愛犬との水遊びは【水中毒】に要注意。原因や症状、対策方法について
暑い日の水遊びはとっても気持ちがいいですよね。それは犬たちも同様で、プールや川、湖で泳ぐことが大好きなわんちゃんは多いもの。最近では、1年中泳げる犬用プールを設置しているドッグランなども増えてきて、水遊びが大好きな犬たちにはうれしい限りです。しかし、ここで気をつけなければいけないのが「水中毒」です。今回は、水の飲み過ぎから起こる水中毒(低ナトリウム血症)について詳しく解説します。
目次
「水中毒」ってどんな症状?
実際に水中毒という名前の病気はなく、正確には低ナトリウム血症という病態です。
水中毒は塩分の含まれていない水を短時間で大量に摂取することで血液中のナトリウム濃度が下がり、低ナトリウム血症を起こしてしまいます。これによって筋肉や神経、様々な臓器に影響が及び、中毒症状がでるのが「水中毒」です。
これは、犬だけではなく人間にも発症する可能性があり、手遅れになると命に関わることがあることから、夏になると注意喚起が行われていますが、まだまだその認知度は低いと言えるでしょう。水辺で遊ぶことが好きな犬にとって、いつどこで起こるかわからない水中毒。まずは、水中毒の危険性について解説します。
犬の命に関わる低ナトリウム血症
水中毒とは、大量の水分を摂取することによって起こる中毒症状のことを指します。大量の水分によって、体内の水分量が過剰な状態になると、排泄量を上回ってしまいます。大量におしっこをしたところで、摂取した水分を排泄しきれない状態と言えます。この状態になると、血液が水で薄まり、血液中のナトリウム濃度(塩分濃度)が正常値より低下、真水に近い状態となることが低ナトリウム血症です。
水遊びのあとにこんな症状が出たら要注意
低ナトリウム血症では、お腹がふくれる、大量のおしっこをする、フラフラする、元気がなくなる、大量のよだれが出る、嘔吐、呼吸が荒くなる、瞳孔が開くなどの症状を起こします。さらに最悪の場合は、痙攣、意識がなくなる、昏睡など重篤な脳浮腫を起こし死に至ります。
犬が1日に必要な水分量とは
最近では熱中症の危険性が声高に叫ばれ、特に暑い日には犬も水分摂取を心がけていることも多いのではないでしょうか。1日に犬が必要な飲水量(水分量ではなく、飲む水の量)は、体重の40〜60mlと覚えておくと計算しやすく、体重1kgにつき100mを超えた場合は過剰であると言われています。
5kgの犬で200〜300ml、ペットボトルにすると1本の半分程度の量が適量とされていますが、食事の種類(ドライ・ウェット)によっても異なるため、だいたいの目安として覚えておくことがおすすめです。また、運動量が多い場合には、これより増えることもあります。
「水中毒」の原因とは
犬が水中毒を起こす原因は水遊びのしすぎです。久しぶりに水辺に行った時や暑い日は特に、犬があまりに楽しそうにしているために、日頃の運動不足解消とばかりに飼い主も夢中になって水遊びをさせてしまいます。これが、水中毒の原因となるのです。
水をパクパクする犬は要注意
海外の動画でよく目にするのが、ホースで犬に水をかける遊びがあります。犬は、勢いよく放水されている水を口で捕まえようとパクパクして遊びます。波立つ水や動く水は犬にとって興味の対象です。ボールやフリスビーをキャッチするのと同じ感覚で、水をキャッチしたくてたまらないのです。しかし、物体との大きな違いは、水はキャッチできないというところにあります。そのため、キャッチしたい犬は何度もパクパクを繰り返すことになり、気がつかないうちに大量の水分を摂取してしまうのです。
水場でのレトリーブの危険性とは
プールや湖などで、ボールや流木を投げて持ってこさせる遊びは、犬が大好きな遊びです。何度も何度も、飽きることなくレトリーブを繰り返す犬が多く、飼い主も要求されるがままにボールや流木を投げてしまいがち。
実は、犬はボールや流木などをくわえて泳いでいる時に、水が口から胃に流れ込みます。犬としても、喉が渇いて水を飲んでいるわけではないため、水を飲んでいるという感覚が薄いのかもしれません。レトリーブをしている時に、無意識で大量の水を飲んだ結果、過剰な水分摂取となるのです。
水中毒を防ぐためにできること
そうはいっても、犬は水遊びが大好きです。そこで、まずは休憩させることを念頭に置くことが重要です。水場でのレトリーブ遊びは、犬の大小もありますが、15分程度で一度休憩させることを目安にしましょう。もちろん、これはあくまでも目安の時間です。超小型犬の場合は、もっと頻繁に休憩させることを心がけてください。
湖や川へ行く時は、最寄りの動物病院を事前に確認しておく
山の中にある清流や湖は、犬も人も気持ちの良いところ。しかし、人里から離れれば離れるほど、携帯電話の電波が通じない場合があります。また、近くの市町村に動物病院があるとは限りません。そのような場所へ行く場合は、もしもの時の備えとして、最寄りの動物病院をあらかじめ調べてから出かけることをおすすめします。
ボールの代わりにフリスビーを使用する
何かを投げて遊ぶ場合は、なるべく口を大きく開けずにくわえられるものにすることがおすすめです。特に、ボールは大きく口を開けるため、大量の水を摂取してしまう可能性があり水中毒のリスクが高まります。ボールの代わりとなるフリスビーなど口を大きく開けずにくわえられる平らなおもちゃを水遊び用に用意しておくことがおすすめです。
運動後に水分を沢山与える場合は・・・
運動後は水をがぶがぶ飲むワンちゃんも多いと思います。そんな場合は一緒に塩分を与えることも水中毒の予防に有効的です。最近ではナトリウムなどの塩分を含んだワンちゃん用の経口補水液や水に溶かして使うパウダーも販売されているので、水の代わりに使うと良いでしょう。ネット通販にもペット用の経口補水液が売られています。
ペット用の経口補水液は手作りも可能です。
【経口補水液の材料】
・水:500ml
・砂糖:大さじ3(約20g)
・塩:小さじ1/6 (約1g)
材料を全てよくまぜて出来上がりです!
手作りは腐りやすいので、冷蔵庫に保存して早めに飲み切るようにしてください。
普段の飲み水には適していないので、常飲ではなくあくまでも水を沢山飲む状況の時の予防の1つとして考えましょう。できれば、販売されている経口補水液の方がオススメです。
なお、人間用のスポーツドリンク(ポカリスエットやアクエリアス等)は糖分を多く含んでおり、飲みすぎると糖尿病や腎臓病の原因になる可能性があるので飲ませないようにしましょう。
様子がおかしいと感じたらすぐに獣医師へ相談を
水中毒は、いつどこでどんな犬が起こすかわかりません。健康な犬や若い犬ほど、飼い主は油断しがちです。また、興奮しやすい犬、ボールジャンキーの傾向がある犬の場合は、いつも以上に注意が必要です。もし、水から上がってきた犬の足元がふらついている、呼吸が異常に荒い、よだれが大量に出ているなど、いつもと少しでも違うと感じたら、様子を見るのではなく、すぐに動物病院へ連れて行き「水中毒」の可能性があることを獣医師に伝えてください。
「水中毒」に注意して楽しい水遊びを
水遊びは犬にとってとても楽しい遊びの一つです。犬が嬉しそうにしていると、飼い主としてもついついサービスしていつも以上にボールを投げてあげたくなるもの。しかし、過度な水遊びは命取りになりかねません。川や湖で多くの悲劇が起こっていることも事実です。水中毒の危険性を知っている・知らないとでは、対処のスピードが変わります。ぜひ、この記事を参考にして、水中毒に十分注意して楽しく水遊びをさせてあげてください。
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この記事のライター
nao
「愛犬の気持ちを理解したい」「寄り添ったコミュニケーションを取りたい」という思いからドッグライターとして犬に関する知識を学び、発信しています。愛犬の笑顔を守るために、そして同じ思いを抱く飼い主さんのために、有益な情報を発信していけたらと思っています。
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