【獣医師監修】犬が顔を掻く6つの理由と考えられる代表的な3つの病気
犬が前足や後ろ足を使って顔を掻くことは珍しいことではありません。しかし、時にその仕草には、心理的な問題や病気が隠れていることがあります。
本記事では、犬が顔を掻く理由を3つの項目に分けて解説していきます。病気の早期発見に繋がることもあるので、愛犬が顔を頻繁に掻いているときは、注意深く観察するようにしてください。
犬が顔を掻く4つの理由|身体的な理由の場合
犬が顔を掻く理由としてまず考えられるのが、身体的な理由です。ここでは4つの理由を紹介するので、該当するものがないかチェックしてみてください。
目に違和感がある
犬の目に異物が入り、違和感を感じて顔を掻くことがあります。人間も目に異物が入った際に無意識に手で擦ってしまうことがありますが、犬の目の周りには長い毛が生えているため、人間よりも目に異物が入りやすいのです。特に、目が大きかったり突出気味な犬種の子は目のトラブルが起きやすいと考えられます。
犬が顔を掻く仕草に気づいたら、目の状態をチェックし、自分で取り除けるような異物であれば、できるだけ早く取り除いてあげましょう。ただし、取り除くのが難しかったり、目を触られるのに抵抗を示すようであれば、無理は禁物です。早めにかかりつけの動物病院に相談しましょう。
乾燥している
部屋の空気や皮膚が乾燥していると、犬はかゆみを感じて、顔を掻くことがあります。犬を気遣うあまり、シャンプーの頻度が多すぎたり、エアコンをつけすぎて空気が乾燥していたりはしないでしょうか。
心当たりがある場合は、加湿器で湿度の調整をしたり、シャンプーの回数を多くても週に2回程度に抑える、シャンプー後には犬用の保湿剤を使うといった対策を行いましょう。
様々な要因によりかゆみを感じることがある
犬も人間と同様に、かゆみを感じて顔を掻くことがあります。かゆみについては様々な要因が考えられますので、頻繁に掻くようであれば、様子を見るだけではなく、動物病院を受診して必要な検査、治療について相談してみましょう。
また、顔を掻くことによって傷ができてしまう場合もあるため、あまりにも頻繁に掻いているようであれば、顔周りを保護するエリザベスカラーを装着し、ケガをしないように、注意を払っておきましょう。
換毛期に入っている
犬種によっては、春と秋に毛が生え変わる換毛期があります。換毛期には抜けた毛が毛玉になりやすく、不快感やかゆみを引き起こす原因になります。
換毛期に顔を掻いている場合は、ブラッシングをこまめに行い、古い毛や毛玉を取り除いて、皮膚を清潔に保ってあげるようにしましょう。
犬が顔を掻く2つの理由|心理的な理由の場合
続いて、犬が顔を掻く心理的な理由を2つ解説します。犬がどんなことを考えているのかを知るヒントになるので、普段のコミュニケーションに役立ててみてください。
飼い主さんにかまってもらいたい
犬が前足で顔を掻いている場合は、飼い主さんにかまってもらいたいという気持ちの表れかもしれません。他の犬を相手にしているときに顔を掻くようであれば、ヤキモチを焼いている可能性もあります。
たとえば、顔を掻いているときに声をかけてもらった経験があれば、また声をかけて欲しくてわざと顔を掻くことがあります。また、無視されていると感じている場合に、注意をひこうと顔を掻く仕草を見せることがあります。
愛犬に興味を持っていることを伝えるためにも、一緒に遊んであげるといいでしょう。
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ストレスを感じている
犬が後ろ足で顔を掻くのは、ストレスを感じている可能性があるといわれています。首輪を付け外したり、犬用の服を脱がせたりしたときに顔を掻く仕草が見られる場合は、それらのアイテムを身につけるのが嫌なのかもしれません。もしくは、首輪や服の素材に対して違和感を感じている可能性もあります。
ストレスを感じている犬は、後ろ足で顔を掻くのにプラスして、全身をブルブルッと震わせることがあるので、注意して観察してみてください。ストレスはかゆみだけではなく、犬の様々な病気を引き起こしかねません。ストレスの原因を見つけたら、できる限り生活から取り除いてあげましょう。
犬が顔を頻繁に掻くときに考えられる3つの病気
犬が頻繁に顔を掻くようであれば、病気の可能性も考えられます。ここでは、3つの代表的な病気と、その症状を解説していくので、愛犬に当てはまる症状がないかを確認してみてください。
もし、該当する項目があれば、速やかに動物病院を受診するようにしましょう。
犬の外耳炎
犬が耳の近くを掻いている場合は、外耳炎を発症している可能性があります。外耳炎とは、耳に炎症が起きる皮膚病の一種です。主にかゆみが症状として表れるため、顔を掻く以外に、床や壁にこすりつけたり、頭を振るといった行動が頻繁に見られるようになります。また、耳掃除を異常に嫌がる、耳掃除をしているのに臭い耳垢がすぐたまってきてしまう、などの症状も見られます。
外耳炎は犬が発症しやすい病気のひとつです。特に垂れ耳の犬種の子は、耳の中が蒸れやすいため要注意です。顔の皮膚に異常がないからといって安心せず、耳をめくって奥の方に異常が起きていないかをチェックしておきましょう。
犬の皮膚炎
皮膚炎とは、皮膚に炎症が起き、かゆみを引き起こす病気です。発症する原因は、細菌、真菌(カビ)、アレルギー、寄生虫など様々です。かゆみの他には、皮膚の表面にフケが増える、赤く腫れる、湿疹ができる、カサブタができる、脱毛する、色素沈着が起こる(皮膚の表面が黒ずんでくる)といった症状が見られます。皮膚炎の原因によっては人間に感染するものもありますので、異常に気づいたら早めに動物病院を受診しましょう。
皮膚は毛の下に隠れているため、一見しただけでは病気に気づかないことも多いです。ブラッシングの際には、毛の下の皮膚の状態が正常であるかをチェックしておきましょう。
犬の結膜炎
結膜炎とは、白目の表面を覆う結膜が炎症を起こす病気です。発症する原因としては、細菌や異物による傷などが考えられます。炎症によってかゆみや違和感を感じるため、顔を掻く仕草が症状として表れます。
かゆみの他には、目が充血する、涙目になる、目やにが増えるといった症状が表れるため、目の健康状態をチェックしておきましょう。
日頃から愛犬の様子をしっかり観察することが大切
犬がたまに顔を掻く場合は、一時的なかゆみや違和感からくる行動である場合と、心理的な要因がある場合の2つが考えられます。それぞれ、飼い主さんが生活環境を管理してあげることで改善が見込めるでしょう。
また、頻繁に顔を掻く場合は、病気の可能性が考えられます。目や皮膚に異常がないことを確認し、異常があれば、すぐに獣医師に相談するようにしてください。
顔を掻くという仕草から、愛犬の身体や心の状態を読み取ってあげましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!