【獣医師監修】犬の耳が赤い場合に考えられる原因とあわせて確認したい症状・ケアのコツを解説

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愛犬の耳の内側が赤くなっていたら耳の病気ではないかと心配になりますよね。興奮などでも耳は一時的に赤くなりますが、健康な犬の耳は、白〜薄いピンク色で、耳垢やニオイもありません。そのため、耳が赤く、気にしている素振りが見られた場合は、耳に炎症が起きている可能性があります。今回は、犬の耳が赤い時に確認したい症状、可能性のある病気から耳ケアのコツまでをまとめて解説します。

【獣医師監修】犬の耳が赤い場合に考えられる原因とあわせて確認したい症状・ケアのコツを解説

目次

  1. 犬の耳が赤いときに考えられる3つの原因
  2. こんな症状を併発していたら病気の可能性も
  3. 犬の耳が赤いときに考えられる3つの病気
  4. 愛犬の耳が赤いときに取るべき対処法
  5. 耳の異常に気づいたら動物病院を受診しましょう

犬の耳が赤いときに考えられる3つの原因

犬 耳

犬は、耳のトラブルが起きやすい動物です。特に、垂れ耳の犬種や脂漏体質の犬種、耳の毛が多い犬種は耳の中が蒸れやすい傾向にあります。健康な犬の耳介の色は白~薄いピンクで、耳垢は白~赤茶色っぽく、匂いはなく乾いた状態です。犬の耳が赤く、かゆそうな行動をとる時は、なんらかのトラブルが起きていると考えられます。まずは、犬の耳が赤い時に考えられる原因について探ってみましょう。

耳が赤い原因1.細菌性外耳炎

耳の中の免疫バランスが崩れたり、梅雨やたれ耳で通気性が悪いなど細菌の繁殖しやすい環境となってしまうことがあります。こういった素因により、皮膚に常在しているような細菌が増殖し、外耳炎が起こります。

初期に発見できると点耳薬の投与などで比較的早く治ることが多いですが、放置していると治療に時間がかかったり、さらに悪化して中耳炎などを起こすリスクがあります。

耳が赤い原因2.アトピーやアレルギーによる炎症

近年増えている犬のアトピー性皮膚炎やアレルギー性皮膚炎。これらが原因の外耳炎の場合、慢性化してしまうことが多くあります。

耳が赤い原因3.脂分泌の過多によるマラセチアの増殖

皮脂を栄養源として増殖する酵母菌の一種であるマラセチアによって、皮膚に刺激を与え、外耳炎を発症します。特に、アトピー性皮膚炎や食物アレルギー性皮膚炎のある犬、耳垢の多い犬、垂れ耳の犬種、耳の中に被毛が多く生えている犬種に発症しやすいとされています。

こんな症状を併発していたら病気の可能性も

具合の悪そうな犬

犬の耳が赤く炎症を起こしている状態を総称して、外耳炎と呼びます。犬は外耳炎を発症すると、耳が赤く炎症を起こす以外にもさまざまな症状やかゆみによる行動が見られます。次のような症状や行動が見られたら、耳の病気を発症していることがあります。

耳が赤い時はかゆみを感じているかも

犬は耳が赤く炎症を起こすと同時に、耳のかゆみを感じることが多くあります。足でしきりに頭や首など耳の近くを掻く、頭をブルブルと振る、耳を触ろうとすると嫌がるなどの行動が見られたら、耳のかゆみが起きていると考えましょう。また、耳の状態が悪化している時には、耳を触ろうとすると噛み付こうとする、唸ると言った攻撃性のある行動をとることもあります。

耳の病気を発症している可能性がある状態

耳に病気を抱えている場合は、耳が赤く炎症を起こすと同時に、さまざまな症状を併発します。代表的な症状として、耳垢が多くなる、耳垢の色が黒や茶色になる、耳を触るとベタベタする、耳の匂いがきつくなるなどがあります。また、病気の種類によっては耳の一部が腫れる、音が聞こえづらいなどの症状が見られることがあります。

犬の耳が赤いときに考えられる3つの病気

犬 動物病院

犬の耳が赤い症状が見られ、上記のような症状が見られたら耳の病気を発症している可能性があるため、なるべく早く獣医師に診察してもらいましょう。

考えられる病気1.マラセチア性外耳炎(ベタベタした耳垢が多く見られる)

マラセチアは全身に発症する皮膚炎です。マラセチアは、犬の皮膚に常在する真菌(酵母菌)ですが、マラセチアのえさとなる脂の分泌が過剰になると、マラセチアは増殖し、炎症やかゆみを発症します。マラセチア性外耳炎を発症すると、耳が赤くなるほかに、耳のかゆみと黒~茶色のベタベタした耳垢がたくさん出ることが特徴です。

考えられる病気2.アトピー性皮膚炎(全身のかゆみも併発する)

犬のアトピー性皮膚炎は免疫の調整が不安定で生活環境に存在するさまざまな物質に反応してしまい、炎症を起こす疾患です。アトピー性皮膚炎を発症すると、耳だけではなく全身に赤みやかゆみの症状が見られます。

考えられる病気3.耳ダニ感染症(激しく耳をかゆがる)

犬の耳が赤く炎症を起こしている以外に、激しくかゆがるときはミミヒゼンダニに感染している可能性も考えられます。ミミヒゼンダニは、犬の耳に繁殖する小さなダニで、感染している犬や猫との接触によって感染します。ドッグランや散歩などで発症している動物と接触することで感染する可能性があるため注意が必要です。

愛犬の耳が赤いときに取るべき対処法

コットン 綿棒

犬にとって、耳のかゆみは大きなストレスとなります。また、耳の病気は一度発症してしまうと繰り返すことが多く、全身に広がる可能性もあります。耳が赤いことに気がついたら、なるべく早いうちに獣医師に診てもらうことが大切ですが、まずは自宅で適切な耳のケアをしてトラブルを防ぎましょう。

適切な耳のケアで状態を把握しよう

耳トラブルを予防するためには、日常の耳の状態のチェックが欠かせません。垂れ耳の犬の場合は、耳をめくって皮膚の色やにおいを確認しましょう。健康な状態の耳を覚えておくことで、耳に異常があるとすぐに気づくことができます。

また、定期的にイヤーローションなどで汚れを拭き取るケアをしてあげることも大切です。犬の皮膚は、人間の皮膚の1/3程度の厚みしかないため、耳のケアの際にゴシゴシこすったりせずやさしく拭き取ることがコツです。

綿棒を使用しての耳のケアは、耳道を傷つけてしまったり、耳垢を耳奥に押し込んでしまう可能性があるため、自宅では行わないようにしましょう。奥に汚れがあると感じた場合は無理せずに、プロにお任せしてくださいね。

耳の異常に気づいたら動物病院を受診しましょう

犬

犬の耳が赤い場合は、トラブルが発生している可能性が高いため、心配な症状であれば、すぐに動物病院で診てもらいましょう。耳のかゆみは犬の身体に大きな負担を与えます。初期の外耳炎であれば、短期間の投薬によって改善することができますが、慢性化してしまうと完治までに長い時間が必要となります。日常的に適切な耳のケアを行い、正常な状態の犬の耳を把握しておきましょう。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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