柴犬に多い皮膚病について|原因とケアのポイントをご紹介
柴犬は身体が丈夫で病気に強く、長生きしやすい傾向にあると言われますが、かかりやすい病気もいくつか存在します。その中でも皮膚病は柴犬が最もかかりやすい病気です。強いかゆみにより身体を掻き壊してしまうと炎症や脱毛、色素沈着が見られますが、症状が悪化すればするほど治りにくくなってしまうため、早期に発見しケアすることが重要です。今回は、柴犬がかかりやすい皮膚病の種類や原因と予防・ケアのポイントについて解説していきます。
柴犬が発症しやすい皮膚病って?
犬が発症する皮膚病にはさまざまな種類があり、代表的なものにニキビダニや疥癬、マラセチア皮膚炎、皮膚糸状菌症、脂漏症などがありますが、ここでは柴犬がかかりやすい皮膚病をご紹介します。
アレルギー性皮膚炎
アレルギー性皮膚炎は、アレルギー症状を起こす物質(アレルゲン)が体内に入ったり、皮膚に接触した際に免疫が過剰に反応してしまい生じる皮膚炎です。犬のアレルギーには①食物アレルギー、②環境アレルギー、③ノミアレルギー、④接触性アレルギーなどがありますが、①〜③は特によく見られるため、「犬の三大アレルギー」とも呼ばれています。柴犬は上記の中でも環境アレルギーの好発犬種です。
①食物アレルギー
食物アレルギーは、食べ物に含まれるタンパク質が体内でアレルゲンとして認識されてしまい過剰な免疫反応が起こることで発症します。皮膚のかゆみのほか、嘔吐や下痢などの消化器症状も見られるのが特徴です。原因として挙げられることの多い食べ物には牛肉や鶏肉などの肉類、卵、乳製品、小麦、大豆などがあります。
症状が出やすい部位は顔回りや足先、背中、内股などです。どの年齢でも発症する可能性があり、皮膚のかゆみは季節に関係なく一年を通して見られます。
食物アレルギーを発症しやすい犬種は以下の通りです。
- パグ
- フレンチブルドッグ
- アメリカン・コッカー・スパニエル
- ミニチュアダックスフンド
- ミニチュアシュナウザー
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア など
三大アレルギーの中ではアトピー性皮膚炎(環境アレルギー)に次いで発症しやすいと言われており、食物アレルギーとアトピー性皮膚炎は併発するケースも多いと言われています。
②アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は花粉やハウスダストマイト、カビなどの環境抗原に対して免疫が過剰に反応することで発症します。比較的若い年齢(生後半年~3歳頃まで)の犬に見られることが多いです。体質や遺伝的な要素が大きく関係していると考えられており、生涯付き合って行く必要があります。
症状が出やすい部位は目や口の周り、脇、お腹、足の付け根、足先などで、左右対称に症状が見られるのが特徴です。皮膚を掻き続けてしまうことで脱毛や色素沈着による黒ずみが生じることもあります。
食べ物やノミ、細菌などが原因の皮膚炎はアトピー性皮膚炎ではありません。
好発犬種は以下の通りです。
- 柴犬
- シーズー
- トイプードル
- フレンチブルドッグ
- ミニチュアダックスフンド
- ゴールデンレトリバー
- ウエスト・ハイランド・ホワイト・テリア など
アトピー性皮膚炎について詳しくはこちらの記事で解説しています
③ノミアレルギー性皮膚炎
ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミに刺された際に体内に侵入したノミの唾液に対してアレルギー反応を起こし、発疹や激しいかゆみが生じる皮膚炎です。症状がひどくなると全身を掻くだけでなく、噛んだり地面に擦り付けたりする様子が見られるようになりますが、皮膚が傷つくことで脱毛や細菌感染を引き起こしてしまうケースもあります。
ノミの多くは暖かくなると活発になりますが、冬でも暖かい環境であれば繁殖するので1年を通して対策することが大切です。
※ノミアレルギー性皮膚炎は、ノミに刺されたこと自体が原因の単なるかゆみとは異なります。ノミアレルギーを持っている子はアレルギー反応が起き、全身に強いかゆみが生じますが、アレルギーを持っていない子は刺された部分のみの局所的なかゆみで済むことが多いです。
膿皮症
膿皮症は、皮膚に細菌が感染することで起こる皮膚病です。膿皮症の原因となる細菌のほとんどは「ブドウ球菌」と呼ばれる常在菌で、これは健康な犬の皮膚にも存在していますが、皮膚のバリア機能が弱まると、これらの常在菌が異常に増え、皮膚に炎症を引き起こします。主な症状は膿疱(膿が溜まった水泡)、皮膚の赤み、フケ、円形の脱毛、かさぶたなどです。放っておくと、状態が悪化し皮膚が硬くなったり、慢性的な炎症が続いて治りにくくなったりすることもあります。
皮膚のバリア機能の低下のほか、外傷や高温多湿な環環境、甲状腺機能低下症・副腎皮質機能亢進症などの内分泌疾患、免疫力の低下、不適切なスキンケアなども膿皮症を引き起こす原因として考えられています。
詳しくはこちらの記事をチェック!
皮膚トラブルを予防するためにできることは?
皮膚病の中には遺伝や体質が関わっているものもあるため予防が難しいこともありますが、中には対策することで予防できるものもあります。また、皮膚病を発症した場合でも、飼い主さんのケアで症状を緩和することも可能です。ここでは予防とケアのポイントをご紹介します。
ブラッシングとシャンプーで身体を清潔に
柴犬はダブルコートのため1年を通して抜け毛が多いです。特に年に2回訪れる換毛期ではアンダーコートが大量に抜けますが、抜けた被毛(死毛)を放っておくと皮膚が蒸れて皮膚トラブルに繋がる可能性があるので、こまめにブラッシングをして取り除いてあげるようにしましょう。ブラッシングは抜け毛対策だけでなく、皮膚の状態のチェックや細かいほこりなどの除去、血行促進の効果も期待できるのでおすすめです。
また、低刺激のシャンプーで身体を洗い、皮膚を清潔に保つことも皮膚トラブルの予防・ケアとして推奨されています。洗った後はしっかり保湿することも大切です。
ただし、これらのお手入れはやり方が間違っていたり頻繁に行ってしまうと逆効果になります。適切な頻度や手順を知ったうえで行うことで効果を得られるので、はじめはかかりつけ医に相談すると良いかもしれません。
柴犬は身体を触られることが苦手という子も多く、シャンプーを嫌がる子も多いです。子犬のころから身体に触られることに対して苦手意識を感じないようにするトレーニングをしておくことで日々のお手入れや健康チェックもしやすくなるので、ボディコントロールのトレーニングをはじめ、シャンプー、ブラッシング、爪切り、耳掃除、歯磨きなどのお手入れは早い段階から始めて慣れさせておきましょう。
ノミ対策をしっかりする
ノミアレルギー性皮膚炎は定期的に駆除剤を用いることで予防が可能です。ノミに刺されるたびにかゆみが強くなるため、複数回刺された犬は強いかゆみから掻きむしってしまいさらに症状が悪化するという悪循環に陥ってしまうことも珍しくありません。
ノミの活動が活発になる夏から秋にかけての季節だけ対策している、という飼い主さんもいらっしゃるかもしれませんが、冬でも快適な室温が保たれている家の中では繁殖するため、1年を通して対策をしっかり行うことが大切です。
ノミの駆除剤はスポットタイプ、経口タイプ、スプレーなどさまざまな種類があるので、かかりつけ医と相談して愛犬に合ったものを選んであげてください。
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アレルゲンの回避
柴犬に多くみられるアトピー性皮膚炎はハウスダストマイトや花粉など環境中に存在する物質がアレルゲンとなりますが、これらを完全に排除することは難しいですよね。そのため、できる範囲でこまめに掃除したり、花粉の飛散が少ない時間や日を選んでお散歩したりするように工夫しましょう。空気清浄機を活用するのもおすすめです。
食物アレルギー対策としては、アレルゲンが含まれているドッグフードを避けることも1つです。魚、馬肉、鹿肉などはアレルギーを起こしにくいと言われているので、これらが含まれているドッグフードを選ぶのも良いかもしれません。
また、特定のアレルゲンが蓄積されないように定期的にドッグフードを変える「フードローテーション」という方法もあります。ただし、急にフードを変えると下痢を引き起こす可能性があることや、同時にいくつかのドッグフードを開封することになるため鮮度の管理にも注意が必要です。
皮膚病は日頃の対策・お手入れが大切
柴犬は比較的身体が丈夫な犬種ではありますが、皮膚のバリア機能が弱い子が多く、遺伝的にもアレルギー反応を起こしやすいことから皮膚病を発症しやすいと言われています。
また、神経質な性格からストレスを敏感に感じ取ってしまい、身体を掻いたり舐めたりといった行動を取りやすいので、皮膚トラブルが起きている部位の状態が悪化してしまうことも珍しくありません。
日頃からノミ対策やブラッシング・シャンプーで皮膚を清潔に保つなど気を遣っていても、体質的に皮膚病を発症してしまうこともありますが、こまめなお手入れは症状を和らげたり悪化の予防に繋がります。
そして皮膚病に限らず怪我や病気を治すためには早期に発見して治療を開始することがとても重要です。普段から愛犬の様子をよく観察し、異変を感じたら動物病院で相談するようにしてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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