banner

banner

【獣医師監修】犬の骨肉腫とは|骨にできる悪性腫瘍の原因や症状などを解説します

お気に入りに追加

犬の「骨肉腫」は、四肢に発生しやすい骨の悪性腫瘍です。特に大型犬に多い疾患ですが、小型犬でも発症することがあります。非常に転移が早く、死に至る確率の高い病気です。この記事では犬の骨肉腫の原因や症状、治療法・疾病の予後などについて解説します。

【獣医師監修】犬の骨肉腫とは|骨にできる悪性腫瘍の原因や症状などを解説します

目次

  1. 犬の骨腫瘍という病気について
  2. 犬が骨肉腫になる原因とは
  3. 犬の骨肉腫の治療法は?
  4. 犬の骨肉腫を予防する方法はある?
  5. 愛犬が骨肉腫だと診断されたら

犬の骨腫瘍という病気について

犬

骨肉腫とは骨の悪性腫瘍のことで、骨の組織である骨膜や骨髄、皮質骨などがガン化する疾病のことです。 人間にも骨肉腫はありますが、犬では特に超大型犬や大型犬に多く発症します。

骨格に発生する悪性腫瘍の85%が骨肉腫だといわれており、発見された時にはすでに転移していることが多く、手術をしても9割が余命1年未満と言われるほど死に至る確率の高い病気です。

初期症状

犬の骨肉腫は、まれに顎や肋骨・頭蓋骨などにも発症しますが、大半は四肢に発症し、特に前肢に多く、後肢に比べると発生率は2倍です。初期症状の多くは跛行(はこう)という足をひきずる仕草から始まります。

また、発症した骨の部分が腫れて硬くなり、触ると嫌がることで気付きます。腫れた部分の痛みから運動を嫌がり、食欲不振や元気消失などの症状もみられるようになります

骨肉腫の転移

犬の骨肉腫はとても転移が早く、発見時には90%が肺に転移していると言われています。 肺に転移しても肺がんというわけではなく、あくまでも骨肉腫の肺転移の様相を示しています。

犬が骨肉腫になる原因とは

犬

犬が骨肉腫になる原因、かかりやすい犬種や年齢を見ていきます。

骨肉腫の原因

実は、犬の骨肉腫の詳しい原因は未だ解明されていません。ただし、発生率が体重によって異なっていることから、骨格の大きさに関係があることは解っています。また、骨折による影響もあると考えられています。

かかりやすい犬種や年齢は?

骨肉腫にかかりやすい犬種は、セント・バーナード、グレート・デン、アイリッシュ・セッター、ドーベルマン、ロットワイラー、ジャーマン・シェパード、ゴールデン・レトリバーなどの大型犬です。 小型犬より超大型・大型犬の発症率が高く、10kg以上の犬の発症率は10kg以下の犬の150倍に及ぶと言われています。

また、メスよりもオスのほうが多く発症し、発症する年齢は1~2歳と7~8歳の2期にピークがあります。 大型犬の場合は、ほとんどが四肢の骨に発症しますが、小型犬の半数程度が体軸の骨などに発症します。

犬の骨肉腫の治療法は?

犬 動物病院

悪性の骨肉腫は非常に強い痛みを伴います。その痛みは頑強な大型犬であっても耐えられないほどであることから、骨肉腫の治療は痛みを取ることが第一となります。

手術による治療

悪性の骨肉腫の痛みは、一般の鎮痛薬で止めることはできません。骨肉腫による痛みを取り除くには、骨肉腫の発生している脚を切断するしか方法がありません。

脚を切断することで痛みから解放され、予後の生活のQOLを維持することができます。腫瘍が前脚にある場合は肩甲骨から、後脚の場合は股関節から断脚します。

化学療法による治療

悪性の骨肉腫に罹った犬のほとんどは初期の段階で肺などへの転移があり、断脚をしただけでは術後3~4ヵ月程度しか生きることができません。そのため生存期間を延ばすためには抗がん剤を使った化学療法が必要となります。

抗がん剤には副作用があり、体力も消耗するので、日々体調の状態を確認しておく必要があります。 大変酷なことに、抗がん剤治療を行った場合でも生存期間は約1~2年と言われており、状態によってはいつまで抗がん剤治療を続けるかを獣医師と相談することも必要になってきます。

治療にかかる費用は?

犬の骨肉腫にかかる費用は、個々の動物病院やその治療内容によって違ってきますが、断脚手術費用はおよそ20万〜30万が平均的な金額です。

その他の治療費には検査代(レントゲン検査・血液検査・全身麻酔をかけてのCT検査、MRI検査など)や診察料、抗がん剤治療をする場合にはその費用も加わり、かなりの高額治療費がかかります。
どこまでの治療をするかは経済的なことも含めて獣医師さんと十分に相談して決めることが大切です。

犬の骨肉腫を予防する方法はある?

犬

犬の骨肉腫に予防法はあるのでしょうか?

骨肉腫の予防法は?

残念ながら骨肉腫の原因が不明なため明確な予防法はありません。早期発見・早期治療が生存期間を延ばしてやる唯一の方法です。少しでも早く愛犬の異常に気付いてやることが大切です。

愛犬が骨肉腫だと診断されたら

犬と飼い主

骨肉腫は犬の疾病の中でも大変厳しい現実を突きつけられる病のひとつです。病名が分かった時点で余命を宣告されることも多くあり、飼い主さんには、精神的にも経済的にも決断と覚悟が求められる辛い病気となります。それでも愛する家族なら、最善を尽くしてやりたいと思うのが飼い主さんの気持ちですよね。

どんなに苦渋の選択であっても、一日でも長く、一日でも穏やかに過ごせますように。愛犬に最期まで寄り添ってあげられるよう、心構えとして基本的な犬の病気のことを知っておいてください。

こちらの記事もチェック

【獣医師監修】犬の貧血について|免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の症状・原因と治療法を解説します

あわせて読みたい

【獣医師監修】犬の貧血について|免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の症状・原因と治療法を解説します

人間と同じように、犬も貧血になることがあります。犬の貧血の原因はさまざまで、治療により回復するものもあれば、根治が難しい病気もあります。 急性の貧血は、最悪の場合死に至ることもあるので、症状を見極めすぐに対処できるように最低限の知識を身につけておきましょう。 ここでは、犬の貧血の症状や原因、診断法、治療法などについてご紹介します。

【獣医師監修】犬の脳腫瘍について。脳腫瘍が疑われる兆しや治療方法、かかる費用の目安

あわせて読みたい

【獣医師監修】犬の脳腫瘍について。脳腫瘍が疑われる兆しや治療方法、かかる費用の目安

人間と同様に、犬にも脳腫瘍という病気があります。脳は身体や心のさまざまな機能を司る役割があるため、腫瘍ができてしまうと多岐にわたる症状が発現します。 脳腫瘍は予防できる病気なのでしょうか?ここでは、犬の脳腫瘍の原因や治療法・予防について触れていきます。

choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

【petan編集部企画】ペットベッド「DoggyBaseとは?」

あわせて読みたい

【petan編集部企画】ペットベッド「DoggyBaseとは?」

腫瘍・できものに関する記事

【獣医師監修】犬の組織球腫とは。自然に消える?かかりやすい犬種や治療法を解説

健康管理/病気

【獣医師監修】犬の組織球腫とは。自然に消える?かかりやすい犬種や治療法を解説

犬の疾患のひとつ「組織球腫」について耳にしたことはあるでしょうか?おそらく、実際に自分の愛犬が...

2024年4月23日

【獣医師監修】犬のリンパ腫について|初期症状や発症の原因、治療法などを解説します

健康管理/病気

【獣医師監修】犬のリンパ腫について|初期症状や発症の原因、治療法などを解説します

皆さんは悪性度が高いことが多い腫瘍のひとつである「リンパ腫」をご存知でしょうか?犬に発生する腫...

2024年4月5日

【獣医師監修】犬の扁平上皮癌とは?発症の原因を知って愛犬の健康を守ろう

健康管理/病気

【獣医師監修】犬の扁平上皮癌とは?発症の原因を知って愛犬の健康を守ろう

犬の扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)は、身体のさまざまな部位に発生する悪性腫瘍です。症状の進...

2024年1月5日

【獣医師監修】犬も前立腺癌になる?治療方法や予防方法は?初期症状や原因もあわせて解説します

健康管理/病気

【獣医師監修】犬も前立腺癌になる?治療方法や予防方法は?初期症状や原因もあわせて解説します

犬の前立腺とは、膀胱の根元の位置に存在しており、前立腺液を分泌する器官です。もちろん前立腺はオ...

2023年12月26日

【獣医師監修】犬のメラノーマ(悪性黒色腫)は予防できる?腫瘍の特性や治療法などもあわせて解説します

健康管理/病気

【獣医師監修】犬のメラノーマ(悪性黒色腫)は予防できる?腫瘍の特性や治療法などもあわせて解説します

メラノーマ(悪性黒色腫)とは、身体の色素をつくるメラニン細胞の「メラノサイト」ががん化した腫瘍...

2023年12月18日

もっと見る

関連するキーワード

カテゴリー

人気記事ランキング

Petan独自調査

獣医師監修記事

おすすめ記事

人気のキーワード