【獣医師監修】犬の鼻水は病気ということも。併発していたら要注意な症状と対処法を解説
愛犬が鼻水を垂らしているところを見たことはありますか?通常、犬が鼻水を出したとしても少量であり、すぐに舐めてしまうため鼻水に気付く飼い主さんは少ないようです。そのため、愛犬が鼻水を垂らしているところを見かけたのであれば、実は鼻水が大量に出ている可能性があります。今回の記事では、犬の鼻水の原因や考えられる病気、鼻水が出ているときの対処法などについてご紹介します。
犬の鼻水が出る原因は?
犬の鼻はいつも少し湿った状態になっています。これは、鼻が湿っている状態の方があらゆるニオイを嗅ぎ取りやすくなるので、このような状態を維持するため粘液が分泌されているからです。
犬も生理現象の範囲内で鼻水を出すことはありますが、すぐに舐め取ってしまうため、「犬の鼻水」はなかなか目にする機会がないかもしれません。それでは、まず鼻の構造・仕組みから鼻水が出る理由を見ていきましょう。
鼻水が出る仕組み
鼻の穴の中の空間を「鼻腔(びくう)」と言います。鼻腔内は鼻甲介と呼ばれるヒダ状の構造をしており、それにより鼻粘膜の表面積を増大させています。鼻粘膜は鼻腔を通る乾いた空気に湿り気を与えたり、異物を除去する濾過作用を持っています。
また、鼻粘膜の細胞は病原微生物を捕らえ、最初の侵入経路として病原微生物をやっつける免疫反応を担っています。
鼻粘膜はそのような刺激に常にさらされており、活発に新陳代謝を繰り返しているため、異常が起こると速やかに多量の分泌物を排泄します。これが「鼻汁」と呼ばれる、いわゆる鼻水です。
生理現象としての鼻水は心配不要
先述の通り、鼻水は、鼻の中に何らかの刺激があったときに起こる生理現象です。そのため、必ずしも病気が原因とは限りません。
例えば、お散歩中に鼻の中に入ったホコリやゴミを洗い流そうとして、鼻水が増えることがあります。また、冷気が肺に入らないように鼻の中で空気を温める際などに、鼻水の量が増えることがあります。
これらは生理的な現象による鼻水のため、治療の必要はありません。
病気が原因で鼻水が出ることも
鼻水が出る病気には、ウイルス感染や細菌感染、歯周病、肺炎、排水腫、蓄膿症、鼻腔内腫瘍などが挙げられます。
鼻は口腔や副鼻腔(鼻の奥の空洞)と繋がっているため、肺水腫など体内に液体が溜まる病気の場合には、鼻の粘膜以外でつくられた体液が鼻水として出てくることもあります。
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併発していたら要注意な症状
鼻水が出ると同時に、次のような症状が見られるときは要注意です。病気の可能性があるので、様子を見ずに動物病院を受診しましょう。
- 鼻水がピンク色であったり、鼻水に血や膿が混じっている
- 呼吸が荒く、暑くないのに口を開けて呼吸する
- 頻繁なくしゃみ、鼻詰まり
- 鼻水が大量であったり、長期間続く
- 発熱や食欲不振
- 鼻の形が変わる、腫れる
鼻水が多量に分泌されている際に考えられる病気
生理現象で犬は鼻水が出ている場合もありますが、一方で、鼻水が分泌される原因が病気である場合もあります。
ここではその病気について、代表的なものをご紹介します。
1.鼻腔内異物
鼻腔内の異物によって生じる異物性鼻炎は大きく2つに分類されます。鼻の孔から異物を吸引する場合と、のどから異物が鼻腔に逆流する場合です。前者は主に草むらなどを「くんくん」とにおいをかぎながら散歩しているときに、偶然草の「のぎ」などの植物が誤って鼻腔内に入ってしまうことが原因で、後者は嘔吐するときや咳き込んだ際に食物などが鼻腔内に入ってしまうことが原因です。
これが刺激になり、中々収まらない鼻炎の症状としてくしゃみや様々な漿液性、膿性鼻汁などが出ます。また鼻血が出ることもあります。
2.歯周病
犬は鼻の中である「鼻腔」と歯の根である「歯根」が薄い骨の壁で仕切られています。歯周病は歯の周りに細菌感染を起こす病気です。歯の周りに細菌感染を起こすと歯の周りの骨である「歯槽骨」が溶けてしまい、骨が弱くなってしまいます。悪化すると下あごの骨が折れてしまうこともあります。
上あごの場合は鼻腔との間の骨が溶けることで歯根部と鼻腔が繋がり、炎症が広がることで鼻炎の症状からくしゃみや鼻血、膿の混じった膿性鼻汁が出ることがあります。
3.鼻炎
鼻腔内に炎症が生じる状態を総称して鼻炎と言います。鼻炎が起こると鼻水が出てきます。鼻炎の原因にはウイルス性、細菌性、寄生虫性などさまざまな原因があります。また人間と同様に特定の季節の花粉、かび、動物のフケ、ハウスダスト、ハウスダストマイトなどアレルギーの原因となる物質を吸引することで生じるアレルギー性鼻炎や、自分の体を守る仕組みである免疫が自分の体を攻撃してしまう、自己免疫疾患の一種である、リンパ球形質細胞性鼻炎があげられます。
アレルギー性やウイルス性であれば、「漿液性鼻汁」という透明な鼻水が出ます。また細菌性などの感染性の病気であれば、膿の混じったような「膿性鼻汁」という鼻水が出ます。
4.鼻の中や口の中のがんの可能性
犬では鼻水やくしゃみの症状が「がん」から来ていることが、よくあります。鼻の中の「がん」である鼻腔内腫瘍や口の中の「がん」である口腔内腫瘍が広がって鼻の中に到達すると、鼻炎が生じ、くしゃみや鼻水、鼻血が出てくることがあります。鼻腔内腫瘍も口腔内腫瘍も悪性腫瘍が多く、比較的予後の悪い「がん」です。
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愛犬が鼻水を出していた場合の対処法
冒頭でのご説明のとおり、犬は生理的な少量の鼻水であれば舐めとってしまいます。そのため、飼い主さんが鼻水に気付いたときには大量に出ていたり、慢性的に出ている可能性があると考えられます。
鼻水が多く出ているときには病気の疑いが強いため、早めに動物病院に行き、診察を受けた上で適切な対応を受けることをお勧めします。
鼻水の拭き取り方
鼻水の原因にもよりますが、鼻水自体が悪さをするわけではないので、犬が嫌がる場合には無理に拭き取る必要はありません。気になる場合には、ガーゼやティッシュで優しく押し当てるように拭き取りましょう。
鼻水が固まっている場合には、蒸しタオルなどでふやかすようにして拭き取ります。
鼻水の他にも症状がある場合には動物病院へ連れて行きましょう
犬の鼻水が少量で、さらさらとした透明なものであればそれほど心配はないでしょう。鼻水に血や膿が混じっていたり、呼吸が荒かったり、発熱などの症状を伴うような場合は病気の疑いがあるので、様子を見ずに動物病院を受診しましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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