犬がよく耳をかくのは病気?日頃の臭いチェックやお手入れで愛犬の耳の病気予防を心がける
犬が首を倒して足で耳をカイカイしている姿は、犬を飼っていると日常的に目にする光景です。いかにも痒そうな表情を見ると、つい可愛く思えてしまいますが、もしかしたら犬の耳に何か病気が潜んでいるかもしれません。1日に何回も頻繁に耳をかいていたり、顔を近づけた時に耳から臭いがしたら、耳の病気を疑ってください。
犬がよく耳をかいているのは病気?
犬が頻繁に耳をかく、頭をブルブル振る、触ろうとすると嫌がるなど耳を気にする行動が見られたら、まずは耳の病気を疑ってみましょう。動物病院に来院する症状の中で最も多いと言われているのが、耳の病気だと言われています。まずは、耳の病気になった時の状態について知っておきましょう。
病気になったら、どんな仕草をするの?
犬が耳を気にしている時、耳をかく、頭をブルブル振るなどの他に、床や芝生などに耳をこすりつけるといった行動をとります。もし、頻繁にそのような行動を取っているようでしたら、まずは耳の中を観察してみましょう。垂れ耳の場合は、特に耳の病気になりやすいため、耳をめくって耳の中の状態を見られるように、普段からしつけをしておくことも大切です。
耳の中はどんな状態?
犬の耳は、人間と違い外耳道がL字型になっているため、耳の病気にかかりやすいのです。耳の病気になった場合、耳たぶや耳の中が赤い、耳に黒っぽい汚れが付いている、耳垢が多い、いつもとは違う臭いがするなどの症状がでます。そのような症状が出た場合、耳の中は炎症を起こしているのです。特に垂れ耳の犬は、蒸れやすい、耳毛が多いことなどの理由で、耳の病気の好発犬種と言われています。
臭いがするか?
犬の耳は、健康な状態では乾いた白っぽい耳垢がたまり、臭いはしません。しかし、耳の病気になると、ベトベトした耳垢や赤黒い耳垢がたまり、酸っぱいような臭いがします。日常から、犬の耳の臭いを嗅いでいると、臭いの変化に気がつくことができます。いつもとは違う臭いがしたら、耳の中を詳しく観察するか動物病院へ連れて行きましょう。
犬の耳の病気について
犬の耳の病気の多くは外耳炎です。外耳炎には、さまざまな原因があります。また、耳の奥で発症する中耳炎、耳たぶで発症する耳血腫が犬の耳の主な病気です。
外耳炎ってどんな病気?
外耳炎とは、耳道内に炎症が起きている状態を指します。特に、梅雨や夏場など、湿度の高い時期に多く発症する外耳炎ですが、症状として耳をかく、頭を振る、赤黒い耳垢が大量に出る、いつもと違う臭いがするなどがあります。外耳炎の原因として、細菌性のマラセチア、感染性外耳炎(アレルギー、ホルモン異常、耳の構造異常など)、耳ダニ(耳疥癬)、分泌腺の異常、異物混入などが考えられます。
耳ダニが心配
仔犬期によく見られるのが耳ダニです。耳ダニは、ミミヒゼンダニという小さなダニが耳の中に寄生することによって、発症する外耳炎で、耳ダニを持っている犬から感染します。耳ダニに感染すると、強いかゆみや赤黒い耳垢といった症状がみられます。頻繁に耳を掻く、耳を床や地面にこすりつけるなどの行動が見られたら、耳ダニを疑いましょう。
見つけた時の適切な処置の仕方は?
耳ダニを放置し、症状が悪化すると外耳炎、中耳炎などを発症してしまいます。耳の匂いが強くなったり、あまりにひどく痒がるといった症状が見られたら、動物病院に連れて行きましょう。耳ダニは、とても小さいため、専門の器具で耳の中を観察するか、採取した耳垢を顕微鏡で観察します。耳ダニが発見された場合は、薬の投与で治療します。
その他、耳にかかわる病気
外耳炎の他に、犬がかかりやすい耳の病気として耳血腫が挙げられます。耳血腫は、耳のふち「耳介」に血液が溜まり腫れる病気です。原因として、外耳炎の他に耳を激しくかく、頭を激しく振る、硬い地面や砂利などがあるところに耳をこすりつける、他の犬に噛まれる、耳をぶつけるなどがあげられます。治療法としては、耳介に溜まった血液を注射器で抜いたり、腫れている部分をメスで切開し、再び血液がたまらないように外科的処置を行います。耳血腫は、一度発症すると再発しやすいため、原因となる外耳炎にならないようにこまめな観察が大切です。また、ゴロスリが好きな犬種の場合は、ゴロスリする場所の状態に気をつける必要があります。
犬の耳ケア方法について
犬が発症しやすい耳の病気は、日頃のケアで予防することや早期発見が可能になります。特に、垂れ耳の犬種の場合は、こまめに耳の状態を観察し、耳垢の色や臭いに変化があったらすぐに動物病院に連れて行くことが悪化させないコツです。ここでは、自宅でできる耳ケアについてご紹介します。
愛犬のための耳ケアの仕方
まずは、日常から耳をめくってみて、健康な耳の状態を知っておくことが大切です。健康な状態の耳は、薄いピンク色の乾燥した皮膚で、耳垢がある場合でも白っぽく乾燥したもの、臭いもほとんどありません。この状態をキープするために、日常的に耳ケアをしておきましょう。
耳ケアとしておすすめの方法が、イヤークリーナーを含ませた柔らかいガーゼやコ
ットンで優しく耳介を拭いてあげること。また、トリミングサロンなどで耳の中の毛をカットしてもらい通気性を良くすることもおすすめです。少し前までは、耳の奥まで綿棒を入れて耳垢を取り除く耳掃除が主流でしたが、最近では、耳の中を傷つけてしまう可能性が高いため、耳掃除は動物病院でしてもらうことが推奨されています。
耳ケアに役立つ用品
耳ケアには、専用のクリーナーを使うことがおすすめです。特に、皮膚の弱い部分である耳介は薬剤にも敏感なため、植物性のものを使用する方が安心です。具体的には、納豆菌を使用したイヤークリーナー、殺菌作用のあるハーブを使用した洗浄剤、電解イオン水を使用したクリーナーなど化学物質を使っていないケア用品がおすすめです。また、ティッシュなどを使わず、ガーゼやコットンもオーガニックのものを使用するとさらに安心できます。
使ってはいけないもの
自宅で耳掃除を行う場合に使ってはいけないものとして、綿棒、鉗子や耳用の毛抜きなどがあります。綿棒や鉗子などを使用して耳掃除をすると、耳垢を奥に押し込んでしまったり、耳道を傷つけてしまう可能性があるため大変危険です。健康な犬の場合は、耳介を拭き取る程度で十分です。もし、外耳炎など耳の中に炎症がある場合は、自宅でケアせず獣医師に任せましょう。
普段からの耳ケアで、愛犬を病気から守ろう
犬の耳が病気になる原因として、蒸れることが挙げられます。特に、垂れ耳の犬は蒸れやすいので、日常からのケアが大切です。耳が痒いことは、犬とっても辛いこと。耳が痒くて足で耳をカイカイしているところをよく見かけませんか。可愛い仕草だと思いがちですが、爪についている細菌などが、掻くことで傷ついたところから感染する場合があるので注意したいところ。まずは外耳炎を発症させないように、こまめな耳ケアが大切なのです。また、耳に違和感があると、触られることを嫌がる犬もいるので、日頃からスキンシップの一つとして、耳に触られることを習慣付けておくことも必要です。こまめにチェックして、耳の病気予防を心がけてあげてくださいね。
この記事のライター
komugi
都内で愛犬のビーグルと暮らしています。コロナ期間中に肥満体型になってしまった愛犬のために食事や運動について勉強をはじめました。面白い発見や愛犬家の皆様に役立つ情報があればどんどん発信していきます!
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