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【獣医師監修】犬の膿皮症を予防するために。高温多湿の季節には特に注意しよう

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犬が身体を掻いていたり、湿疹やニキビのような跡ができていたら、それは膿皮症が原因の皮膚トラブルかもしれません。梅雨から秋の台風が多くなる時期にかけては高温多湿でジメジメするので、全身が被毛で覆われている犬にとっては皮膚トラブルを起こしやすい季節となります。

今回は犬の膿皮症について、原因や症状、治療法などを解説していきます。

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目次

  1. 犬の膿皮症について
  2. 犬が膿皮症になる原因は?予防するためにできること
  3. 犬の膿皮症の治療方法
  4. 犬の膿皮症を予防するために

犬の膿皮症について

犬

犬の膿皮症は、皮膚への細菌感染が原因で引き起こされる炎症性の皮膚疾患です。

主な原因菌はブドウ球菌ですが、実はこのブドウ球菌は、健康な犬の皮膚にも普通に存在する細菌、つまり「常在菌」なのです。

普段は悪さをしない常在菌のブドウ球菌が、皮膚の環境変化などが原因で異常に増殖し、悪さをするようになって病気になったものが膿皮症です。

膿皮症はどんな症状が見られる?

感染している部位などにより症状はさまざまですが、犬の膿皮症では皮膚の表面や毛穴などに異変がみられます。

一般的には、全身(主に背中やお腹)に丘疹(きゅうしん)と呼ばれるブツブツ、カサブタ、皮むけがみられます。また、膿胞(のうほう)や、膿胞が破けた後の皮が残っている状態の表皮小環(ひょうひしょうかん)、痂皮(フケ)などを伴って皮膚が赤くなります。

また、毛穴に生じる異変として脱毛があります。抜けた毛にカサブタが付いてきたり、毛穴がブツブツしたりカサブタが見られますので注意して観察しましょう。

ほかの犬や人間にうつる?

膿皮症の原因菌は健康な皮膚にも存在する常在菌で、皮膚表面のバリア機能が低下することで炎症を起こす病気のため、ほかの犬にうつることも人間にうつることもありません。

犬が膿皮症になる原因は?予防するためにできること

犬 シャンプー

犬が膿皮症になる原因はさまざまです。主なポイントごとにその予防法を見ていきましょう。

スキンケアの問題

膿皮症は、皮膚のバリア機能の低下により引き起こされます。そのため、健康的な皮膚を維持するための日常的なお手入れが欠かせません。シャンプーやブラッシングで、小まめにお手入れして皮膚を清潔に保つことが大切です。

しかし、ここで注意しなければいけないのが、間違ったスキンケアを行うことで皮膚症状を悪化させたり、皮膚のバリア機能を更に低下させたりしてしまうことです。膿皮症を防ぐためには、飼い主さんが正しいシャンプー方法を知って、かかりつけの獣医師と相談しながら薬浴を実践することがおすすめです。

また長毛種の場合は、特に高温多湿になる季節にはトリミングサロンで毛を短めにカットしてもらうと、通気性が良くなるだけでなく飼い主さんも管理がしやすくなります。

空調管理にも気を付けて

室内飼育の場合は換気したり、エアコンで室温管理しましょう。湿気の多い環境下では皮膚病が悪化しやすいので、湿度の管理も大切です。

食物アレルギーやアトピー性皮膚炎との関連

基礎疾患として食物アレルギーを持っている子の場合は、アレルギー症状が皮膚に出ることで肌表面の常在菌のバランスが崩れてしまうこともあります。

また、アトピー性皮膚炎を持っている子は、皮膚のバリア機能がもともと弱いため、膿皮症を発症しやすいケースがあります。

いずれの場合も元となる基礎疾患のコントロールをしっかりと行う必要があるので、皮膚症状が悪化しそうな場合は早めに動物病院を受診しましょう。

食餌管理にも気を付けて

犬の食餌は、皮膚の健康状態に大きく影響します。人間の食べ物やおやつを与えていると皮膚の抵抗力を低下させてしまう可能性があるので、栄養バランスのとれた総合栄養食を与えましょう。皮膚の健康を考えて作られたフード、動物病院専用の療法食も販売されているので、その子の体質にはどのようなフードが適しているか獣医師に相談してみましょう。

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ホルモンの異常から皮膚症状が起こる

ホルモンは、皮膚と被毛を健康に保つために不可欠な存在です。犬の身体の中では、さまざまな種類のホルモンが互いに作用しながら働いていることで、皮膚状態をはじめとする全身の内臓機能のバランスをとっています。

このホルモンの分泌量が過剰になったり不足になったりすると、皮膚の状態もバランスを崩して膿皮症を発症しやすくなってしまいます。

この場合も、膿皮症の治療に加えて、ホルモン異常の特定が必要ですので、かかりつけの獣医師に相談のうえ、必要な検査を進めていきましょう。

膿皮症になりやすい犬種は?

膿皮症は、毛が多い犬種(シェットランドシープドッグなど)や毛が短く硬い犬種(ミニチュアピンシャーやフレンチブルドッグなど)、そしてアレルギー性皮膚炎を発症しやすい犬種(シーズーやパグなど)において引き起こされやすい病気です。特に、梅雨から夏や台風の時期など、高温多湿になる季節に多くみられます。

犬の膿皮症の治療方法

犬 トリミング

犬の膿皮症には、内服薬や外用薬を用いるのが一般的です。治療の補助として、薬用シャンプーを使った薬浴が実施されます。

内用薬や外用薬による治療

全身に症状が広がっている場合は、抗生物質を服用します。膿皮症は比較的再発しやすく根気強い治療が必要な病気ですので、投薬期間はしっかりと薬を飲み切ることが重要です。内服が難しい場合は、1回の注射で2週間効果が続く抗生物質などを使用することもあります。

症状が局所的な場合には、抗菌薬などの外用薬を塗布して治療を行うことがあります。その場合には、塗布した後に患部を舐めないよう、エリザベスカラーなどで保護する必要があります。

薬用シャンプーでのケア

治療の補助として、薬用シャンプーでのケア(薬浴)が有効です。
ただし、薬浴を実施する場合は自己判断で実施せず、必ずかかりつけの獣医師に相談して、皮膚の状態に合わせて正しい方法で行うようにしましょう。

膿皮症を悪化させる病気の治療も必要

膿皮症は、背景に隠れている病気によって悪化する可能性があります。悪化の原因となり得る病気についても、動物病院で定期的に診察を受けて、適切な治療を受けることで皮膚症状の管理をしやすくなります。

治療費用と完治までの時間

治療開始から1~2ヵ月程度でほとんどの場合は良化しますが、膿皮症は非常に再発しやすい病気です。根気強く治療に向き合う必要があります。

治療には、おおよそ2万円以上を目安とした費用がかかります。これには、診察料、皮膚検査、内用薬、外用薬などを含みます。(※1)

なお、皮膚の細菌培養検査や血液検査など、詳細に検査する場合は、もう少し費用が高くなる場合があります。心配な場合は事前に確認しておくと安心です。

犬の膿皮症を予防するために

犬

犬の膿皮症は動物病院で遭遇することの多い疾患のひとつです。一度改善しても再発するケースも多いため、良くなったように見えても治療を中断せず、獣医師の指示に従いきちんと最後まで治療を受けることが大切です。

膿皮症は適切な治療により、改善が期待できる病気です。しかし、背景に隠れている病気として、犬アトピー性皮膚炎や食物アレルギー、甲状腺機能低下症やクッシング症候群などの内分泌疾患が考えられる場合は要注意です。シーズーなどの脂漏症を起こしやすい犬種の子も、特に注意が必要です。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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