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【獣医師監修】大型犬に多い胃拡張は再発しやすい病気?知っておくべき予防方法とは

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皆さんの愛犬は、ご飯タイムのとき「大量に早食いする」「水をがぶ飲みする」などのくせはありませんか。また、ご飯のあとにテンションが高まって走り回ったりしていませんか。これらの行動は「胃拡張」を引き起こすリスクになることがあります。胃拡張は急性の症状を引き起こす怖い病気です。

犬の内臓疾患は見た目では分かりづらく、元気がなくなったり食欲が落ちてきて初めて判明するケースが多いです。犬は「つらい」と言えないので、飼い主さんが異常に気付いて動物病院に行き、ようやく胃に異常が起こっていることに気がつきます。

今回は急に起こる胃拡張の原因や症状・治療法などについて解説していきます。

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目次

  1. 犬の「胃拡張」という病気について
  2. 胃拡張の原因として考えられるもの
  3. 胃拡張の治療方法は?
  4. 胃拡張を予防する方法はある?
  5. 予防法をしっかり頭に入れて発症させないようにしよう

犬の「胃拡張」という病気について

寝ている犬
kmjohnston Unsplash

胃が膨れ上がる胃拡張と、胃が捻じれる胃捻転とはセットだと考えて良いかも知れません。なぜなら急性胃拡張が起こった直後に胃捻転になるケースが圧倒的に多く、そのまま放置してしまえば数時間で死に至る危険な状態となってしまうからです。

何らかの原因で胃の中にガスがたまり、捻転する現象が起こると、胃の入り口と出口が閉塞されて吐き気を覚えます。しかし、吐物が出ない状態が続いて、次第に呼吸も荒くなり、大きな血管を圧迫することで脈拍が低下、ショック状態に陥ることも少なくありません。

初期症状

胃拡張は食べた直後ではなく、食べてから数時間後に起こることが多いとされています。例えば、夜にご飯を食べる犬の場合、夜中や明け方に発症してしまうケースが多く、そういったケースに備え、あらかじめ救命・救急処置が可能な動物病院を探しておくことが必要とされます。

胃拡張になった場合、犬は不快感を覚えると思いますが、飼い主さんがそれに気付くケースは稀で、多くは胃捻転を併発してから大変な事態になったことに気付きます。

他の犬や人間にうつる?

胃拡張は伝染性の疾患ではありませんので、他の犬や人間にうつることはありません。

胃拡張の原因として考えられるもの

犬 鼻

胃拡張に伴う胃捻転という疾患がなぜ起こるのか?はっきりとしたことは分かっていないのが現状となりますが、その要因となることがいくつか挙げられます。ここでは代表的な要因3つについてご紹介します。

1.フードによる影響

本来なら適量を与えるはずのドライフードを大量に食べてしまい、さらに多くの水を飲んだことで胃が拡張してしまいます。 またそれに伴ってガスも発生しますので、胃が膨れ上がった状態になってしまいます。 また、食餌を与えた後すぐに運動をさせることで胃捻転が誘発されてしまうこともあるので、フードの与え方とその後の過ごし方には注意が必要です。

2.遺伝的要因

胃拡張が起こる要因については、遺伝的要因も指摘されています。また胸の深い犬種であるグレート・デンやジャーマン・シェパードなど大型犬のオスに起こりやすいとされています。ただし中型犬・小型犬がかからないということはなく、ミニチュア・ダックスフンドなども好発犬種として知られています。いずれにしても、胃の蠕動運動があまり活発ではないときに起こりやすいということは言えるでしょう。

3.高齢犬の場合

犬が高齢になると、胃の周辺にある靭帯に張りがなくなってきます。するとどうなるのでしょうか?胃を支える靭帯が伸びてしまい、全体的に胃の位置が下がってしまいます。特に深い腹腔を持つ大型犬ほど、摂取した食べ物が滞留しやすくなり、発酵してガスが発生してしまうのです。

かかりやすい犬種や年齢

もう一度おさらいになりますが、好発犬種として腹腔の深い大型犬はかかりやすいと言えるでしょう。

  • グレート・デン
  • ジャーマン・シェパード
  • ボクサー
  • セントバーナード
  • アイリッシュ・セター など

またかかりやすい年齢としては、高齢になるに従って顕著になります。多くの症例では大型犬の5~6歳以降に現れることが多いと言われています。

胃拡張の治療方法は?

寝ている犬

胃拡張・胃捻転を併発しているとショック状態になっていることも多く、点滴や不整脈の治療などが行われます。また胃拡張を緩和するために口からチューブを入れて胃内のガスを抜く減圧処置が施されます。緊急を要する場合は開腹手術が先になる場合もあります。

手術する際、部分的に胃を切除することもありますが、胃の状態を修復し、しっかり胃を腹壁に固定して再捻転を防ぐことが重要になります。また手術後は胃の運動改善薬を投与し、再発防止のために食餌管理が求められます。

治療にかかる費用

治療にかかる費用は決して安くはありません。胃拡張から胃捻転を併発した場合、治療期間を3週間として考えます。

  • 手術費17万円(手術前処置や検査、入院費などを含む)
  • 通院費1日5千円ほど。3回通院したとする。

単純に計算しただけで約18万円ほどかかりますが、不整脈や他の臓器の捻転、血管圧迫に伴う血液凝固などを併発した場合、治療期間はさらに長くなりますし、治療費も高くなります。

胃拡張を予防する方法はある?

老犬

犬の胃拡張を予防するために、飼い主さんが気を付けて頂きたいことは、まず胃にガスが溜まりにくくすることです。一度にたくさんのフードを与えず、1日のうち何回かに小分けして与えるようにしましょう。フードもなるべく消化に良いものが望ましいです。

また胃捻転を予防するために、食後に急激な運動をさせることは避けましょう。散歩に出かけるのが好きな子も、ご飯タイムの後は十分な休息を取らせてから出かけることが大切です。

再発する可能性は?

一旦、胃拡張の症状が治っても再発のリスクは付きまといます。そのため食餌や運動に関して飼い主さんがしっかり注意して、犬の行動を管理する必要があります。また胃捻転の再発を予防するために、ガストロペクシー(胃壁固定具)を使った予防胃固定術を受けることもできます。

予防法をしっかり頭に入れて発症させないようにしよう

寝ている犬
Karolina Grabowska Pexels

胃拡張・胃捻転は、人間ですら発症すると七転八倒の苦しみだと言われます。ましてや愛犬がかかってしまった場合、その処置は一刻を争います。どのような病気もそうなのですが、急病になった際、すぐに頼れる動物病院を事前に探しておくことが求められます。早めに適切な処置ができれば、また元気いっぱいに遊べる可能性が高くなるので、愛犬の命を背負っている責任を感じて、日々行動してあげてください。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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