ウイルス剤や抗生物質、ステロイドなどの他に症状ごとに投薬が行われます。また、感染力が高いため隔離による入院が必要となるので、隔離施設のある動物病院を選択する必要があります。

治療にかかる費用

ジステンパーウイルス感染症は、簡易検査キットによって4,000~5,000円の費用で検査が可能です。
また、初期症状の場合は投薬による治療となるため1回の通院で約4,500円程度となりますが、通院が長引く場合や隔離入院が必要となる場合は、この限りではありません。

犬のジステンパーウイルス感染症を予防するには

犬 注射

犬は、母犬からもらう免疫(移行抗体)を生後12週程度までは獲得しています。この移行抗体が切れる12週以降が、最もジステンパーウイルスに感染しやすくなる時期だと言われています。
子犬が複数回に分けてワクチン接種をするのは、ジステンパーウイルスに対する抗体をしっかり作るためでもあるのです。また、成犬になってから接種する混合ワクチンの中にも、ジステンパーウイルスに対するコアワクチンが含まれているので、忘れずに接種するように心がけてください。

再発する可能性

ジステンパーウイルスは、一度治ったように見えて再発することがある恐ろしい感染症です。これを亜急性の発症と呼び、脳の中にジステンパーウイルスが潜んでいることによって神経症状が現れます。
また、4~8歳の犬では、慢性的な症状を発症することがあり、徐々に進行し重篤な状態になることもあります。

定期的なワクチン接種で愛犬を感染症から守ろう

犬

有効な治療法が確立されていないジステンパーウイルス感染症は、一度発症してしまうと致死率が高い恐ろしい病気ですが、定期的にワクチンを接種する事で予防できます。
また、多くの野生動物が感染している可能性があるため、登山やハイキングなど自然の中で遊ぶ場合は、野生動物と接触させないように気をつけることも大切です。
ワクチン接種は、副反応などのリスクも勿論ありますが、それ以上に、重篤な病気から愛犬を守るために必要なものであることを知っておきましょう。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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