マルチーズを捨てたいと思っている人がいるって本当?考えられる理由は何?
マルチーズはJKC(ジャパンケネルクラブ)の犬種別犬籍登録頭数で2009年から2023年までの期間10位以内にランクインしているほど人気のある犬種です。愛玩犬としての歴史も古く、初心者でも飼いやすいと言われていますが、一方で「捨てたい」という意見も・・・。そこで今回は、なぜマルチーズを捨てたいと思ってしまうのか、その理由を探っていきたいと思います。
マルチーズを「捨てたい」と思ってしまう理由ってなんだろう?
真っ白な被毛とつぶらな瞳の愛らしい見た目に加え、穏やかで人懐っこい性格をしているマルチーズはよき家庭犬としてのポテンシャルが高く、日本では15年にわたって犬種別犬籍登録頭数10位以内にランクインするほどの人気を誇る犬種です。そんなマルチーズですが、なぜ捨てたいと思ってしまう人がいるのでしょうか?考えられる理由を見ていきましょう。
吠え癖・噛み癖
マルチーズは人懐っこい性格をしているものの、警戒心が強い一面もあり、知らない人や犬に対して吠えることがあります。気の強さも相まって、自分より大きな相手であっても攻撃的な態度をとることも珍しくありません。神経質で、些細な物音やインターホンのチャイムに反応して吠え続けてしまうこともあるので注意が必要です。
飼い主さんと十分なコミュニケーションが取れていない場合、構ってほしさから吠えたり、ストレスを感じて噛むようになることもあります。「飼いやすいと聞いていたのに手に負えない」「こんなはずじゃなかった・・」という理由で捨てたいと思ってしまうのかもしれません。
わがまま
マルチーズは飼い主さんに従順ではありますが、可愛さのあまり甘やかしてしまうとわがままになって言うことを聞かなくなることがあります。散歩やごはん、構ってほしいなどの要求に応えてしまうことで、吠えたり噛んだりすれば飼い主さんは自分の思い通りになると学習し、立場が逆転してしまうのです。このような状態になってしまった犬をしつけ直すにはかなりの根気が必要になるため、扱いに困ってしまい、「手放したい」という考えに至る可能性があります。
お手入れの大変さ
マルチーズの魅力の1つである純白の美しい被毛ですが、汚れが目立ちやすいので綺麗な状態を保つためには日々のお手入れが欠かせません。シングルコートなので抜け毛は少ないものの、被毛が絹糸のように柔らかいため、もつれないようできれば毎日ブラッシングをしてあげるのが望ましいです。ご飯を食べた後に口の周りが汚れることも珍しくないので、こまめに拭いてあげる必要もあります。
フルコートのマルチーズのお手入れは大変なので、お手入れを楽にするために短くカットする飼い主さんも多いですが、マルチーズの被毛は伸び続けるので、短い状態を維持するためには定期的にトリミングサロンに行かなければいけません。
また、マルチーズは涙やけを起こしやすいので目の周りのケアも重要になります。涙やけは涙が過剰に分泌されることで細菌が繁殖したり涙が酸化して被毛が変色してしまう状態を指すため、涙やけ自体は病気ではありません。しかし、何らかの眼疾患が原因となって涙やけを引き起こしてる可能性もあるので愛犬に涙やけが見られたら獣医師に相談するのが安心でしょう。
犬を飼うにあたって被毛のケアが必要になる犬種は多いですが、マルチーズの場合は丁寧なブラッシングや定期的なカットをしなければいけないので、「飼いやすい=お手入れが楽」だと思ってしまうと、「マルチーズのお手入れは思いの外大変で嫌になってしまった」ということも考えられます。
涙やけについてはこちらの記事をチェック!
経済面が理由の可能性も?
犬を飼うにあたってはさまざまな面でお金がかかります。小型犬は大型犬に比べると飼育グッズが安いので、深く考えず飼い始めてしまい、「想定外の費用がかかって生活が困窮してしまった」というケースもあるかもしれません。
小型犬であっても犬と一緒に暮らすのはお金がかかるものです。たとえば、1番初めにかかるのは犬自体にかかる生体費用ですが、その他にも初期費用として畜犬登録料やマイクロチップの変更手数料、さらに飼育にあたって必要なサークルやトイレトレー、ごはんなどの生活必需品を準備しなければいけません。
日々の生活の中ではドッグフードやトイレシートなどの消耗品は定期的に購入する必要があります。おもちゃや犬用ベッドなど、1度揃えたものであっても経年劣化が見られれば新調しなければいけません。さらに健康診断の費用や狂犬病・混合ワクチンの費用、ノミ・ダニ・フィラリアの予防薬代、マルチーズはこまめなカットが必要になるのでトリミング代も定期的にかかります。万が一に備えてペット保険に加入するのであれば月々保険料もかかってきます。小型犬であっても年間でかかる費用をざっと見積もっただけでだいたい20万ほどはかかるのです。
それだけでなく、愛犬にアレルギーの可能性があれば必要に応じて検査が必要となったり、外耳炎や骨折などで通院が必要になれば臨時で医療費もかかります。手術が必要になれば高額な治療費がかかってくるでしょう。
状況によっては避妊・去勢手術や妊娠出産などの費用、一時的にペットホテルに預ける費用、ドッグトレーナーなどにしつけの相談をする費用もかかりますし、愛犬がシニアになれば、生活環境を見直して整えたり、通院や介護費用がかかってくることもあります。
1度飼ったらそれで終わりではなく、愛犬が寿命を全うする日までお金がかかるということをしっかり認識しておくことが大切なのです。
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マルチーズを飼う際の注意点
マルチーズを飼いたいと思っている場合、あらかじめ留意しておかなければいけないことがあります。せっかくお迎えしたのに「捨てたい」と思ってしまうのは犬も人も辛いので、飼う前に知っておいてほしいことをご紹介します。
子犬期の社会化
マルチーズは警戒心が強いので、見知らぬ人や犬に対して警戒して吠えたり、聞きなれない音に恐怖を感じて吠えたりすることがあります。そのため、新しいことを受け入れやすい社会化期と呼ばれる時期にたくさんの経験をさせてあげることが重要です。そうすることで恐怖心から何に対しても吠えるということはほとんどなくなります。これはマルチーズに限った話ではなく全ての犬種に共通して言えることです。
子犬はワクチンを接種して免疫を獲得するまで自分の足で地面を歩いてお散歩に行くことができませんが、色々なことを吸収できる生後3週間~生後3ヶ月くらいまでの時期の経験は今後犬が人間社会で快適に暮らしていけるかどうかを左右する重要な時期になるので、獣医師に相談の上、抱っこやキャリーバッグなどで積極的に外の世界に連れて行ってあげましょう。
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甘やかさない
ふわふわの被毛にくりくりした瞳の可愛らしい姿から思わず甘やかしてしまいそうになりますが、いつも犬の要求に応えてしまったりわがままを許容してしまうと、言うことを聞かなくなります。マルチーズは賢く、気が強い一面も持ち合わせているので、飼い主さんよりも立場が上だと認識すると指示に従わなくなる可能性が高いのです。
そのため、どんなに可愛くなんでも叶えてあげたいと思っても、ダメなことはダメと教えましょう。本来マルチーズは飼い主さんに従順な性格をしているので、しっかりしつければとてもいい子に育ってくれるはずです。マルチーズのしつけは叱るよりも褒めることが大切なので、できたら思いっきり褒めてあげてください。
ただし、全ての犬種に同じしつけ方をして絶対にうまくいくかと言われたら、そうではないケースがあることも事実です。「楽しい日常を想像してお迎えしたのに、いざ一緒に暮らし始めたら思い描いていた生活と違う」となってしまうと飼い主さんも犬も辛いですよね。愛犬の行動に悩んでいる飼い主さんは、これまでの経験や知人などの話を聞いていろいろな方法を試して頑張っているけどうまくいかず困っている方だと思います。そんな時には、お金はかかってしまいますが、しつけ教室を利用したりプロのドッグトレーナーを頼ることも検討してみてください。
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こまめなお手入れが必要なことを理解する
シングルコートで被毛が伸び続けるマルチーズは、フルコートと呼ばれる床につくほどの長さにしないのであれば定期的にトリミングサロンでカットしてもらわなければいけません。最近では短くカットする飼い主さんが多く、フルコートのマルチーズを見たことがない人であれば短い姿がデフォルトで「お手入れが楽そう!」と思ってしまうかもしれませんが、本来は被毛が伸び続ける犬種であり、綺麗な被毛を維持するためにもこまめなお手入れが欠かせない犬種です。
短くカットしたとしてもブラッシングやシャンプーは必要なので、被毛を短くしたからと言ってお手入れしなくてもいいわけではなく、また短い状態を維持するために定期的にトリミングサロンに行かなくてはならないことをに留意しておきましょう。
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怪我に注意
小型犬の中でも超小型犬に括られることもあるマルチーズは怪我にも注意が必要です。骨が細いことで骨折や膝蓋骨脱臼になりやすいため、怪我をしないような環境づくりが大切になります。マルチーズは小柄ながらも活発なので転倒や落下には特に気をつけましょう。
犬を飼うときは犬種の特性をしっかり理解してから迎えよう
「一般的に飼いやすいと言われているから」、「見た目がかわいいから」、「小型犬は飼育が楽そうだから」などの理由で犬を衝動的に迎え入れる人は残念ながら少なくありません。
マルチーズは初心者でも飼いやすいと言われていますが、犬にも個体差があるので必ずどの子も等しく飼いやすいわけではないことを留意しておく必要があります。過去に同じ犬種と暮らしていた場合、「以前飼っていた子はそうではなかった」と比較してしまうこともあるかもしれませんが、犬種は同じでも性格まで全く同じわけではないのが生き物を飼う難しさの1つと言えます。
また、「飼いやすさ」の基準は人それぞれの部分もあるでしょう。散歩の時間が短い子がいいのであればマルチーズは飼いやすいかもしれませんが、抜け毛は少なくても毎日のブラッシングや定期的にトリミングサロンに行くのは面倒だと思うのであればマルチーズが飼いやすいとは言い難いです。
もしもお迎えした後に「捨てたい」と思ってしまった理由が、「言うことを聞かなくて手に負えない」ということであれば、まずはプロのドッグトレーナーやしつけ教室などを利用しましょう。すぐには変化が見られなくても、ちょっとした関わり方のコツで劇的に変わることもあります。
経済的な問題や健康上の理由などでどうしても飼い続けるのが難しい場合は、身近に引き取ってくれる人がいないか、また里親として育ててくれる人がいないかを探してください。
1度飼うと決めたのであれば本来であれば最期までお世話しなければいけませんが、それができないのであれば、最低限、飼い主としてできることは責任をもって次の犬の居場所を見つけることです。
犬を飼う前には犬種の特性を調べ理解し、お世話できる時間的・身体的余裕があるか、また経済的余裕があるかも考慮して、最期まできちんとお世話をするという覚悟を持って迎えてくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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