愛犬がおデブ犬に!!気になる健康上のリスクやダイエット法などご紹介
最近は「デブ犬」「おデブ犬」と呼ばれている、ぽっちゃりとした犬たちの画像や動画が「可愛い」「愛嬌があって癒される」などとして注目を集めています。しかしその一方で、健康面は大丈夫なのか、飼い主はそれでよいと思っているのか、と心配する声も多数上がっています。「デブ犬ってかわいい」の裏側には、肥満によって引き起こる健康上のリスクがあることを知っておくべきではないでしょうか。
目次
かわいいと話題の「おデブ犬」
コロコロしたぽっちゃり体型の犬たちが「デブ犬」「おデブ犬」と呼ばれ、SNSで話題を集めているようです。
YouTubeやInstagramなどのSNSにアップされているデブ犬の画像や動画には、「とっても愛らしい!」「見ているだけで癒される!」などのコメントがたくさん寄せられています。そんな反応を見て飼い主さんの中には、「愛犬がちょっとぐらい太っていても、かわいいからそのままでいいや」と思う人もいるかもしれませんが、それは大きな間違いです。
「デブ犬」や「おデブ犬」とカジュアルに表現されて、かわいいと言われていますが、つまりは適正体重をオーバーしている「肥満の犬」です。肥満にはさまざまなリスクがあることから、単に「デブ犬はかわいい」で片付けることはできないのです。
太り過ぎで犬がかわいそうという声も…
おデブ犬はかわいい、愛らしいというコメントがある一方で、「体が心配」「太り過ぎでかわいそう」「健康管理は飼い主の責任」などの声もたくさん寄せられています。
飼い主は、食事や体重の管理をして愛犬の健康を守る必要があります。そのため「かわいいから少しぐらい太っていてもいい」といった意識でいると、愛犬の健康管理ができない飼い主、犬に対して無責任と思われてしまいます。
肥満の犬に起こり得るリスクに目を向け、体重管理をすることが飼い主の努めであることを覚えておきましょう。
「おデブ犬」はつまり肥満|こんなリスクも
「おデブ犬はかわいい」の裏側には、肥満によって起こるさまざまな病気のリスクが隠れています。ここでは肥満による代表的な病気や怪我についてご紹介します。
糖尿病
糖尿病はインスリンが不足、またはうまく作用しないことで、血液中の糖濃度が高くなってしまう病気です。白内障や神経障害、肝障害など、合併症を引き起こすことも多く、ほとんどの場合において、長期にわたり治療と向き合っていくことになります。
呼吸器系の疾患
首まわりについた脂肪により気道が圧迫されて呼吸がスムーズにできず呼吸器に負担がかかると、そのせいで呼吸器系の疾患を招くこともあります。
椎間板ヘルニア
肥満は足の関節だけでなく、腰にも大きな負担になることから、椎間板ヘルニアを発症させてしまうことがあります。椎間板ヘルニアは背骨の間にある椎間板が飛び出し、脊髄を圧迫する病気です。場合によっては麻痺が起こり、歩行困難になることもあるので注意が必要です。
関節の疾患
犬自身の重い体重が足に負担となり、関節に痛みや炎症が生じることも少なくありません。関節が痛くなると動きたがらなくなるので、運動不足になり肥満がなかなか解消されないといった悪循環になることもあります。
おデブ犬にさせないために飼い主ができること
せっかくダイエットをしても、愛犬にとっての適正体重を把握していなければ、体重管理ができません。また、1日あたりに与えてもよいとされるおやつの量などについても知っていないと、うっかり与えすぎているということにもなりかねません。
ここでは、愛犬をおデブ犬にさせないために、飼い主ができることについてご紹介します。
BCSを参考にして愛犬の適正体重を把握する
同じ犬種であっても骨格差があるため、骨格が大きいコは平均体重よりも体重が重い、骨格がもともと小さい場合は、平均よりも体重が軽いということはよくあります。つまり、適正体重は個体によって異なり、「平均体重=適正体重」ではないということです。
愛犬にとっての適正体重は、ボディコンディションスコア(BCS)を参考にして把握することができます。BCSとは、犬を立たせた状態の見た目と犬に触った感触により、適正体重なのかどうかを判断するための指標です。BCS1〜BCS5までの5段階評価になっています。
【BCS1】痩せすぎ
・肋骨や骨盤、腰椎が浮き出ていて、はっきり見える ・撫でたときに脂肪が確認できない ・腰がくびれがはっきりとしていて、砂時計のような体型をしている
【BCS2】痩せぎみ
・多少、皮下脂肪がついているものの、肋骨が少し浮き出ていて容易に触れられる
・横から見たときに、腹部から後ろ足の付け根に向かってのボディラインの上がり具合が顕著 ・腰のくびれがはっきりとしている
【BCS3】理想的
・適度に皮下脂肪がついていて、撫でたときに肋骨に触れることができる ・横から見たときに、腹部から後ろ足の付け根に向かってのボディラインが緩やかに上がっている
・上から見たとき、腰のくびれが確認できる
BCS3が理想的な体型で、この状態のときが愛犬にとっての適正体重となります。定期的な体重測定と共にBSCにより愛犬を確認して、適正体重をキープしてあげてください。
【BCS4】太りぎみ
・皮下脂肪が少し多いけれども、撫でたときに肋骨に触れることができる ・横から見たときに、腹部から後ろ足の付け根に向かってのボディラインがあまり上がっていない
・上から見たとき、腰のくびれがかろうじて確認できる
【BCS5】太りすぎ
・皮下脂肪がつきすぎていて、撫でたときに肋骨に触れることができない ・腹部が垂れ下がっている
・腰のくびれがない寸胴体型になっている
早食い防止用の食器を使う
愛犬が食いしん坊な性格の場合は、早食い防止用の食器を使うのもおすすめです。ガツガツ食べられないようにでこぼこした形状になっているので、ゆっくり食べざるを得なくなります。時間をかけて完食すれば満腹感を得られるので、肥満の予防につながります。
おやつの量、与え方に注意する
しつけやトレーニングのご褒美としてや、愛犬とのコミュニケーションのためにおやつは役立ちますが、適量を超えると肥満や偏食の原因になります。1日に与えるおやつの量は、愛犬の1日に必要な摂取カロリーの10%以下にとどめるのが望ましいとされています。そして、おやつのカロリー分、食事量を減らしましょう。
例えば、愛犬の1日に必要な摂取カロリーが500kcalで、愛犬が食べたおやつが80kcalだった場合、食事量は420kcalになるように調整するということです。
また、与え方にも注意が必要です。犬は「おやつをもらえた」ということが嬉しいので、一度にたくさん与えるのではなく、1回にあげるおやつの量は少なくして、与える回数を増やすようにしましょう。もらった回数が多ければ、愛犬の満足度が高まります。
もう「おデブ犬」と呼ばせない!ダイエット方法
犬の肥満と寿命は密接に関係しており、肥満の犬と適正体重の犬とでは、肥満の犬は寿命が約2年半も短くなることがわかっています(※1)。愛犬が少しでも長生きできるよう、ダイエットをさせて体重管理をしていきましょう。
肥満の原因は、食事やおやつの与え過ぎと運動不足です。よって、それらを見直すことで、適正体重に戻していくことができます。ここでは、犬のダイエット方法をご紹介します。
散歩時間や距離を増やす
体重を落とすには、運動をさせて消費カロリーを増やす必要があります。そのため、散歩時間や散歩コースの距離を少し増やしてみるのがおすすめです。ただし急に運動量を多くすると体に負担がかかるので、途中で休憩を入れながらゆっくりと散歩するようにしましょう。
なお、散歩のときは走ったりする必要はありません。肥満の状態で激しい運動をさせると、かえって足腰に負担がかかるので、無理のない範囲でゆっくりと歩かせるようにしましょう。
食事量や種類を見直す
フードのパッケージには、1日あたりの給与目安量が記載されています。もし目安量より多く与えてしまっているのであれば、まずは記載されている目安量を与えるようにしましょう。また、目安量通りに与えているのに体重が増える場合は、与える量が多いのかもしれません。そのため、少し量を減らして与えるようにしましょう。
また、減量を目的として栄養バランスが調整されている、ダイエットフードに切り替えるのも1つの方法です。どちらの方法にせよ、過度なダイエットは犬に負担となってしまうので、かかりつけの獣医師に相談して、無理のないダイエット計画を立てることをおすすめします。
おデブ犬は「かわいい」では済まされない犬の肥満
犬の肥満は、寿命にも大きく影響します。そのため、太っていてもかわいいからといって体重管理をしないでいると、愛犬の健康を損ねるリスクが高まります。健康で快適に暮らせるよう、愛犬の健康管理をするのは飼い主の責任です。大切な家族の一員である愛犬の健康を守ってあげてください。
この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
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