愛犬のごはんに薬膳を取り入れてみよう|病気になりにくいカラダを作るレシピをご紹介
薬膳と聞いて頭に浮かぶのは、「なつめ」「クコの実」などのちょっと手に入りにくい食材ではないでしょうか?薬膳の食材選びは難しい・手に入りにくい・高価と誤解されがちですが、実は「薬膳」は私たちが毎日手にしている身近な食材でOKなんです。食事によって病気になりにくい体作りをしましょう、というのが薬膳の考え方で、和食の考え方と似ていることも特徴です。今回は、食養生とも呼ばれる薬膳の考えを取り入れた、冬の養生ごはんの簡単レシピと食材をご紹介します。トッピングとしても利用できるレシピをご紹介しますので、是非、愛犬のごはんに薬膳を取り入れてみてください。
「薬膳」って何?
中国で発祥した薬膳は、食材には薬と同じような効果・効能があると考えられてきました。その日の体調や、それぞれの体質に合わせた食材を組み合わせ、毎日の食事に取り入れることで、病気になりにくいカラダを作り、自然治癒力を高めようというものが薬膳の基本的な考えです。
薬膳の基本理念
薬膳には、ベースとなる考え方があります。その考え方を知っておくことで、犬ごはんの食材選びに役立ちます。ここでは、その考え方をわかりやすく簡潔にご紹介します。
1.陰陽
薬膳では、食材を陰と陽に分けて考えます。「陰陽」を簡潔に説明すると、陰は暗いもの、冷やすもの、陽は明るいもの、温めるものとなります。この考えから、陰の食材は体を冷やすもの、エネルギーを鎮めるもの、陽の食材は体を温めるもの、エネルギーをチャージするものに分けられています。
2.五臓
五臓六腑という言葉を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?五臓六腑は中医学で臓器を表す言葉で、五臓とは、「肝・心・脾・肺・腎」を指します。中医学では、それぞれの臓器の他に、その臓器の機能と関係の深い臓器などを含めた意味があり、西洋医学とは少し意味が異なります。例えば、冬に気にしたい臓器と言われている「腎」は、腎臓だけではなく、水分代謝を司り、生命エネルギーの源を貯蔵するとされています。
3.五味
薬膳では、食材の味を「酸味・苦味・甘味・鹹味(かんみ/塩辛い)」の5つに分類しています。それぞれの味には対応する臓器があるため、症状に合わせて味を選ぶことが良いとされているのです。
冬の寒さに役立つ食材を選ぼう
冬は、寒さから体が冷えることで「腎」が影響を受けると言われています。腎は、母犬から性質を受け継ぐ臓器で、生命エネルギーの源です。中医学では西洋医学での「腎臓」より広い意味を持つ「腎」。内分泌系機能や泌尿器、生殖器などを「腎」として捉えています。
腎を補う(補腎)の食材
腎の機能が弱まると冷えはもちろん、被毛トラブル、膀胱トラブル、骨がもろくなるなどの症状が現れます。そんな腎を補う食材は、黒い食材、温める食材、潤す食材の3種類。補腎の食材を積極的に摂取して腎を強め、寒い冬を元気いっぱい乗り切りましょう。
愛犬のための“冬”の養生レシピ
腎を強くすることは免疫アップにも効果があるとされています。特に、シニア期を迎えるとどんなに健康であった犬でも腎が弱ってきています。アンチエイジングにも役立つ補腎レシピで、腎を強化してあげてください。食材選びのポイントは旬のものを多く取り入れること。また、温めすぎも体に良くない影響を与える可能性があるため、温める食材を毎日与えるのではなく、「今日は特別寒い」「雪遊びをした」などの日に与えるようにしてください。
1.さつまいもと豚肉の煮物
甘くて美味しいさつまいもをおやつだけではなく、メインディッシュにも活用してあげましょう。こちらも、鍋ひとつで作れるお手軽レシピです。
<材料>
- 豚肉(赤身薄切り)
- さつまいも
- だし昆布
- 干ししいたけ
- オリーブオイル
- 水
<作り方>
- 出し昆布、干ししいたけは水で戻し、細切りまたは細かくしておく。
- さつまいもは食べやすい大きさに輪切りにする。
- 豚肉を一口大にカットしておく。
- 鍋にオリーブオイルを入れ、豚肉をさっと炒める。
- 豚肉を炒まったら、水、だし昆布、干ししいたけを加えて10分程度煮る。
- さつまいもを加え、さつまいもが柔らかくなるまで煮る。
ワンポイントアドバイス
犬が大好きなさつまいもを使ったレシピです。さつまいもは、おやつにも向いていますが、主菜にもなる食材です。補腎に役立つさつまいもは、胃腸の働きを活発にし、利尿作用も期待できる食材。また、豚肉は補腎に加え水分を補うとされる食材で、乾燥している冬には、皮膚、被毛、喉の渇きなどに効果が期待できます。
2.フライパンひとつでできる!たらと白菜の重ね蒸し
フライパンひとつで、20分もあれば調理出来てしまうお手軽レシピです。毎日のご飯は、手軽に作りたいという方にもぴったりなメニューです。
<材料>
- たら
- 白菜
- 干ししいたけ
- 水
- 黒きくらげ
- だし昆布
- ゆずの絞り汁(なくてもOK)
- おろし生姜(冷えが強い場合)
<作り方>
- だし昆布、干ししいたけ、黒きくらげは水で戻し、細切りまたは細かくしておく。
- 白菜は食べやすい大きさにカットする。
- 白菜の芯の部分からフライパンに入れ、出し昆布、干ししいたけ、たら、黒きくらげ、出し昆布、干ししいたけ、白菜の葉の部分と重ねていく。※おろし生姜は、裁量を重ねた隙間に少量ずつ入れる。
- 少量の水を入れ、蓋をして10分程度蒸し煮にし、たらに火が通ったら出来上がり。
- 最後にゆずの絞り汁をまわしかけると風味がアップします。
ワンポイントアドバイス
冬の代表食材たらを使ったレシピです。たらは、エネルギーや栄養を補い、腎の機能を高めてくれる食材です。白菜は潤いをもたらしてくれ、だし昆布と黒きくらげ、しいたけは補腎に役立つ食材です。また、ゆずは気を巡らせる食材で、消化不良の改善に役立ちます。
身近な食材を使って薬膳に挑戦してみて
私たち日本人の食卓は、実は薬膳の考えととてもよく似ています。旬の食材を食べると長生きすると言われるのは、その季節ごとに必要な栄誉が含まれているから。特別な食材を使わなくても、知識さえあれば毎日の犬ごはんに薬膳を取り入れることは難しくありません。ただし気をつけたいのは、「冬だから体を温めなくては」と毎日温め食材を与えてしまうこと。犬も人間も体は熱くもなく冷たくもない「平性」に保つことが大切と薬膳では言われます。暖かい部屋で過ごすことが多い現代の犬たち、体の温めすぎには十分に気をつけてくださいね。
おすすめレシピはこちら!
この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
関連記事
食べもの
犬はいちごを食べても平気?摂取による懸念点と与える際の注意点について
甘酸っぱくて美味しいいちご。品種によって旬の時期は多少異なりますが、スーパーなどでは冬から特に...
2024年12月3日
食べもの
犬にアボカドは与えないで!控えたほうがいい理由と食べてしまった場合に起こり得る中毒症状
栄養価の高いアボカドは美容やダイエットに役立つとされ、日々の食事に取り入れている人も多い人気の...
2024年11月27日
食べもの
犬にアイスを食べさせても大丈夫?誤って舐めてしまった場合の影響と犬用アイスについても
気温が上がってくると食べたくなるのがアイスですよね。寒い冬に食べるアイスも美味しいですが、夏の...
2024年11月15日
食べもの
【獣医師監修】犬はおからを食べても大丈夫!栄養豊富でダイエットにも。与える際の注意点とおすすめレシピをご紹介
さまざまな栄養素が含まれており、ダイエットフードにもよく用いられるおからは、基本的には犬が食べ...
2024年3月13日
食べもの
【獣医師監修】犬にとってチョコレートは危険な食べ物。中毒を起こす原因や症状などを解説します
私たちが日常的に口にするチョコレートが犬にとっては危険な食べ物ということはよく知られていますよ...
2024年1月31日