犬の涙の原因は?考えられる病気や涙やけ、対策についても紹介!
犬も涙目になったり、涙を流したりすることがあります。
しかし犬は人間のように感情では涙を流しません。
「じゃあ一体どんな理由で犬は涙を流すの?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、犬の涙の原因を紹介します。また、涙の量が極端に多い場合や目やにのような異変がみられる場合、病気のサインかもしれません。涙から考えられる病気や予防法も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
犬は悲しいときに涙を流すのか
人間は悲しみを感じると涙腺が刺激され涙が流れます。
しかし、犬は人間のように感情によって涙を流すことはありません。
犬の場合、以下のような声やしぐさで悲しみを表現します。
- 「キュンキュン」「クーン」など、か細く震えた声を出す
- 「呼びかけに反応しない」「目をそらす」などそっけない態度をとる
- 「上目遣いや横目」で積極的に悲しみを訴える
- 「しっぽが垂れている」
犬は涙を流さないからこそ、このような声やしぐさに注意して寄り添ってあげましょう。
犬が涙を流す理由
犬が涙を流すのは基本的に生理現象です。
しかしあまりにも涙の量が多い場合、病気が隠れている可能性もあります。
「愛犬の涙の量が増えた」と感じたら、以下の理由にあてはまるかどうかをまずチェックしてみましょう。
異物
犬は目に異物が入っても、人間のように自らの手でゴミやホコリを取り除けません。
そのため、涙を流して異物を洗い流そうとします。
もし愛犬が涙を流していたら、まずは目に異物が入っていないか確認してあげてください。
また、ハウスダストや花粉のような異物はアレルギーの原因となることもあります。
アレルギーになると、鼻炎や結膜炎になって涙の量が増加します。
周囲の環境は清潔にし、なるべくごみやほこりなどを減らしましょう。
外では草や虫などが目に入ってしまうことがあるので、散歩やドッグランから帰ってきた後は要注意です
水分不足
通常は、「おしっこ」で身体の老廃物が排出されます。
しかし、体内の水分が足りないと「汗」や「涙」で排出されるようになります。
愛犬が濃い黄色のおしっこをしている場合は水分不足のサインです。
夏場は熱中症対策にもなるので、水は十分に与えるようにしましょう。
ドッグフード
質が低く消化の悪いドッグフードを食べ続けると、体に老廃物がたまってしまいます。
この老廃物が蓄積すると鼻涙管が詰まり、目から涙が溢れます。
ドッグフードの成分表は購入前に確認し、可能であれば高品質なドッグフードに変えるのがよいでしょう。
またアレルギー物質を含むドッグフードを摂取すると体調不良を起こし、涙の量が増えてしまいます。
病院では犬のアレルギー検査もできるので、心配な方は受診してみることをおすすめします。
鼻涙管の詰まり
「鼻涙管」とは、「鼻と目を繋いでいる細い管」のことです。
鼻涙管が詰まると、行き場を失った涙が目から溢れ出します。
この症状は「鼻涙管閉塞」ともよばれ、あとで紹介する涙やけの原因にもなります。
鼻涙管が詰まる原因は、先天的なものと後天的なものの2つです。
先天的に鼻涙管が細いと詰まりやすくなります。
マルチーズやシーズー、ペキニーズなどの犬種は、鼻が短く涙管が湾曲しているために鼻涙管が詰まるリスクが高いです。
後天的な原因としては、病気による炎症や異物、外傷などが挙げられます。
マッサージで詰まりが改善することもありますが、手術が必要になることもあるので注意しましょう。
病気
角膜炎や緑内障などの病気で目が炎症を起こしていると涙が増えます。
また病気で目に傷ができていることも、涙が流れる原因になります。
涙の増加以外に「涙の色が濁っている」「目やにが多くなった」などの異変も起きている場合、病気の可能性が高いです。
これらの症状が見られたら、すぐに獣医師に相談しましょう。
犬の涙から考えられる病気
「涙の量が極端に多い」「涙の色が濁っている」「目やにが増えた」などの場合、病気が潜んでいる可能性があります。
ここでは犬の涙から考えられる主な病気を紹介します。
結膜炎・角膜
結膜炎や角膜炎の原因は、草や木などの異物や逆さまつげによって眼球が傷ついて炎症を起こすことです。
細菌やウイルスに感染して発症する場合もあります。
主な症状としては涙・目やにの増加で、目が充血したり、表面が白く濁ったりすることもあります。
結膜炎や角膜炎はほかの病気を併発することもあるので、できるだけ早く治療を開始することが重要です。
逆さまつげ
逆さまつげとは、本来外側に向かって生えるはずのまつげが内向きに生えている状態のことを指します。
また、まぶたが内側に巻き込まれる眼瞼内反症(がんけんないはんしょう)によって、逆さまつげの状態になってしまう場合もあります。
逆さまつげになるとまつげが眼球を刺激してしまい、目の表面に傷がついたり、炎症が起きたりして涙の分泌が増えてしまうのです。
病院で逆さまつげを抜いてもらうことはできます。
しかし、まつげが異常に生えている場所が多いと、皮膚ごと除去する手術が必要になることもあります。
ぶどう膜炎
ぶどう膜とは、虹彩(こうさい)、脈絡膜(みゃくらくまく)、毛様体(もうようたい)という目の器官のことを指します。
この部位に炎症が起きている状態を、ぶどう膜炎といいます。
ぶどう膜炎の症状は、目の充血や目やにの増加です。
目の痛みによって、頻繁にまばたきしたり、眼を床にこすったりするようなしぐさも見られます。
悪化した場合、視力低下や失明の恐れもありますが、ぶどう膜炎の原因は不明で特発的なものが多いので予防が難しいです。
愛犬に気になるしぐさが見られたら、すぐに動物病院に連れていきましょう。
縁内障
緑内障とは、目の中の水(眼房水)が溜まり、眼圧が上昇することで引き起こされます。
涙が流れるだけでなく、目の痛みや充血、視覚障害も症状として現れます。
発症してから時間がたつと失明してしまう可能性もあるとても恐ろしい病気です。
遺伝的な目の構造が原因となる場合もあれば、白内障や網膜剥離などのほかの疾患から引き起こされる場合もあります。
少しでも早く治療を開始できるよう、異変に気づいたらすぐに獣医師に相談しましょう。
涙やけとは?
涙が目から溢れ出る状態がしばらく続くと、涙やけになってしまう場合があります。
涙やけとは、何らかの原因で涙が流れている状態が続き、目の周りの毛が赤く変色してしまっている状態のことです。
チワワやマルチーズ、トイプードルなどの小型犬に多く見られます。
変色してしまった毛を元に戻すことはできないので、涙やけになったら変色した毛をカットすることになります。
目の近くなので自分でカットするのが難しい場合は、プロにお願いするのもよいでしょう。
涙やけになってしまう前に、涙の原因を特定し対処することが必要です。
犬の涙対策・予防方法
涙を放置すると、菌が繁殖しほかの病気を引き起こしたり、涙やけになったりする可能性があります。
そこで、犬の涙が多い場合の対策と、涙を予防する方法について紹介します。
対策方法
対策は以下の2つです。
鼻涙管の老廃物を取り除く
鼻涙管が詰まっていると、目から涙があふれてしまいます。
マッサージで改善する可能性もありますが、病院で鼻涙管の洗浄もできます。
体の消化・吸収・排泄リズムを整える
植物性タンパク質や合成添加物を含むドッグフードを摂取すると、体に老廃物がたまり、鼻涙管が詰まりやすくなります。
消化・吸収によいドッグフードへ変えることで、体の調子を整えましょう。
予防方法
予防方法を4つ紹介します。
目の周りのケアをする
愛犬の涙は、水で濡らしたハンカチやティッシュで拭き取ってあげましょう。
お肌に優しく抗菌効果のある市販のウェットシートやスキンケア用品を使うのもおすすめです。
できるだけこまめに優しく拭き取るようにしてくださいね。
ストレスを解消する
引っ越しなどによる生活環境の変化や、病院のように慣れない場所に連れていくことは、犬にとってストレスになります。
ストレスが溜まると体調を崩しやすくなり、涙やけを引き起こす可能性も高まります。
きちんと運動をさせたり、コミュニケーションをとったりして、ストレスを発散させてあげましょう。
生活環境を整える
ゴミやホコリなどが多い環境だと、目に異物が入って涙が出やすくなります。
また、花粉もアレルギーの原因になるので、できるだけ家の中に持ち込まないようにしましょう。
こまめに掃除をして、家の中は清潔に保つことが大切です。
空気清浄機を使用するのもよいでしょう。
食事に気をつける
アレルギー物質を含むドッグフードを摂取すると、涙の量が増えて涙やけのリスクが高まります。
必要であれば、病院でアレルギーの検査をしてもらいましょう。
また、身体に老廃物が溜まりやすいフードも控えた方がよいです。
穀物や合成添加物を含んだ質の悪いフードはできるだけ避け、愛犬に適したフードを選びましょう。
病院に行くべき症状は?
以下のような症状が見られる場合、病気の可能性があります。
- 黄色いドロッとした膿性の涙が出ている
- 目やにの量が多く、ずっと出ている
- 対策をしているのに涙が減らない
黄色くドロドロとした涙が出ている場合、涙嚢炎や鼻涙管閉塞などで細菌感染を起こしていることが考えられます。
また鼻涙管閉塞を起こしている場合、目やにの量も増えます。
飼い主さんだけでは改善できない場合もあるので、病院で詰まりを取り除いてもらいましょう。
涙やけを放置していると、皮膚炎を起こす可能性もあります。
涙やけが長期間続く場合、獣医師に相談しましょう。
まとめ
犬も涙を流しますが、決して悲しんでいるわけではありません。
目に異物が入っていたり、ドッグフードが合っていなかったりなど、原因はさまざまです。
病気が隠れている可能性もあり、最悪の場合失明するリスクもあります。
また涙を放置してしまうと、目の周囲が赤く変色する涙やけになってしまうかもしれません。
このような事態になる前に、まずは生活環境を整え、愛犬にとってストレスの少ない生活を目指しましょう。
この記事のライター
nana
泳ぎも走りも得意な運動神経抜群のゴールデンレトリバーと暮らしています!今は愛犬とタンデムサーフィンの練習中。いつまでもアクティブに楽しく過ごせるような情報を発信していきます。
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