【獣医師監修】犬の食事は1日何回が適切?ライフステージごとの目安と注意点

お気に入りに追加

犬の食事回数は1日あたり何回が適切なのか疑問に思ったことはありませんか?犬は年齢によって必要な栄養素の量やエネルギー量が異なるため、ライフステージに合わせた栄養管理や食事管理がとても大切になります。ここでは、子犬期・成犬期・シニア期に分けて、食事回数の目安や注意点について解説します。

【獣医師監修】犬の食事は1日何回が適切?ライフステージごとの目安と注意点

目次

  1. 【子犬期】食事回数の目安と注意点
  2. 【成犬期】食事回数の目安と注意点
  3. 【シニア期】食事回数の目安と注意点
  4. 食事量や回数は愛犬の様子をよく観察して決めましょう

    【子犬期】食事回数の目安と注意点

    子犬 ボール
    Tanya Gorelova Pexels

    子犬は消化機能が未熟であり、成長にもエネルギーを必要とするため、他のライフステージと比べて食事の与え方に配慮が必要です。

    1日に食事を与える回数

    成長期の子犬は、多くの栄養やエネルギーを必要とします。食べるスピードも速いですが、子犬の胃袋はまだ小さく、消化管の機能もまだ未発達です。一度に多くの食事を与えてしまうと消化不良を起こし、吐いてしまったり、軟便、下痢ぎみになることがあるので、回数を3〜5回に分けて与えましょう。

    低血糖症に注意

    生後3ヶ月ぐらいまでの子犬には低血糖症が多くみられます。例えば空腹時間が長いときや身体が冷えたとき、感染症にかかったときなどに低血糖の症状を発症します。

    離乳していない幼犬の場合、たった数時間ミルクを飲まないだけで低血糖症を起こしてしまうことがあります。離乳した子犬であっても半日食事を摂らないだけで低血糖症を起こす子もいます。少なくとも4〜6時間おきにはごはんを与えましょう。

    成長途中で食べるスピードが緩やかになる

    生後5〜6ヶ月頃までは成長が著しく食欲も旺盛ですが、成長が落ち着くと食べるスピードが緩やかになったり、食事を残すようになることがあります。飼い主さんは「食事に飽きてしまったのかな」と考えるかもしれませんが、必要なエネルギー量が減ってくる、満腹中枢が発達する、胃や腸の消化機能が発達して一度に食べられる量が増えてくるなどの理由のため、これは自然なことなのです。

    あまり食べないからといってフードを嗜好性の高いものに変えたり、おやつを与える必要はありません。偏食の原因にもなるので、食事はむやみに変えないようにしましょう。

    【成犬期】食事回数の目安と注意点

    犬 待て
    Ryan Klaus Pexels

    成犬になると身体の成長が緩やかになるため、食事の与え方も変わってきます。

    1日に食事を与える回数

    生後半年を過ぎると消化機能が発達してくるため、食事回数は1日2〜3回が適正になります。フードのパッケージに記載された1日分の給与量を2〜3回に分けて与えましょう。

    ただし、与える子の運動量や飼育環境によって必要になる食事量が異なるので、様子を見ながら決めていきましょう。

    1日1回の食事は良くない?

    ひと昔前までは、食事は1日1回で十分という考え方もあったようです。しかし、犬は食事の時間をとても楽しみにしていますし、1日1回の食事では次のような弊害が起こることも考えられます。

    • 空腹時間が長くなることで、胃液の分泌が過多になり、吐いてしまう
    • 一度にたくさんの量を食べることで、胃腸に負担がかかる
    • 食欲の有無を1日1回しか確認できず、食欲低下などの体調の異変に気付くのが遅れる

    不妊手術後は肥満に注意

    避妊・去勢手術をすると、繁殖に必要なエネルギーを消費しなくなるため、基礎代謝量が低下します。ホルモンの変化により食欲の増進や代謝の変化が起きるので、手術前と同じ量のごはんを与えてしまうと太ってしまうことがあります。

    体重が増えてしまうようであれば、フードの量を減らしたり、低カロリーの体重管理用フードへの切り替えを検討しても良いでしょう。

    【シニア期】食事回数の目安と注意点

    老犬
    rebaspike Unsplash

    シニア期になると身体の機能が低下し、食欲にも変化が見られることがあります。

    1日に食事を与える回数

    シニア期の食事も基本的には1日2回で問題ありませんが、年齢と共に消化機能が少しずつ衰え、食事を残すようになることがあります。今まで与えていた量を一度に食べきれないようであれば、食事回数を1日1回に減らすのではなく、1日分の食事を3~4回にして、小分けの分量で与えましょう。

    食事を食べにくそうにしていたら?

    老犬になると食事の際に咬む力や飲み込む力が弱くなり、食べにくそうな姿が見られることがあります。食べにくそうであれば、小粒のドライフードに変えたり、ドライフードをふやかして与えたり、ウェットフードを与えても良いでしょう。

    食欲が落ちているときは、病気の可能性も

    食欲が低下している場合、老化による消化機能の低下だけでなく、歯周病や目に見えない内臓部分での異変、腫瘍など何らかの病気が原因の可能性も考えられます。食欲の無い日が続いたり、いつもと違う様子がみられるようであれば、早めに動物病院を受診しましょう。

    食事量や回数は愛犬の様子をよく観察して決めましょう

    ごはんを食べている子犬

    食事の回数のおおよその目安は、子犬期が3〜5回、成犬期が2〜3回、シニア期が2〜4回です。これはあくまでも目安の回数であり、その子の活動量や身体の機能による個体差があるため、様子を見ながら与える量や回数を決めましょう。適切かどうかの指標となる、排便の状態や体重の定期的なチェックもとても重要です。適切な食事管理で、愛犬の健康を守ってあげてくださいね。

    こちらの記事もチェック

    【獣医師監修】犬が遠吠えをする理由|遠吠えの意味と対策

    あわせて読みたい

    【獣医師監修】犬が遠吠えをする理由|遠吠えの意味と対策

    犬が本能的な行動として行う「遠吠え」。自宅のベルや夕方のチャイムが聞こえると遠吠えをする子がいますよね。 自分の居場所を仲間に知らせる、コミュニケーションを図っているとも言われますが、実は他にも理由があります。住宅事情のことを考えて遠吠えをやめさせたいと考えている方がいる一方で、小型犬が遠吠えする動画が人気を集めるなど、犬の遠吠えに対する見方も様々です。 そこで今回は、犬が遠吠えをする理由や心理状態などを詳しく解説していきます。

    【獣医師監修】うなぎは愛犬に与えても良い?期待できる効果や適切な量、食べさせる際の注意点まで

    あわせて読みたい

    【獣医師監修】うなぎは愛犬に与えても良い?期待できる効果や適切な量、食べさせる際の注意点まで

    うなぎといえば、土用の丑の日に食べる食材というイメージが強いですよね。ビタミンAやビタミンB群が豊富で、疲労回復や食欲増進に効果があるとされています。そんな栄養豊富なうなぎは食欲が落ちた愛犬に食べさせても良いのでしょうか?また、人間と同様の効果は期待できるのでしょうか? 今回は、うなぎの有効な栄養素や与える量の目安、与える際の注意点などを紹介していきます。

    choco

    この記事のライター

    choco

    シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

    獣医師監修に関する記事

    【獣医師監修】大型犬に多い股関節形成不全症について知っておこう|原因・症状・診断方法から治療方法まで

    健康管理/病気

    【獣医師監修】大型犬に多い股関節形成不全症について知っておこう|原因・症状・診断方法から治療方法まで

    「股関節形成不全」という病気をご存じですか?大型犬が多く発症し、遺伝的な原因と環境的な原因があ...

    2023年12月4日

    【獣医師監修】犬の貧血について|免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の症状・原因と治療法を解説します

    健康管理/病気

    【獣医師監修】犬の貧血について|免疫介在性溶血性貧血(IMHA)の症状・原因と治療法を解説します

    人間と同じように、犬も貧血になることがあります。犬の貧血の原因はさまざまで、治療により回復する...

    2023年11月29日

    【獣医師監修】知らぬ間に進行していることもある犬の膵炎(すいえん)について。普段の生活から気をつけたい予防法とは

    健康管理/病気

    【獣医師監修】知らぬ間に進行していることもある犬の膵炎(すいえん)について。普段の生活から気をつけたい予防法とは

    今までに、愛犬が腹痛や嘔吐、下痢を起こして、もしかしたら膵炎かも?と心配された経験はありますか...

    2023年11月22日

    【獣医師監修】命に関わる危険性も。犬に多い病気「胆泥症」について解説します

    健康管理/病気

    【獣医師監修】命に関わる危険性も。犬に多い病気「胆泥症」について解説します

    犬に比較的多く見られる「胆泥症(たんでいしょう)」という病気をご存知でしょうか?はっきりとした...

    2023年11月15日

    【獣医師監修】犬のしゃっくりの原因とは。自宅でできる対処法を紹介

    健康管理/病気

    【獣医師監修】犬のしゃっくりの原因とは。自宅でできる対処法を紹介

    みなさんは愛犬がしゃっくりをしているのを聞いたことがありますか?私たち人間はなにかの拍子にしゃ...

    2023年10月26日

    もっと見る

    関連するキーワード

    カテゴリー

    人気記事ランキング

    Petan独自調査

    獣医師監修記事

    おすすめ記事

    人気のキーワード