愛犬の座り方がなんだかおかしい・・犬のお姉さん座り(横座り)は注意が必要?
愛犬がお姉さん座りをしていることはありませんか?女座り、横座りとも呼ばれている犬のお姉さん座りは、足を横に流す座り方です。4本の脚をキレイに揃えて座るおすわりが犬にとっての正座なら、お姉さん座りは姿勢を崩した座り方。可愛くも見える座り方ですが、中には病気が隠れているケースも。今回は、犬がお姉さん座りをする原因と考えられる病気についてご紹介します。
犬がお姉さん座り(横座り)をするのはなぜ?
基本的に犬はおすわりの時に前足、後ろ足をキレイに揃え、正面を向いて座ります。ところが、犬によっては足を横に崩して座るお姉さん座りになってしまうことがあります。また、いつもは普通におすわりができるのに、たまにお姉さん座りになるという子もいます。このお姉さん座り、実は気にした方が良い場合と気にする必要のない場合があることをご存知でしょうか。まずは、犬がお姉さん座りをする理由を知って、気にするべきか気にしなくてもいいのか判断しましょう。
お姉さん座りをする理由①癖になっている
人間と同じように犬にも座り方に癖があります。そのため、足を崩して座るほうが楽だと犬自身が感じている場合、お姉さん座り(横座り)をすることがあります。また、おすわりの姿勢を正しく教えていない場合、おねえさん座りになることもあります。
お姉さん座りをする理由②リラックスしている
ドッグランなどで思いっきり遊んだ後や自宅でのんびりしているときにお姉さん座りになることがあります。これは、犬がリラックスして休憩している状態や座り癖だと考えられます。通常はきちんとおすわりができる、普通に歩いたり走ったりできる場合は、心配しなくても大丈夫です。
お姉さん座りをする理由③成長過程
犬は生後8か月頃までさまざまな部位が順番に成長していきます。まだ成犬の体型になっていない子犬では、手足だけが長いなど体型がアンバランスなことも多く、おすわりをしても犬が意図せずにお姉さん座りになってしまうことがあります。
身体が成長過程にありお姉さん座りをする場合、成長とともに改善されることがほとんどなので、温かい目で見守ってあげましょう。
お姉さん座りをする理由④お姉さん座りになる犬種である
通常の犬種は、後ろ足をたたんで床にお尻をつけることができますが、フレンチブルドッグやパグ、ミニチュアダックスフントのように、足が短い犬種は骨格上後ろ足を折りたたむおすわりができません。足が短いことでお尻が先に床についてしまうため、結果的にお姉さん座りになってしまうのです。
この座り方は、一部ではフレブル座りやパグ座りとも呼ばれています。
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痛みが原因となっていることも
上記のような理由であれば基本的に心配はいりませんが、骨格形成や体の不調、痛みなどにより正しいおすわりの姿勢がとれないケースがあります。この場合は病気が隠れている可能性があるため注意が必要です。 一例を挙げると以下のような原因が考えられます。
関節の痛み
今まで正しくおすわりができていた犬が、ある日からお姉さん座りしかしなくなった場合は、関節のどこかに痛みを感じている可能性があります。この場合は、足を引きずって歩く、足に触られるのを嫌がる、散歩に行きたがらないなどの様子が見られることが多いので、日頃から愛犬の行動や様子をよくチェックしておくことが大切です。
肥満
太り過ぎの犬は、多くの場合お姉さん座りになります。これは、お腹の脂肪が邪魔して足を折りたたむスペースが取れないためです。犬の肥満は万病の元。正しくおすわりができるぐらいまでダイエットをすることがおすすめです。
犬がお姉さん座りをする場合に考えられる病気とは
今までは普通のおすわりができていたのに、急にお姉さん座りをするようになったという場合には以下のようなトラブルが起こっている可能性があります。また、子犬期だけでなく成犬になっても正しいおすわりができないという場合は、 先天的に関節に異常があるかもしれません。
関節炎
骨と骨の間にある軟骨が損傷し、炎症が起こる状態が関節炎です。関節炎を発症すると、常に痛みを感じるため歩行にも支障が現れます。主に歩きたがらない、散歩に行きたがらない、足を引きずるように歩く、段差を上りたがらなくなるなどの症状が見られますが、軟骨が損傷することで関節の機能が正常に働かなくなるため、お姉さん座りが見られることもあるのです。
関節炎はどんな犬種でも発症する可能性がある病気で、特に肥満や加齢によって発症しやすいとされています。サプリメントなどで改善されるケースもありますが、散歩を嫌がる、走らなくなる、足を引きずるようになるなどの症状が見られたら動物病院で検査をしてもらうことをおすすめします。
膝蓋骨脱臼(パテラ)
膝蓋骨脱臼とは、膝蓋骨と呼ばれるお皿状の骨が外れてしまう病気で、成長期に骨や靭帯、筋肉の形成に異常が起こることで発症します。トイプードル、チワワ、ポメラニアン、ヨークシャテリアなど小型犬での発症が多いです。
また、高いところからの落下や事故によって、膝に大きな力がかかることでも発症します。脱臼の程度によってグレードに分けられていますが、パテラを発症すると後ろ足を曲げただけでも脱臼してしまうため、通常の形でのおすわりができません。
早期発見早期治療を行って進行を予防することが大切です。
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股関節形成不全
大型犬に多い股関節形成不全。中でも、ジャーマンシェパード、ラブラドールレトリバー、ゴールデンレトリバー、バーニーズマウンテンドッグなどに多く見られる遺伝的要素や、成長過程でのアンバランスな栄養、ホルモンバランスの崩れなどによって発症する病気です。
お姉さん座りをするだけではなく、モンローウォークと呼ばれる腰を振るように歩く、うさぎ跳びをするように走る、成犬になっても開きと言われる四肢を床にベタッとつけて寝るなどの動作が見られたら股関節形成不全が疑われます。
股関節形成不全は、大腿骨の変形(形成不全)によって骨盤に大腿骨が正常にはまっていなかったり、大腿骨の先端の変形によって、関節の噛み合わせがうまくいかない状態です。
はじめの頃は、歩くのを嫌がる、階段の上り下りを嫌がるなどの症状がみられますが、加齢や肥満によって歩行が困難になるケースが多くあるため、早期治療が求められている病気です。
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前十字靭帯断裂
前十字靭帯とは後ろ足の膝関節にある靭帯で、この部分が断裂してしまうことで後ろ足を引きずったりお姉さん座りをするなどの様子が見られます。
すべての犬種で起こる可能性がありますが、膝への負荷がかかりやすい体重が重い大型~超大型犬での発症が多いです。
原因によって急性と慢性に分類されるものの、犬では急性のものは稀でほとんどが慢性だとされています。慢性前十字靭帯断裂の原因は遺伝的なものが関係していると考えられていますが、加齢や免疫学的・形態学的な要因などによっても断裂に至ることもあるようです。このほかにも基礎疾患を抱えている犬も発症しやすいと言われています。
愛犬がお姉さん座りしかできない場合は獣医師に相談しよう
犬のお姉さん座りは一見すると可愛らしいものですが、怪我や病気が隠れている可能性もあります。特に、今まで普通におすわりできていた犬が突然お姉さん座りをするようになったり、子犬の頃からお姉さん座りしかできないという場合には、動物病院で検査を受けるようにしましょう。
犬にも座り癖があったり、犬種によってはお姉さん座りが通常ということもあるため、お姉さん座りをしていたら病気だと断言できるわけではありませんが、愛犬がお姉さん座りをしていたら、歩き方や日常の生活での行動をよく観察し、変化がないか、異常がないかをよく確認することが大切です。
【参考文献】
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この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!