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【獣医師監修】死に至ることも。緊急性の高い病気「犬の肺水腫」について解説します

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皆さんは、犬の肺水腫についてご存知でしょうか?

犬の肺水腫は心臓病に罹患している犬が発症することが多く、呼吸困難などを引き起こす病気で、重度になると最悪の場合、死に至ることもあります。肺水腫を未然に防ぐためにはどうすればよいのでしょうか?この記事では、肺水腫の原因と併せて症状や治療法、予防法も解説していきます。

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目次

  1. 犬の肺水腫という病気について
  2. 犬の肺水腫はなにが原因?
  3. 肺水腫の治療法とは
  4. 肺水腫は予防できる?
  5. 愛犬の様子をしっかり観察しておこう

犬の肺水腫という病気について

犬

犬の肺水腫とは、肺胞内に液体が過剰に溜まってしまい、呼吸困難などの呼吸器症状を引き起こす病気です。急激に悪化して、最悪の場合は死に至ることもあります。 

肺水腫の主な症状

肺水腫にかかると、以下のような症状が見られます。

  • 開口して呼吸をするようになる
  • 呼吸数が増える
  • 呼吸が早くなる
  • 頻繁に咳をする
  • 口腔粘膜や歯茎が白くなる
  • 舌色が青紫色になる(チアノーゼ)
  • 呼吸が苦しいため、首を伸ばし前足を突っ張ったような座り方をする
  • 泡状の鼻水が出る

症状が軽い場合は、運動をしたときに咳が少し見られる程度ですが、症状が進行してくると頻繁に咳をするようになります。 また、呼吸をするのが苦しいため、横向きに寝られなくなることもあります。

他の犬や人間にうつる?

肺水腫は、他の犬や人間にうつる病気ではありません。

犬の肺水腫はなにが原因?

犬

犬の肺水腫は、心臓病が原因で発症する心原性肺水腫と、心臓病以外の原因で起こる非心原性肺水腫に分けられます。ここでは、それぞれの原因について見ていきます。

肺水腫の原因1. 心原性肺水腫

心原性肺水腫は、拡張型心筋症や僧帽弁閉鎖不全症などの心臓病が原因で起こります心臓の機能が正常に働かなくなると、心臓内に血液が滞ってしまい、肺から心臓に血液が戻りにくくなります。その結果、毛細血管がうっ血し、毛細血管内の液体成分が肺胞内に漏れ出すことで発症します。

肺水腫の原因2. 非心原性肺水腫

非心原性肺水腫は、重度の肺炎や肺の外傷、熱中症、気管支炎、気道閉鎖など、心臓病以外のさまざまな要因によって肺の血管の透過性が高くなり、液体成分がにじみ出ることで肺水腫を引き起こします。

かかりやすい犬種や年齢は?

犬種や年齢を問わずかかる可能性がありますが、拡張型心筋症や僧帽弁閉鎖不全症、肺炎や気管支炎などを患っている犬は発症しやすいので要注意です。

肺水腫の治療法とは

犬

肺に溜まった液体を抜くために、利尿剤を用いて治療を行います。利尿剤により尿量を増やし、肺に溜まった液体を尿として体外に排出します。

また、呼吸が苦しくなってチアノーゼを起こす場合には、酸素吸入が必要になります。入院して酸素室で安静を保つか、自宅にレンタルの酸素室を設置して、その中で過ごすこともあります。

肺に炎症を起こしている場合は、抗生物質の投与を行います。肺に酸素を取り込みやすくして呼吸を楽にするために、気管支拡張剤を投与することもあります。

そして、重要なことは、これらと併せて肺水腫の原因となっている基礎疾患の治療も早急に行う必要があります。例えば、僧帽弁閉鎖不全症の悪化による心原性肺水腫であれば、ピモベンダンという強心作用、血管拡張作用のある薬剤を早急に静脈注射して、点滴治療も同時に行う、などといったケースが考えられます。

治療にかかる費用

動物病院によって幅があり、あくまでも目安ですが、肺水腫の治療のために1回通院した場合の治療費は、15,000〜30,000円程度です。この費用には診察料、血液検査料、胸部レントゲン検査料、注射料が含まれます。

肺水腫は重篤な症状を起こすことが多いので、各種検査や数種類の注射や点滴治療を行う必要があり、1回の通院でもそれなりの費用がかかります。症状によっては入院になることもあるので、上記の費用に加えて入院費もかかることがあります。

肺水腫は予防できる?

犬

肺水腫の原因となる病気を予防することが、肺水腫の予防にもなります。そのため、定期的に健康診断を受けて、病気の早期発見・早期治療をすることが大切です。また、いつもと違う呼吸の仕方(特に、呼吸数が早い)に気づいたり、咳の頻度が増加したなど、愛犬の様子がおかしいと感じたら早めに獣医師の診察を受け、適切な検査を受けておきましょう。

再発する可能性

僧帽弁閉鎖不全症が原因で肺水腫を起こしている場合、一旦治っても肺水腫を繰り返し、呼吸困難になることがあります。症状が重ければ入院する、もしくは酸素室をレンタルまたは購入して、自宅で酸素吸入を継続する必要があります。

愛犬の様子をしっかり観察しておこう

犬

犬の肺水腫は、症状が急激に悪化することがあるため、愛犬の症状をよく観察しておき、気になることがあれば早めに獣医師に相談するようにしましょう。

また、深夜などの診療時間外に症状が悪化して呼吸困難になるようなことも考えられるので、救急診療に対応している動物病院を事前に探しておくと安心です。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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