【獣医師監修】犬のアカラス症をご存知ですか?症状や知っておきたい予防方法を紹介します
犬のアカラス症という病気は、皮膚病の1種で、年齢や犬種を問わず起こる可能性があります。厄介なことに治療が長期化するケースが多く、免疫力などが低下している場合は治るまでに一年以上かかることもあるので、発症を未然に防ぐために、どんなことが原因でアカラス症になるのかを知っておきましょう。今回は、犬のアカラス症の症状・原因・治療法や予防法について解説します。
犬のアカラス症という病気について
犬のアカラス症は、ニキビダニ(毛包虫)が原因で発症する皮膚病で、ニキビダニ症や毛包虫症とも呼ばれています。ニキビダニは犬の犬の毛包、皮脂腺、アポクリン腺などの部位に寄生するダニで、健康な犬にも常在しています。寄生しているといっても何か悪さをするようなことはなく、通常は何ら問題ありません。しかし、免疫力の低下などの原因により著しく増殖すると発症を招きます。
ニキビダニは肉眼では確認できないほど小さいので、病変部の皮膚を削って(皮膚掻爬検査)、顕微鏡で確認してアカラス症かどうかを判断します。症状は部分的に表れる場合と、全身に表れる場合とがあります。
初期症状
犬のアカラス症の初期は、目や口の周辺、頭部、足先の脱毛やフケといった症状が見られます。初期はかゆみや目立った発赤はありませんが、二次的に細菌感染が起こると化膿し出血するなどして強いかゆみを伴うようになることが多く見られます。
強いかゆみが起きると、その箇所を頻繁に噛んだり舐めたりする自傷行為によって、症状がどんどん悪化してしまうこともあります。アカラス症は、症状の進行が早く深刻化しやすいので、早期に治療をすることが非常に重要です。
他の犬や人間にうつる?
ニキビダニが原因ということで、アカラス症はうつる虫なのではないかと心配になるかもしれませんが、他の犬や動物、人間にうつることはありません。
アカラス症を発症する原因は?
犬のアカラス症は、ニキビダニの過剰な増殖によって発症しますが、どのようなことにより増殖してしまうのか、その原因について知っておきましょう。
免疫機能の未発達・免疫力の低下
子犬は免疫機能が未発達なため、ニキビダニが増殖してしまうことがあります。また、病気やストレス、加齢などによって免疫力が低下したりするのもニキビダニの過剰増殖の原因になり、アカラス症を引き起こします。
内科疾患を持っている
甲状腺機能低下症やクッシング症候群、糖尿病、リーシュマニア症、悪性腫瘍、糸状虫症などの内科疾患を持っている場合や、副腎皮質ホルモン剤の過剰投与、長期投与などの影響で発症しやすいと考えられています。
栄養不足
必要な栄養が摂取できていなかったり、栄養が偏っていたりするのも発症の原因になります。
かかりやすい犬種や年齢
アカラス症は、どんな犬でもかかるリスクがありますが、アニコム損害保険会社のデータ(※1)によると、アカラス症は、1歳未満の子犬や10歳以上の老犬に発症が多く見られる結果となっています。
また、フレンチブルドッグやパグ、シーズーなどの短頭種やテリア種がアカラス症の好発犬種と言われています。
アカラス症の治療方法について
犬のアカラス症は、ニキビダニの駆除薬の投与や薬浴により回復を図ります。薬浴に使用するシャンプー剤は殺ダニ効果のあるものなど症状によって適切なものが異なるため、必ず獣医師に処方されたものを使用するようにしましょう。また、二次的な細菌感染を起こしている場合は、抗生物質などの投与を行うこともあります。
なお、子犬の場合は、症状が軽ければ自然に治ってしまうことも多く見られますので、獣医師と相談した結果、軽度なものであれば様子を見ることも多くあります。
治療にかかる費用
犬のアカラス症の治療費の目安は、通院1回あたり5,000円程度です。この費用には、診察費や検査代、薬代などが含まれます。
症状がよくなるまでに通常は数ヶ月間、治療が必要です。しかし、免疫力や皮膚のバリア機能が低下しているような犬においては、治るまでに1年以上かかるようなことも決して珍しくはなく、治療が長期化すると10万円以上もの治療費がかかる場合もあります。
犬のアカラス症を予防するには
アカラス症の発症を防ぐには、免疫力が低下しないよう栄養バランスの取れた食餌を与えることが大切です。
また、ストレスも免疫力の低下を招く原因になります。犬は、運動不足や不快な生活環境、飼い主さんとのコミュニケーション不足などによりストレスを感じていることがあるので、清潔な生活環境や健康的な生活習慣を保つように心がけましょう。
再発する可能性は
症状がよくなり投薬を止める、もしくは薬剤の量を減らすと再発し、治療が長期化してしまうケースも少なくありません。そのため、症状がだいぶ治まってきても、自分で勝手に判断せず、獣医師の指示に従って投薬を行うようにしましょう。
また、免疫力を低下させる基礎疾患を持っている場合も、再発しやすい傾向にあります。難治性のアカラス症の場合は、併発している基礎疾患の有無を確認し、併発症とアカラス症の治療を長期的に継続する必要があります。
アカラス症は根気よく治療を続けることが大切
犬のアカラス症は、症状が全身に及んでしまったりすると、治るまでに時間がかかることもあります。また、一旦よくなったと思っても、再発してしまうことも少なくありません。しかし、適切に治療を継続することによって完治に至ることも多いので、愛犬に寄り添い気長に根気よく治療をしていくことが大切です。
【参考文献】
(※1)アニコム損害保険株式会社
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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