犬の生理(ヒート)の出血期間や症状は?発情期中に気をつけること
メス犬には人間と同様に、生理(ヒート)の時期が定期的にやってきます。
生理がきたときの対処法を間違えてしまうと、望まぬ妊娠やトラブルを起こしてしまう可能性があります。
そうならないためにも、犬の生理についての正しい情報や知識を身につけることが大切です。
この記事では、犬の生理の周期や症状についてご紹介します。
目次
犬の生理(ヒート)とは
犬も人間同様に、生理(ヒート)があります。
犬の場合は生理ではなく「発情出血」ともいわれていますが、犬の出血は妊娠の準備ができたという合図です。
後ほど紹介しますが、犬の発情期は、発情前期から無発情期まで4つの段階があり、出血は「発情前期」と「発情期」にみられます。
まずは、犬の生理について、生理が始まる年齢や周期、人の生理との違いを紹介します。
始まる年齢と終わる年齢
生理の開始時期は、大体生後6ヶ月〜10ヶ月頃からです。
早い子だと5ヶ月から、遅い子だと1歳半からなど、生理が始まる年齢には個体差があります。
また、犬には人間のように閉経がありません。
高齢になると、生理の周期が遅くなったり出血量が減ったりしますが、避妊しない限り基本的には生理がずっと続きます。
周期
生理周期は半年に一度か二度です。
小型犬は5ヶ月〜7ヶ月と短く、大型犬は8ヶ月〜12ヶ月と少し長めの周期となっています。
出血期間
発情前期と発情期に出血が見られ、どちらも期間は8日間前後、長い場合は14日〜21日間続きます。
出血量は、量が多くあちこち汚してしまう、犬自身が舐めとれる少なさで生理に気づかないなど、犬によって違います。
発情前期の特徴として、陰部の膨らみが見受けられるため、出血が少なくてわかりにくい場合は注意深く観察しましょう。
また、出血が長引く際は生理ではなく病気の可能性があるため、獣医師に相談してください。
人の生理との違い
人と犬の生理は、メカニズムが全く異なります。
女性の身体は1ヶ月に一度、受精と妊娠のための準備をします。
卵巣から卵子が排出され、それに合わせて子宮内膜を厚くし、受精卵を受け入れる体制を整えるのです。
しかし、受精が成立しなかった場合、準備していた子宮内膜が必要なくなり体の外に排出されます。
この子宮内膜が剥がれ落ち、血液とともに排出されるのが人間の生理です。
犬の生理の出血は子宮内膜の充血によるもので、血が出ることで「妊娠への準備ができた合図」となります。
人は受精しなかったとき、犬は妊娠の準備ができたときに生理が起こるのです。
生理前、生理中、生理後の症状
犬も生理前や生理中は、人間と同じようにさまざまな症状が出ます。
愛犬の様子を観察し、必要に応じてサポートしてあげましょう。
犬の生理前や生理中に見られる症状を紹介します。
生理前
発情前期がスタートする1ヶ月ほど前から、陰部が少しずつ膨らんで発情の準備が行われます。
初めての生理は量が少なく生理かどうかわかりにくいこともあるため、陰部の膨らみがあるか確認してみましょう。
生理中
生理中には以下のような症状がみられます。
- そわそわして落ち着きがなくなる
- 頻尿になる
- 元気がなくなり食欲が低下する
- ぬいぐるみにマウンティングする
症状は犬によって大きく異なりますが、なかにはお散歩を嫌がる犬もいます。
犬がリラックスできるようにマッサージをしてみたり、食欲がないときは好きなおやつを食事と一緒に与えてみたりするなど工夫してみましょう。
しかし、食事をまったく食べない、ぐったりしているなど、明らかにいつもと様子が違う場合は、獣医師に相談することをおすすめします。
生理後
生理が終わったあとに、犬が妊娠していると勘違いをする「偽妊娠」の症状がでる場合があります。
性ホルモンによって偽妊娠を起こし、乳首が膨らんで乳汁が出たり、ぬいぐるみをハウスに運んで子育てをしていたりすることもあるのです。
食欲不振になる子もいますが、多くの場合は数日〜12週間ほどで自然に元に戻るため、治療の必要はありません。
しかし、乳房にしこりがある、痛そうにしている場合は病気の可能性もあるため、病院へ行き検査してもらいましょう。
犬の発情周期
犬の発情周期は5ヶ月〜10ヶ月と期間が長く、「発情前期」「発情期」「発情休止期」「無発情期」と4つの段階に分かれます。
それぞれの周期の特徴は以下のとおりです。
発情前期
出血が始まる発情前期とは、雄犬との交尾を許可する間のことを指します。
性ホルモンによって雄犬は強く反応しますが、この時期は雄犬を受け入れません。
持続日数は、犬によって違いますが7日〜10日間ほどです。
この時期に陰部がぷっくりと膨らみ充血し、粘性のある出血がみられます。
発情前期が終了する頃は陰部が最も大きく、硬くなるといった特徴もあります。
発情期
発情期に入ると陰部はふっくらとしてきて、雄犬の受け入れがスタートします。
個体差はありますが、持続日数は7日〜20日、平均で10日ほどです。
発情期に入ってから約3日で排卵が開始され、排卵開始後5日ほどが妊娠の可能期間となります。
出血はなかごろをピークに量が減り、色も粘性のある赤色から薄いピンク色に変化するため、発情期だとわかりやすいです。
この期間に、去勢していないオス犬と関わってしまうと妊娠してしまうため、妊娠を望んでいない場合は接触させないように注意してください。
発情休止期
約2ヶ月の発情休止期間は、出血がなくなり雄犬の受け入れを拒みます。
この時期になると卵巣から黄体ホルモンが作られ、そのホルモンによって妊娠をしたかのように、乳腺が発達し乳汁が分泌されます。
これを「偽妊娠」といいます。
偽妊娠をすると、警戒心が強くなり攻撃的になる可能性もありますが、基本的には治療の必要はありません。
長くても2ヶ月ほどで自然に症状がなくなるため、そっと見守ってあげましょう。
無発情期
無発情期は次の発情期までの4ヶ月〜8ヶ月の期間のことを指し、心も体も安定し愛犬の性格は元に戻るでしょう。
また、無発情期の期間によって、その犬の発情周期が定められます。
犬の生理期間中に気をつけること
愛犬に生理がきたときは、どのような対処をすればよいのでしょうか?
人間と同じように出血を伴い、妊娠してしまう可能性がある期間だからこそしっかり確認しておくことが大切です。
必要に応じておむつやマナーパンツを使う
家のソファーや寝床が生理の血で汚れてしまうときや、お出かけをする際など、必要に応じておむつやマナーパンツを使用しましょう。
おむつやマナーパンツを脱いでしまう子は、犬専用のサスペンダーを利用するのおすすめです。
しかし、おむつやマナーパンツを使用するときは、長時間つけっぱなしにしないようにしましょう。
長時間履いていると、肌がかぶれて炎症を起こす可能性があります。
おむつやマナーパンツは適度に外し、陰部を清潔に保てるよう心がけることが大切です。
散歩は無理しない
外に出たがらない場合は、無理して連れ出さないようにしてください。
性ホルモンの影響で、散歩中に雄犬が発情に気づいてしまいます。
興奮した雄犬が飛びついてきたり、喧嘩になったりする可能性もあるため注意しましょう。
元気はあるけど散歩に行きたがらない場合は、家の中で運動不足を解消できるようにたくさん遊んであげましょう。
不特定多数の犬がいるところには行かない
生理の際はドッグランやドッグカフェ、トリミングなど多数の犬がいる場所はNGです。
雄犬が発情していることに気づいてしまい、興奮して喧嘩に発展する可能性があります。
特にドッグランは犬をノーリードで遊ばせていることが多いため、気づかないうちに望まない妊娠をしてしまうという可能性が大いにあります。
生理中はトラブルや妊娠を避けるためにも、ほかの犬がいるような場所には行かないようにしましょう。
愛犬の生理がこない場合に考えられること
初めての生理がくるタイミングは、ワンちゃんによって大きく異なるため、生理がこなくても1歳半くらいまでは様子をみてみましょう。
妊娠の可能性がなく、1歳半すぎても生理がこない、2回目以降の生理がこないといった場合はこのような原因が考えられます。
- 偽妊娠
- ストレス
- ホルモンの異常
- 病気
さまざまな原因がありますが、犬が血を舐めてしまって出血に気づかないというパターンもあります。
生理がこなくて心配な場合は、一度かかりつけの病院へ行って相談をしてみましょう。
「おりもの」のようなものが出ている場合
犬から出たおりものが、ねばねばしていたり、異臭がしたりする場合は注意が必要です。
通常のおりものは、無色透明か少し白く濁っています。おりものに異常が出ている場合は、以下のように膣内や子宮の病気が隠れているかもしれません。
- 膣炎
- 子宮蓄膿症
- 膀胱炎
このなかでも「子宮蓄膿症」は、子宮の代表的な病気です。
避妊手術をしていない高齢のメス犬がかかりやすいといわれていますが、まれに若くして発症する子もいます。
放置すると、どんどん子宮に膿がたまり子宮が破裂してしまう可能性があります。
命を脅かす危険があるため、症状がある場合は早期発見をして治療をすることが大切です。
通常とは違ったおりものがでた場合は、すぐに病院へ行きましょう。
避妊も一つの選択肢として考えよう
犬を飼った際は、避妊手術をすることも選択肢として考えてみてください。
「麻酔をしてお腹を切られるなんてかわいそう」と思ってしまうかもしれませんが、避妊手術は愛犬と長く暮らすうえでとても大切なことです。
避妊手術をすることで、乳腺腫瘍の発生率を下げたり、卵巣や子宮などの病気を予防できたりします。
また、発情期は愛犬に強いストレスがかかることがあるため、避妊手術で犬のストレスが軽減できるのも大きなメリットです。
妊娠を望んでいないのであれば、避妊という選択も視野に入れて獣医師に相談してみましょう。
まとめ
愛犬に生理がきたときは、生理周期や症状などをしっかり確認してサポートしてあげてください。
生理中は気をつけるポイントが盛りだくさんです。
ほかの犬とのトラブルや望まない妊娠を避けるためにも、正しい知識を身につけて行動しましょう。
また、妊娠を望んでいない場合は、避妊を一つの選択肢として考えてみてください。
愛犬と長く一緒に生活していくうえで、飼い主さんにとっても愛犬にとってもよりよい選択をしましょう。
この記事のライター
toto
子どものころからダックスと暮らしてきました。犬と生活していた経験を活かし、しつけ方のポイントやこんなときどうすればいいの?という疑問について分かりやすくお伝えします。
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