愛犬の介護が必要になったら。老犬介護と上手に付き合うヒント
元気に遊びまわっていた愛犬も年を重ね、ゆくゆくは介護が必要となるかもしれません。若いうちは介護について考えることはなかなかないですが、どんな犬たちも必ず歳を取ります。介護が不要な状態が理想的ではありますが、人より短い寿命の愛犬の介護が必要となったとき、飼い主には何ができるでしょうか?今回は、老犬の介護について焦点を当てたいと思います。
介護が必要になる場面
犬は年を取ると身体や性格に少しずつ変化が出てきます。そのため介護をする飼い主さんやその家族は、これまでの生活リズムや愛犬との接し方なども変えてあげなくてはいけません。
行動や心理面での老化
老犬になると、これまで出来ていたことが少しずつ出来なくなってきます。
- トイレを我慢することができず、失敗してしまうことが増える
- ものにぶつかる
- 寝ていることが多くなる
上記の老化現象や関節などの痛み、不安感から神経質になったり、噛んでしまうこともあります。体力的にも若い頃のように散歩や運動をすることが難しくなりますが、室内にこもっていてはストレスが溜まり、体にもよくありません。体調を見て介護しながら外をゆっくりと歩かせたり、抱っこをして外の匂いを嗅がせ、気分転換させてあげましょう。
身体的な老化
老犬になると体にさまざまな変化が出てきます。
- 目が白っぽくなり、見えにくくなる
- 耳が遠くなり、名前を呼んでも反応しにくくなる
- 口先や目の周りに白い毛が増えてくる
老犬になると目や耳、口に徐々に老化現象があらわれてきます。この他にも、筋力や新陳代謝の低下により体温調節が難しくなったり、消化機能の低下や歯が弱ることで、これまでの食事が食べにくくなるので、食べやすいよう介護してあげることが必要です。
老犬を介護するための準環境づくり
老犬を介護するときには、飼い主や家族の心構えが必要です。介護をするうえで準備しておけるものは、準備しておきたいですね。
年齢に合わせたシニア向けの食事
介護が必要な年齢になると老化により消化機能も低下していきますので、年齢に合わせた良質なドッグフードを選びましょう。必要な栄養がしっかりと摂れるように、与え方や回数を変えたり、消化吸収のいいフードに切り替えるなどの工夫が必要です。病気がある場合は、食事や介護の仕方などを獣医師と相談してみましょう。
頼ることを考える
老犬になると身体や性格の変化から、生活リズムが変わったり、介護が必要となることが増えてきます。飼い主ひとりでは体力的にも精神的にも、負担が大きくなりますので、家族のサポートも必要です。愛犬に穏やかに過ごしてもらうためにも、一人で抱え込まずに、家族みんなで話し合うことが大切です。
また、プロであるペットシッターや老犬介護士に相談することも検討してみましょう。
介護の正しい方法を知ることができるだけでなく、ちょっとした休息の時間を持つことができ、ストレスなど心の負担を減らすことができます。
生活リズムを変えない
老犬になると介護が必要でない場合も基本的に寝ていることが多くなりますが、できるだけこれまでの生活リズムを変えないようにしてあげましょう。寝てばかりいると、昼夜逆転の生活になってしまう可能性があります。老犬になっても昼間はできるだけ起こしておき、窓から日光を浴びたり、無理のない範囲で運動をさせてあげましょう。
安心できる生活環境
介護が必要な老犬になってからも生活環境はできるだけ変えないようにすることが大切です。飼い主さんから様子が見れる場所にケージやベッドなどを置き、安心して介護できる場所を作りましょう。また、目が見えなくなると家具にぶつかりやすくなりますので、家具の配置を変えたり、犬の行動範囲に障害物となるものを置かないように配慮しましょう。ケガ予防のためにぶつかりそうなところにはクッションなどでガードしてあげるものいいですね。
老犬を介護する上でのポイント6つ
大切な家族の一員でもある愛犬に介護が必要となったときに、どのようなことに注意をしてあげたらいいでしょうか?老犬の介護について暮らしの中のそれぞれの観点でご説明します。
- 視力の低下|ぶつかりやすいところを点検
- 後ろ足|自力で歩くサポートを
- トイレ|失敗しても叱らないで
- 食事|ふやかして食べやすく
- 徘徊|生活リズムを整えて
- 夜泣き|できるだけ起きている時間を長く
1.視力の低下|ぶつかりやすいところを点検
目が見えなくなると室内や屋外のモノにぶつかりやすくなります。いまいちど室内を点検し、ケガ予防のためにぶつかりそうなところがあれば、ぶつかっても痛くないモノなどでガードしましょう。
2.後ろ足|自力で歩くサポートを
老犬になると後ろ足の筋肉が衰え、体を支えることが難しくなってきます。引きずるようになってきたら、犬の靴で足元を保護、倒れるようになってきたら後肢を支えるための歩行補助ハーネスを利用する等、自力で歩くサポートをしながら介護してあげましょう。犬にとって自分の足で歩き、世界を感じることは生き甲斐です。介護が必要な老犬もぜひ外にも連れて行ってあげてください。
3.トイレ|失敗しても叱らないで
老犬になるとトイレの失敗が増えてきますが絶対に叱ってはいけません。時間を見てトイレに連れて行ってあげたり、頻度が多くなるようであれば、ペット用の紙おむつを利用して、失敗をさせない工夫や介護をしてあげましょう。
4.食事|ふやかして食べやすく
特別に食事制限をしていないときは、年齢に合わせた老犬用のフードに切り替えます。歯が弱くなりカリカリのドッグフードが食べにくそうであれば、ふやかしたり、缶詰を混ぜてあげたり、犬が食べやすいように与え方を変えてあげましょう。自力で食べるのが難しく食事の介護が必要な場合、シリンジやスポイト・注入器などで少量ずつ流動食を与えます。
5.徘徊|生活リズムを整えて
老犬になると、同じところをグルグルと歩き回る“徘徊”をすることがあります。夜泣き同様、生活リズムを整え、家具や壁などにぶつかりケガをしないようガードをしてあげましょう。
6.夜泣き|できるだけ起きている時間を長く
老犬になると不安な気持ちや認知症などから突然、夜に吠えてしまうことがあります。昼に寝て、夜に起きている昼夜逆転の生活とならないよう、昼間は日光浴や散歩に連れて行き、起きている時間を長くし、夜にしっかりと眠れるよう生活リズムを作ってあげましょう。また、寝返りなどの介護が必要な寝たきり状態のときに姿勢が楽なベッドもありますので、チェックしてみてください。
老犬の介護は無理せずうまく付き合うことが大切
今回は、老犬の介護の方法についてご紹介しました。大切な家族の一員の愛犬には、いつまでも健康で元気いっぱいでいて欲しいですよね。人よりも短い寿命の犬が年を取ったときに、より愛情をもって介護するためにも、飼い主だけではなく家族全員のサポートが必要になります。ぜひ日頃から愛犬のこと・将来の介護について話し合ってみてくださいね。また既に老犬を介護しているという方はぜひ全てを完璧にやろうとはせずに、たまには息抜きしてください。飼い主さんの幸せを愛犬もきっと願ってくれています。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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