banner

banner

【獣医師監修】犬の肥満細胞腫についてご存知ですか?原因や症状、治療法から予防法までまとめて解説します

お気に入りに追加

犬に発症する腫瘍「肥満細胞腫」をご存知でしょうか?名前のイメージから肥満が関係しているように思われがちですが、原因となる肥満細胞は正常な身体にも存在しており、体型に関係なく発症する病気です。本記事では、犬の肥満細胞腫の原因や治療法、予防法などについてご紹介します。

【獣医師監修】犬の肥満細胞腫についてご存知ですか?原因や症状、治療法から予防法までまとめて解説します
話題/ 犬用ベッド徹底比較 犬用ベッドなんでも良いって思ってない?愛犬の寿命にもつながるベッドの選び方教えます。

目次

  1. 犬の肥満細胞腫について
  2. 犬の肥満細胞腫は何が原因?
  3. 犬の肥満細胞腫の治療方法
  4. 犬の肥満細胞腫を予防する方法はある?
  5. 犬の肥満細胞腫は早期発見がカギ

犬の肥満細胞腫について

フレンチブルドッグ

肥満細胞腫は皮膚にできる腫瘍の中で一番多く認められるものであり、皮膚以外にも身体のさまざまな部位に発症する可能性があります。悪性度の低いものから高いものまで様々で、腫瘍の状態によってグレード1からグレード3に分類されます。

犬の肥満細胞腫の症状

皮膚に発生した場合はしこりやできもの、潰瘍のような病変ができ、その部分に炎症や脱毛を伴うことがあります。急激に大きくなるものもあればほとんど変わらないものもあります。

肥満細胞には炎症を引き起こすヒスタミンという物質が多く含まれているため、細胞が腫瘍化するとヒスタミンが過剰に放出され、周りの組織に炎症や浮腫を起こします。また、血管拡張して血圧が下がったり、胃や腸に潰瘍ができることがあります。

初期症状は見られる?

皮膚に発生する肥満細胞腫には、色や形、硬さなどに多くのバリエーションがあり、初期の段階ではこれといった特徴的な症状が見られません。飼い主さんがただのしこり、できものだと思い経過観察した結果、細胞診検査や切除による病理検査を受けたときにはすでに転移が起こっているということもあります。

肥満細胞腫は他の犬や人間にうつる?

肥満細胞腫は、正常な犬の体内に存在する肥満細胞が増殖・腫瘍化する病気であり、感染症ではありません。そのため、他の犬や人間にうつる心配はありません。 

犬の肥満細胞腫は何が原因?

ブルドッグ

犬の肥満細胞腫は、肥満細胞という免疫に関与する細胞が腫瘍化することで発生します。腫瘍化する原因については、まだ明らかになっていません。

かかりやすい犬種や年齢

ゴールデン・レトリバーラブラドール・レトリバーボクサーパグボストン・テリアビーグルシュナウザーなどの犬種が肥満細胞腫にかかりやすいとされています。平均発症年齢は9歳との報告があります。

犬の肥満細胞腫の治療方法

犬 エリザベスカラー

犬の肥満細胞腫の治療は、一般的には皮膚に形成された腫瘍を外科的に切除します。その後、病理検査結果を見てステージを診断し、必要であれば放射線治療や抗がん剤治療が行われます。腫瘍が大きすぎて完全に切除できなかったり、摘出困難な部位に腫瘍があったり、既に他の臓器に転移しているといった場合には手術せずに抗がん剤による治療が選択される場合もあります。

治療にかかる費用

犬の肥満細胞腫を積極的に治療するには入院して手術する必要があり、再発する可能性も高いことから、術後も継続的に通院する必要があります。そのため治療費もそれなりに高額になります。

動物病院ごとに料金が異なるためあくまで目安になりますが、診察や血液検査、レントゲン検査、超音波検査などに5〜7万円くらい、手術に20万円くらいかかります。また、術後も定期的な検査や継続治療のために通院する必要があり、1回の通院につき1〜2万円はかかると考えられます。

犬の肥満細胞腫を予防する方法はある?

フレンチブルドッグ

犬の肥満細胞腫が発生する仕組みはまだ解明されていないため、予防することは困難です。日頃から愛犬の身体をよく触り、皮膚にしこりやできもののようなものを見つけた場合には、なるべく早く動物病院を受診して検査を受けることが重要です。

再発する可能性

肥満細胞腫は悪性度が低いグレード1のときに外科的に切除することで完治が見込めますが、悪性度が高くなるグレード2~3になると目に見えないレベルで腫瘍細胞が周囲の組織に浸潤していたり、既に他の臓器やリンパ節に遠隔転移してしまっていたりするため、手術をしても再発する確率が高くなります。

犬の肥満細胞腫は早期発見がカギ

ビーグル

犬の肥満細胞腫は、予防が困難で再発しやすい厄介な病気です。完治するには早期に腫瘍を完全切除することが重要なので、愛犬の皮膚に異常が見られた場合には様子を見ずになるべく早く動物病院を受診しましょう。

こちらの記事もチェック

【獣医師監修】犬の乳歯遺残は獣医師へ相談を。乳歯遺残の問題点と処置方法を紹介

あわせて読みたい

【獣医師監修】犬の乳歯遺残は獣医師へ相談を。乳歯遺残の問題点と処置方法を紹介

愛犬の歯が「乳歯なのか永久歯なのか」を把握するのは、なかなか難しいことがあります。愛犬が歯の生え変わりの時期に差し掛かっているにも関わらず、乳歯が残っていることを心配している方もいるのではないでしょうか。まあそのうち抜けるだろうと、様子を見ている方もいると思います。 今回は、犬の乳歯遺残の問題点と処置の方法を紹介していきます。犬の乳歯遺残が気になる方は参考にしてみてくださいね。

【獣医師監修】犬の身体にできる脂肪腫について|初期症状や原因、治療法を解説

あわせて読みたい

【獣医師監修】犬の身体にできる脂肪腫について|初期症状や原因、治療法を解説

愛犬の身体を触っているとき、しこりやできものを見つけたことはありませんか?犬の身体にできものができる理由はさまざまですが、考えられる原因の一つとして「脂肪腫」が挙げられます。 脂肪腫は、中年齢〜高齢犬において多く発生する脂肪組織由来の良性腫瘍で、犬では珍しいものではありません。良性なので基本的には健康に大きな影響を与えることはありませんが、発生部位やその性質によっては対処が必要になるため、気になる場合は早めに獣医師に診察してもらうことが大切です。 今回は、犬にできる脂肪腫の原因や治療法、予防法について解説していきます。

愛犬の寿命に繋がる!?犬用ベッド徹底比較 2024年最新版 床ずれの防止、腰の負担予防など愛犬の健康のために考え抜かれた犬用ベッドを徹底比較!
choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

【petan編集部企画】ペットベッド「DoggyBaseとは?」

あわせて読みたい

【petan編集部企画】ペットベッド「DoggyBaseとは?」

腫瘍・できものに関する記事

【獣医師監修】犬の組織球腫とは。自然に消える?かかりやすい犬種や治療法を解説

健康管理/病気

【獣医師監修】犬の組織球腫とは。自然に消える?かかりやすい犬種や治療法を解説

犬の疾患のひとつ「組織球腫」について耳にしたことはあるでしょうか?おそらく、実際に自分の愛犬が...

2024年4月23日

【獣医師監修】犬のリンパ腫について|初期症状や発症の原因、治療法などを解説します

健康管理/病気

【獣医師監修】犬のリンパ腫について|初期症状や発症の原因、治療法などを解説します

皆さんは悪性度が高いことが多い腫瘍のひとつである「リンパ腫」をご存知でしょうか?犬に発生する腫...

2024年4月5日

【獣医師監修】犬の扁平上皮癌とは?発症の原因を知って愛犬の健康を守ろう

健康管理/病気

【獣医師監修】犬の扁平上皮癌とは?発症の原因を知って愛犬の健康を守ろう

犬の扁平上皮癌(へんぺいじょうひがん)は、身体のさまざまな部位に発生する悪性腫瘍です。症状の進...

2024年1月5日

【獣医師監修】犬も前立腺癌になる?治療方法や予防方法は?初期症状や原因もあわせて解説します

健康管理/病気

【獣医師監修】犬も前立腺癌になる?治療方法や予防方法は?初期症状や原因もあわせて解説します

犬の前立腺とは、膀胱の根元の位置に存在しており、前立腺液を分泌する器官です。もちろん前立腺はオ...

2023年12月26日

【獣医師監修】犬のメラノーマ(悪性黒色腫)は予防できる?腫瘍の特性や治療法などもあわせて解説します

健康管理/病気

【獣医師監修】犬のメラノーマ(悪性黒色腫)は予防できる?腫瘍の特性や治療法などもあわせて解説します

メラノーマ(悪性黒色腫)とは、身体の色素をつくるメラニン細胞の「メラノサイト」ががん化した腫瘍...

2023年12月18日

もっと見る

関連するキーワード

カテゴリー

人気記事ランキング

Petan独自調査

獣医師監修記事

おすすめ記事

人気のキーワード