【獣医師監修】犬にワセリンを塗っても平気?使うメリットやおすすめの商品を紹介
ワセリンは、保湿やケガなど皮膚保護の目的で広範囲に使いやすい万能な保湿剤です。そんなワセリンは愛犬に使っても大丈夫なのでしょうか?また使えるとすれば、どんな効果があるのでしょうか?
今回はワセリンを犬の皮膚に塗っても平気な理由と、おすすめの商品を紹介します。
ワセリンの成分
ワセリンは、石油を精製した保湿剤です。皮膚の表面に油膜を張ることで皮膚からの水分蒸発を防ぎ、乾燥防止の効果や外的な刺激から皮膚を守る効果が得られます。
成分
ワセリンの成分は天然由来の石油です。石油と言っても、肌に刺激がある不純物はほとんど取り除かれたものです。精製度に応じて色が異なるのが特徴で、純度が低いものは黄色、高いものは白色をしています。人の医療用としては、より純度の高いものが用いられています。
犬にワセリンを推奨する理由
犬の皮膚にワセリンをおすすめする理由は以下の5つです。
【1】安全
ワセリンは安全性が高い石油が原料の軟膏で、医療現場でも使用されています。手に付着したワセリンが口に入ってしまっても、体に吸収されにくいため問題はないとされています。まれにかゆみやかぶれ、発疹などの皮膚症状が起こることはありますが、一般的には純度の高いワセリンは乳児や敏感肌の方も安心して使えるとされています。
犬の皮膚にワセリンを塗ると、部位によっては気になってなめることがあります。ワセリンを塗った直後になめてしまう場合は効果が薄れてしまいますので、塗った後は遊んで気を紛らわせてあげるか、口が届かないように、乾くまではエリザベスカラーを装着しておくと良いでしょう。多少なら問題はありませんが、もし犬がワセリンを大量になめてしまった後に、下痢などの症状が続くようであれば動物病院を受診してください。
【2】無臭
ワセリンには匂いがほとんどありません。犬にクリームを塗るとすぐなめてしまいますが、ワセリンは匂いが気にならないため、香料が強いクリームに比べるとなめにくいようです。匂いに敏感な犬にはうれしい点ですね。
【3】用途が広い
ワセリンは人のスキンケアに使用できるほか、犬の肉球ケアから皮膚や鼻の乾燥防止、傷の保護など、幅広く使用できる軟膏です。飼い主さんと犬が一緒に使える点も魅力です。犬に使った後のワセリンを飼い主さんが使う場合は、衛生的に使用するために、念のため手を洗うようにしてください。
【4】低刺激
ワセリンは肌に刺激があるミネラル成分を取り除いており、刺激が少ないと言われています。精製度が高いものほど不純物が少ないため、犬にも安心して使用できるでしょう。酸化しにくいため、防腐剤などが無添加の製品が多いのもポイントです。
ただ初めて使用する場合には、使用後の皮膚に問題がないか、犬が塗った部位を気にしすぎていないかをよく見てあげてください。
【5】コストパフォーマンスが良い
ワセリンはほんの少量でも良く伸びるため、コストパフォーマンスが良いという点も魅力です。酸化しにくいため、衛生的に使用すれば使用期限まで安心して使えるでしょう。
ワセリンでのケアはこんな犬におすすめ
下記のような犬やシーンにはワセリンがおすすめです。
【1】シニア犬
シニア犬は肉球の乾燥をはじめとして、皮膚や鼻などさまざまな部位が乾燥しやすくなります。ワセリンを塗ってあげることは、家庭で簡単にできるケアのひとつです。季節的には夏より冬に乾燥の症状が気になるシニア犬が多いので、肉球や鼻などの乾燥が気になり始めたら使ってみるのもおすすめです。
【2】室内で滑りやすい子
犬の肉球は滑り止めやクッションの役割を果たしています。乾燥してしまうと硬くなり角質化するため滑りやすくなってしまいます。室内でよく滑ってしまうという場合は、爪や足裏の毛のカットなどのケアに加えて、保湿効果があるワセリンを少量塗布して保湿してあげると、滑りにくくなるかもしれません。
【3】アウトドア前後
たくさん走った後の肉球のケアや、ケガをしてしまったときの傷の保護にもワセリンは使用できます。海や川遊びなどアウトドアが好きな飼い主さんや犬には、ワセリンがひとつあると便利ですね。
【4】肉球が乾燥しがちな子
肉球は外部からの刺激を受けやすいため、乾燥しやすい部位です。ワセリンは保湿効果が高いため、肉球が乾燥しやすい犬の乾燥防止に役立ちます。
【5】散歩後
散歩後に刺激や負担のかかった犬の肉球ケアにも、ワセリンは有効です。表面が角質化した硬い皮膚で覆われており血管が少ない肉球は、病気になると治りにくい部位です。特に長時間散歩する犬の場合には、足を綺麗に拭いてあげた後にワセリンを塗布してしっかりケアしてあげましょう。
犬に使えるワセリン商品5つ
犬の皮膚におすすめのワセリンを紹介します。
【1】新生児からOKの安心して使えるワセリン
新生児期から使用できる「ベビーワセリン」は、パラベンや香料を使用しない白色ワセリンです。口唇など薄いところにも使用できるため、犬の皮膚にも安心して使用できます。
- 商品名:健栄製薬/ベビーワセリン
【2】酸処理しない精製方法を用いたワセリン
酸処理を伴わない精製方法で不純物を取り除いている「ワセリンHG」は、刺激が少なく肌にやさしいワセリンです。チューブタイプや容量が違うものもあるので、使いやすいタイプを選べます。
- 商品名:大洋製薬/ワセリンHG
【3】べたつきが少ないピュアワセリン
「プロペト ピュアベール 100g」はワセリンの中でもべたつきが少ないのが特徴です。伸びがいいため、肌にも負担をかけずに使用できるのがうれしいですね。添加物が一切加えられていないため、なめてしまう犬にも安心して使えるピュアワセリンです。
- 商品名:第一三共ヘルスケア/プロペト ピュアベール
【4】容量展開が幅広いヴァセリン
薬局でもよく見かける「ヴァセリン ペトロリュームジェリー」は、アメリカから輸入されている黄色ワセリンです。少量タイプは散歩の際に持ち運ぶのにも便利なほか、衛生面が気になる方には、犬用と人用を分けて使うこともできます。乾燥が気になる部位が多い犬や、年齢的に乾燥しやすいシニア犬などで頻繁に使う場合には大容量のものもおすすめです。
- 商品名:ヴァセリン/ペトロリュームジェリー
【5】最も不純物が少ない白色ワセリン
「サンホワイトP-1」は、市販されている白色ワセリンの中でも最も不純物が少ないと言われているワセリンです。不純物を取り除くことで紫外線の影響を受けにくくなっています。刺激性が少ないので、敏感肌や乾燥によるトラブルが気になる犬にも安心して使えます。
- 商品名:日興リカ/サンホワイト クリーム
ワセリンは愛犬の乾燥にぴったりのケア用品
飼い主さんにも使い勝手のいいワセリンは、幅広いシーンで使え、犬の皮膚にもぴったりのケア用品です。精製度の違いはあるものの、全体的に副作用が少なく安心して使用できそうですね。いろいろな商品が発売されているので、犬や飼い主さんのニーズに合った商品を見つけてみてください。ひとつ常備していると何かと便利ですよ。
正しく使用して毎日のケアに役立ててあげられるとよいですね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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