【獣医師監修】マルチーズの目の周りが赤いのは病気?考えられる原因とは
愛犬の目の周りが突然赤くなっていたら病気が原因なのではないかと不安になりますよね。マルチーズは被毛が白いので特に目立ちますし、なるべく早く原因を突き止め対策したいものです。今回はマルチーズの目の周りが赤くなっている場合に考えられる原因や病気の可能性はあるのかについてご紹介します。「愛犬の目の周りがなんだか赤い・・これって何が原因なの?」と気になっている方は参考にしてみてください。
犬の目の周りが赤くなる原因はなに?
犬の目の周りが赤くなっている際に考えられる原因はいくつかあります。1つずつ見ていきましょう。
アレルギー
何らかのアレルゲンが原因で皮膚が炎症を起こし、目の周りが赤くなることがあります。遺伝的要因が背景として考えられる「アトピー性皮膚炎」を抱えている子や、食物アレルギー、その他さまざまな物質によって引き起こされるアレルギーによって、目の周りの発赤や脱毛・抜け毛の増加、ひどく痒がるなどの症状が見られます。
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涙やけ
マルチーズに多いのが涙やけです。涙が常に目から溢れ(流涙症)、目の周りが濡れたままになっている状態が続くことで、涙が酸化したり、紫外線を浴びたり、細菌が繁殖して赤茶色に変色し色素沈着してしまうため、目の周りが赤くなります。涙が過剰に産出される原因は先天的なものから後天的なものまでさまざまです。マルチーズをはじめとする小型犬や被毛の長い犬によく見られます。
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怪我
高所からの落下や何かに衝突した、他の犬と遊んでいるときの物理的な刺激などの外傷のほか、耳や頭を掻こうとして目の周囲を掻いてしまうことで目の周りが赤くなることもあります。また、同居の犬が目の周りを執拗に舐めて赤くなってしまったというケースも。
病気の可能性はある?
犬の目の周りが赤くなっていた場合、上記のような理由のほかに、病気が原因である可能性も0ではありません。どんな病気が考えられるのでしょうか?
結膜炎
結膜炎は結膜(まぶたの裏側にある膜)が炎症を起こす病気で、目の充血や目やにが増える、涙が過剰に分泌される、目の周りが赤くなるなどの症状が見られます。
結膜炎の原因はアレルギーや感染症(細菌・ウイルス、寄生虫)、異物による物理的な刺激など多岐にわたり、どんな犬でも発症する可能性があります。
結膜炎は放置すると重症化して角膜まで炎症を起こし、角膜炎を併発するケースもあるので、目が充血している、涙が止まらないなどの様子が見られたら動物病院に連れていきましょう。
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角膜炎
角膜は目の1番表面にある透明の層のことで、外傷や感染症、眼瞼内反症やまつ毛による慢性的な刺激などが原因となって角膜炎を発症することがあります。目の表面が白く濁ったり、血管新生(※)、充血などが見られるほか、不快感や痛みから目を気にして擦ってしまい、目の周りが赤くなることも。病状が進行したり、角膜についた傷が深くなると角膜潰瘍となるケースも珍しくありません。
どんな犬でも発症する可能性はありますが、被毛が長く慢性的に目に刺激を受けやすいミニチュアシュナウザーやシーズー、目が大きく短頭種のチワワ、パグ、フレンチブルドッグなどは特に注意が必要です。
放っておくと視力の低下や失明してしまうこともあるので、早期発見できるよう日頃から愛犬の目をチェックするようにしましょう。
※本来角膜に血管はありませんが、傷の修復や保護のために血管が角膜に伸びる反応のことを指します。
眼瞼炎
眼瞼炎はまぶたの周りが炎症を起こしてしまう状態で、目の周りが腫れ、痒みや痛みを伴うため、しきりに目を擦る様子が見られます。進行すると目の周りの毛が抜け化膿することも。放置すると慢性化して治りにくくなるほか、まぶたにできたかさぶたによって目が開かなくなるケースもあるので、早期発見・早期治療に繋げたい病気です。
アレルギーや流涙症、外傷のほか、真菌(カビ)感染・細菌感染や寄生虫感染、虫刺され、 一部の腫瘍、免疫介在性によるものなど、さまざまな原因によって発症します。
発赤が見られたらどうしたらいいの?
愛犬の目の周りが赤いと気づいたときに飼い主さんがすべきことはなんなのでしょうか?
かかりつけ医に相談しよう
愛犬の目の周りが赤くなっている場合、運動後に血行が良くなっていて赤みを帯びているケースなどを除いて、様子を見ていてよくなることはほぼありません。時間が経過するごとに症状が悪化してしまうケースも珍しくなく、痛みや痒みから掻いて悪化してしまう可能性も十分考えられます。
ご紹介してきた通り、目の周りが赤くなる原因はさまざまです。原因を突き止め適切な処置をするためにも、自己判断はせず、なるべく早い段階で動物病院を受診しましょう。
予防方法はある?
できることならあらかじめ防ぎたいものですが、予防策はあるのでしょうか?
■アレルギー
犬がアレルギーを起こす原因はさまざまなので、完全に予防することは難しいですが、目の周りだけでなく、口周りや足先、腋、鼠径部、肛門周囲などの発赤や痒み、下痢や軟便などの症状を伴っている場合には何らかのアレルギーである疑いがあるため、その他に症状が見られないかを注意深く観察するようにしてください。
すでにアトピー性皮膚炎が疑われる場合には、いち症状として目の周りの発赤が現れるケースもあるため、全身的な治療が必要になると考えられます。
また、ノミ・ダニが原因となってアレルギーを引き起こすこともあるので、日頃からノミダニの予防をすることも大切です。ただし、屋内に生息しているダニ(ハウスダストマイト)の「ふん」や「死がい」に反応するアレルギーの予防にはならないので、ノミダニの予防をしていても、ふんや死がいに反応するアレルギーを起こす可能性があることを留意しておきましょう。
アレルゲンとなる可能性のある物質がないか知りたいという場合には、「リンパ球反応検査(どの食材にアレルギー反応を示すのか特定する検査)」や「アレルゲン特異的IgE検査(アレルギーを起こす原因物質を特定する検査)」などのアレルギー検査を受けてみてもいいかもしれません。
■涙やけ
涙が過剰に産出される先天的な原因は、眼窩(眼球が入っている窪みの部分)が浅い場合や、目から鼻にかけての涙の通り道である鼻涙管が狭い場合など多岐にわたり、これらは予防が難しいですが、まつ毛などによる眼球への刺激や眼瞼内反症などが原因となって流涙症を引き起こしているという場合には、適切な処置を施したり手術などで改善するケースもあります。(沈静や麻酔が必要になるので、愛犬の状態によっては手術を行わないこともあります)
また、過剰な涙は細菌の繁殖や炎症の原因となるため、清潔で柔らかい素材のガーゼなどでこまめに拭き取ってあげることで予防できることもあります。
マルチーズは被毛が伸び続ける犬種なので、被毛が目に入って涙が出ていないかをこまめにチェックし、栄養バランスの良い食事と適度な運動を意識した健康的な生活を心がけましょう。結膜炎や角膜炎などの病気を引き起こしていないか日頃から愛犬の様子をよく観察しておくことも大切です。
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■怪我
マルチーズは飼い主さんのことが大好きな甘えん坊な性格をしています。そのため、膝の上でくつろいでいたり、飼い主さんの後ろをついて歩くこともあるでしょう。その際に落としてしまったり、蹴っ飛ばしてしまわないように気をつけてください。
また、フローリングは滑りやすく、転んで目をぶつけてしまうこともあるかもしれません。滑り止めのマットを敷いたり、肉球に貼るタイプの滑り止めシールなどを活用して転倒を防止しましょう。愛犬が近くにいるときには特に行動に注意することや、安全な環境づくりが怪我の予防に繋がります。
■結膜炎・角膜炎・眼瞼炎
これらの病気は原因が多岐に渡るため、完全に予防することは難しいです。日頃から愛犬の目の状態をよく観察し、充血している、目やにが増えた、涙が常に出ているなどの様子が見られたらすぐに動物病院に連れていきましょう。
愛犬の目の周りが赤いと思ったら
犬の目の周りが赤い場合に考えられる原因はさまざまです。犬は結膜炎や角膜炎を発症する確率が高く、マルチーズは涙やけの好発犬種のため、まずは何が原因となっているのかを突き止めることが最優先となります。
なるべく早い段階で適切な治療をするためにも、愛犬の目の様子に異変を感じたらかかりつけ医に相談してくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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