【獣医師監修】犬の鼻は健康のバロメーター。乾燥・鼻水・鼻血などの症状から考えられる病気を紹介
皆さんは愛犬の鼻が“乾いているな”または“湿っているな”と気にされたことはありますか?犬の鼻は通常は適度に湿り気を帯びている部分ですが、何らかの原因により体調を崩した場合、鼻が乾燥してしまったり、鼻づまりを起こすことがあります。
症状によって鼻の状態は変わるので、発現している症状から考えられる病気を知っておきましょう。今回は、愛犬の健康状態を把握し異変に気がつくことができるよう、犬の鼻に見られる、不調なときの症状や病気について解説します。
犬の鼻の機能と役割
犬の鼻と聞いて真っ先に思いつくのが、ニオイを嗅ぎとる優れた能力ではないでしょうか。
犬は、鼻の奥にある嗅上皮(きゅうじょうひ)という部分でニオイを感知し、その嗅覚は人間の1,000~1億倍優れていると言われています。
また、犬の鼻は、体温調節の役割も担っています。犬の体には汗を分泌する汗腺が少なく、主に鼻と肉球から汗を蒸発させています。汗などの水分で鼻を湿らせ、気化熱によって体にこもった熱を下げているのです。
さらに、犬の鼻腔の粘膜には線毛と呼ばれる細かい毛が生えており、一定方向になびく線毛運動により細菌やウイルス、ホコリなどが身体に侵入するのを防ぐ働きもしています。
犬の鼻に見られる症状から考えられる病気
愛犬の鼻が乾燥していたり、出血や腫れなどが見られたりする際は、何らかの病気が疑われます。犬の鼻に見られる症状と考えられる病気について見ていきましょう。
鼻づまり
鼻づまりを起こして呼吸が辛そうな場合には、以下の病気が考えられます。
アレルギー性鼻炎
アレルギー性鼻炎はハウスダストや花粉、ダニ、カビ、特定の食べ物などのアレルゲンにより鼻炎を発症するものです。アレルギー性鼻炎になると、アレルゲンを排出するために最初は鼻水がよく出ますが、炎症が進むと鼻がつまることがあります。
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鼻腔狭窄症(びくうきょうさくしょう)
鼻腔狭窄症は、鼻腔が狭いことで呼吸がしづらくなる病気です。フレンチブルドッグやパグのような、もともと鼻腔が狭い短頭種によく見られます。鼻づまりをはじめ、暑くもないのにハアハアと荒い呼吸をしたりといった症状が現れます。
犬の鼻が乾燥している
通常、犬の鼻は適度に濡れていますが、睡眠中や運動後などに一時的に鼻が乾燥することがあります。しかし、病気が原因で鼻が乾燥する場合もあるので注意が必要です。
発熱
熱中症や体内の炎症などによって発熱が起こると、鼻が乾燥することがあります。鼻の乾燥だけでなく、呼吸が荒い、身体を触ると熱いなどといった点もチェックするようにしましょう。
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脱水症状
下痢や嘔吐を繰り返すと、体内の水分が失われて脱水症状を起こし、鼻が乾燥することがあります。
脱水症状についてはこちらの記事で解説しています
鼻をグーグー鳴らす
犬がグーグーと鼻を鳴らしながら呼吸をしづらそうにしている場合は、以下の病気が疑われます。
軟口蓋過長症(なんこうがいかちょうしょう)
軟口蓋過長症とは、先天的に上顎の奥にある軟口蓋が長く、空気の通り道を塞いで呼吸がしづらくなる病気です。呼吸がスムーズにできないことから、グーグーと鼻を鳴らしながら呼吸をしたりします。肥満だとより呼吸に負担がかかるほか、重症になると呼吸困難に陥ることもあります。
特発性鼻炎
原因が特定できない特発性鼻炎により鼻がつまり、呼吸をするたびにグーグーと鼻が鳴ることもあります。特発性鼻炎は、吸入性のアレルゲンや鼻腔の常在菌などが関与していると考えられています。効果的な治療法は確立していないので、症状を緩和する治療が行われます。
鼻から出血が見られる
鼻から出血が見られるときは、以下の病気が考えられます。
歯周病
重度の歯周病になると、歯の根元から鼻の中に菌が侵入して炎症が起き、鼻血や膿が混じった鼻水が出るようになります。
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免疫介在性血小板減少症(めんえきかいざいせいけっしょうばんげんしょうしょう)
鼻から出血が見られる場合は、免疫介在性血小板減少症の可能性もあります。免疫介在性血小板減少症は、免疫異常により血を止める役割をする自分自身の血小板を破壊し、血が止まりづらくなり、出血傾向を示す病気です。かかりやすい犬種は、シーズーやペキニーズ、トイプードル、ダックスフンドなどの小型犬や短頭種が挙げられます。
鼻が腫れる
犬の鼻が腫れているときは、アレルギー(ワクチン後や食物に反応するアレルギー)や鼻腔腫瘍(びくうしゅよう)の可能性があります。
アレルギー
混合ワクチン接種後や食物に反応してアレルギーを起こすことがあります。アレルギーが原因で片側または両側の鼻が腫れてしまうことがあります。
鼻腔内腫瘍
鼻腔内腫瘍は、鼻腔や副鼻腔に発生する腫瘍のことです。鼻腔内腫瘍ができると鼻の腫れのほか、鼻出血や鼻水などの症状が見られます。鼻腔内腫瘍の約8割は悪性と言われており、中〜高齢で鼻の長い犬種に見られることが多い傾向にあります。
愛犬の鼻がいつもと違うと思ったら獣医師へ相談を
犬の鼻は健康のバロメーターで、体調が悪いときは乾燥などの不調のサインが出たりします。普段から愛犬の様子を観察するよう心がけ、異変に気づきやすくしておくことが大切です。
もし、いつもと比べて愛犬の鼻の状態がおかしいと感じたときは、早めに獣医師の診察を受けるようにしましょう。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!