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【獣医師監修】愛犬に下痢や血便の症状が見られた時の対処法は?あわせて知りたい原因や治療方法も

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動物病院を受診される方には、愛犬の便に関する症状にお悩みの方が多くいらっしゃいます。特に下痢は来院される理由として非常に多い印象です。また、下痢とは別あるいは同時に、血便が生じることがあります。愛犬が下痢や血便をしていたら、飼い主さんとしてはとても心配になりますよね。

本記事では犬の下痢や血便について、原因や治療法などを解説していきます。

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目次

  1. 下痢や血便が見られた時に犬の身体に起きていること
  2. 犬の下痢・血便の原因と検査方法
  3. 愛犬に下痢・血便が見られた時の治療方法について
  4. 愛犬の様子に異変を感じたらすぐに獣医師へ相談を

下痢や血便が見られた時に犬の身体に起きていること

寝ている犬
PicsbyFran

下痢や血便が生じたとき、犬はどういった状態なのでしょうか?その症状や原因についてご紹介します。

下痢のとき、犬の身体には何が起きているの?

下痢という状態は、水分含有量が増加し、通常よりも柔らかい便や液体状の便を排泄することを指します。

また便の中の水分含量により、軟便、泥状便、水様便に分類されます。下痢を起こす多くの病気では、腸の分泌過剰、透過性の亢進(こうしん)、腸の蠕動(ぜんどう)運動の変化など、さまざまな原因により糞便中の水分が増加します。

腸の分泌過剰は、腸の細菌疾患で多く見られ、その結果、腸粘膜の水分分泌と吸収のバランスが崩れ、水分を吸収する能力を持つ腸の吸収能力を上回る過剰分泌により下痢になってしまいます。

透過性の亢進は、腸の中に非吸収性の物質が増加することにより、腸管内の浸透圧が上昇して起こります。

運動性の変化は、亢進であれば、水分の吸収が妨げられ、十分な消化が受けられないために、細菌の発酵産物により腸管内容物の浸透圧の上昇や腸管の刺激を招き、糞便の水分含有量が上昇します。逆に低下すると、消化管内細菌の変化が生じ、異常発酵となり粘膜刺激が引き起こされます。

血便とは?

血便は赤い色調の「鮮血便」、真っ黒い「タール状便」に分けられます。一般に上部消化管(胃や小腸など)での出血は、黒色便(タール状便)、下部消化管(大腸や肛門付近)での出血は鮮血便となります。

犬の下痢・血便の原因と検査方法

寝ている犬
sweetlouise

診断の流れ

獣医師が下痢の動物を診るときに、まずは問題の部位が「小腸なのか大腸なのか」を鑑別します。

小腸性下痢の場合、糞便量が著しく多く、排便回数も多く見られます。未消化物が見られることもあります。また、それに伴って嘔吐や体重減少、脱水も見られることがあります。

それに対して大腸性下痢は、いわゆる我々が想像する「下痢」のことで、糞便量は正常かやや増加する程度で、排便回数が著しく増加し、排便の姿勢を何度も取る「しぶり」と呼ばれる症状が見られます。嘔吐や体重減少は少なく、ゼリー状の粘液が付着していることも多いです。

また、下痢の診断をする際は、症状が出たばかりの急性なのか、長期間症状が出ている慢性なのかも聴取します。

これらは飼い主さんの話から判断をしていきますので、普段から愛犬の様子をしっかり観察して、気づいたことは記録しておくことがポイントとなります。

原因となるのは?

多くの急性小腸性下痢は、『感染症』『中毒』『膵炎』などが疑われます。また、『食べ過ぎ』『早食い』『ゴミあさり』などが原因で一時的に消化不良を起こした場合にも認められます。

体調があまり悪い様子はなく、下痢のみの症状が見られるとき、慢性小腸性下痢であれば、消化液を分泌する膵臓が上手く働かない膵外分泌不全・寄生虫症・甲状腺機能亢進症・腫瘍性疾患・炎症性腸疾患などの免疫介在性疾患、食物に含まれるアレルゲンが原因の食物アレルギーなどが疑われます。

急性大腸性下痢は感染症が疑われることがあり、慢性大腸性下痢は寄生虫性・腫瘍性疾患・免疫介在性疾患などが疑われます。

下痢に対する検査法は?

疑われる病気によっても違いますが、まずは糞便を顕微鏡で観察し(検便)、腸内細菌叢の乱れがないかや寄生虫感染の有無を確認する糞便検査を行います。

飼い主さんの稟告や糞便検査の結果により、必要に応じて膵炎や膵外分泌不全などを診断するための血液検査、腫瘍性疾患などを見つける目的のレントゲン検査や腹部エコー検査を行います。また消化不良などを疑い、まずは症状に対して対症療法を行うこともあります。

愛犬に下痢・血便が見られた時の治療方法について

薬を飲んでいる犬

下痢や血便にはさまざまな原因があり、その治療法は多岐にわたります。それぞれの原因に対する治療はここでは割愛し、一般的な治療のみご紹介します。

実際の治療方法について

下痢は体液の漏出なので点滴がメインになります。また小腸性下痢の多くは細菌性が多いので、抗生物質も併用して二次感染を防ぎます。消化管の運動機能の亢進がみられそうなら、ベルベリンなどの消化管の動きを押さえる薬を使用します。腸粘膜の保護と修復を目的に整腸剤や消化器疾患用の処方薬を使用することもあります。

愛犬の様子に異変を感じたらすぐに獣医師へ相談を

犬

ご紹介したように、下痢や血便の原因は非常にさまざまなものがあります。飼い主さんの自己判断で治療を行うことは、的外れな治療だったり、あるいは逆に悪化を招いたり、重篤な病気を見落とし手遅れになるような可能性があります。愛犬に下痢や血便があったら、早めに近くの動物病院を受診して、適切な検査や治療を受けさせてあげてくださいね。

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choco

この記事のライター

choco

シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!

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