トイプードルの交配にタブーはある?掛け合わせる際の注意点やリスク
トイプードルをパートナーとして飼っている人の中には、いつか愛犬の子どもが見たいと思っている飼い主さんもいるのではないでしょうか。大好きな愛犬の子どもともなれば、愛おしさは倍増しますよね。しかし、トイプードルの交配にはタブーが存在するのです。ここでは、トイプードルを交配させるにあたってタブーとされている掛け合わせについて解説していきます。
トイプードルの交配における注意点
まずはじめに、トイプードルを交配させる場合の注意点について知っておきましょう。
交配適齢期
交配にあたっては両親犬の年齢が生後9ヶ月と1日以上経っていないといけません。この年齢に満たない犬の交配は早期繁殖とみなされ、JKCから子犬の血統証明書が発行されないのです。
身体への負担を減らすためにも、メス犬は初めての発情を避け、2回目以降での交配が理想とされています。人間と同様、6歳以降(※)、いわゆる高齢期に入ってからの出産は難産や先天性疾患などのリスクを伴うので、2~5歳が適正時期です。オス犬は性成熟を迎えていれば、いつでも交配が可能となります。
※動物愛護法の改正により繁殖年齢や繁殖回数に制限が設けられ、交配時の年齢は6歳以下、生涯出産回数は6回までとなりました。
母犬の健康
交配にあたっては父犬はもちろんですが、なにより母犬が健康でないといけません。人間と同じで、健康な身体でないと健康な子犬が生まれるわけがありませんよね。母犬の身体が十分に成長し、精神的にも落ち着いてくる上記の年齢が、出産におけるリスクが低いと考えられています。
出産には体力が必要であり、身体にも負担がかかります。そのため、健康な犬であっても交配・出産には命の危険が伴う可能性があることを心に留めておきましょう。
事前の遺伝子検査
トイプードルに多い遺伝性疾患を知っておくことも大切です。遺伝子検査では、生まれ持った性格や遺伝性疾患が分かります。犬種によって発症しやすい疾患は異なりますが、遺伝子検査の結果、発症のリスクがないと分かることは安心に繋がりますし、発症のリスクがあったとしても事前に分かればあらかじめ備えることができます。
■トイプードルに多い遺伝性疾患
- 進行性網膜萎縮症(PRA)
- 白内障
- フォンウィルブランド病(vWD)
- 膝蓋骨脱臼(パテラ)
- アレルギー性皮膚炎
- 変性性脊髄症(DM) など
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■遺伝子検査における発症リスクの分類
- クリア:遺伝性疾患の原因遺伝子を持っていない
- キャリア:遺伝性疾患の原因遺伝子を1つ持っている※発症する可能性は疾患により異なる
- アフェクテッド:遺伝性疾患の原因遺伝子を2つもっており、発症する可能性がある
<参考>JKC:遺伝子疾患について考えよう|遺伝子疾患と交配
出産についてはこちらの記事で解説しています
その他の注意事項
上記以外にも、
- 極近親繁殖にならないようにする
- 同期複交配とならないようにする
- 体高がスタンダードの範囲内である
- ブラウン以外は鼻の色が黒である
- 攻撃的な性格でない
- ミスカラーは避ける
など、留意しなければいけないことはたくさんあります。ミスカラーについては次項で解説します。
また、ブルセラ病や犬ヘルペスといった伝染病、ノミ・ダニやトリコモナスなどの寄生虫病によって交配ができないこともあります。
<参考>JKC:よくある質問|交配を行う際に、注意すべきことを教えてください
トイプードルの交配のタブーとは?
トイプードルは掛け合わせるうえで避けた方が良い毛色の組み合わせがあります。絶対に避けなければいけないというわけではありませんが、好ましくない組み合わせでの交配にはリスクがあるとされているのです。
避けるべき組み合わせ
■レッド/アプリコット
■シルバー/グレー/ブルー/シルバーベージュ
■ホワイト/ブラック
■ブラウン
■クリーム
リスクのある組み合わせ
■シルバー
■ホワイト
■グレー/ブルー
■シルバーベージュ
トイプードルは同色同士の掛け合わせが原則となります。その場合であれば、健康な子犬が生まれることがほとんどであるからです。異なる毛色の組み合わせで交配させると視覚障害が起こる可能性があります。
毛色の他にも、マール遺伝子をもつ個体同士の掛け合わせやミスカラーである場合も好ましくないとされています。
マール遺伝子とは
部分的に色素を抑制する働きがある遺伝子で、被毛の一部が極端に薄くなったり白くなり、まだらな模様を作りだします。メラノサイトが作り出すメラニン細胞は色素を生成しますが、マール遺伝子はこのメラニン細胞が全身に行き渡らないように働きかけます。そのため、上述したように、毛色にまだらやブチが見られたり、瞳が青くなるのです。瞳が青い子は視力がとても悪いか、盲目であることが多いと言われています。
また、メラニン細胞は内耳にも存在していますが、メラニン細胞が全身に正常に分布していない場合、難聴となることもあります。
マール遺伝子を持つ個体同士の交配は、生まれてくる子犬に遺伝した場合、視覚障害や聴覚障害、心臓疾患などの先天性疾患や障害を抱えるリスクが高くなるので、避けるべきとされているのです。しかし、見た目の綺麗さや珍しさからあえて繁殖させる悪徳なブリーダーも存在しています。
マール遺伝子を持っているかどうかは、遺伝子検査をしないと分かりません。マール遺伝子を持つ個体同士の交配は死産が多く、生まれてきたとしても障害を持って生まれる傾向が強いとされています。健康な子どもが生まれてくるようにするには、このようなリスクがある掛け合わせは避けなければいけません。
ミスカラーとは
トイプードルは単色が犬種スタンダードとされていますが、ミスカラーは、スタンダードとして認められている毛色に他の違う色が混ざっていることを指します。胸元や足先、尻尾に現れることが多いですが、その原因ははっきりとは判明していないようです。
ただし、毛色が混ざっているというだけで遺伝子的に何ら問題があるわけではありません。繁殖にあたっては犬種スタンダードを守るという意味でミスカラーは推奨されていませんが、一緒に暮らすうえでは特段悪いことはないのです。
【参考】今後のトイプードルの毛色の取り扱いについて
現在、10色がトイプードルのスタンダードとして認められています。しかし、犬種標準の改正に伴い、トイプードルの血統書の毛色が一部のカラーにおいて変更になることがJKC(ジャパンケネルクラブ)より発表されています。
現在認められている毛色
- レッド
- アプリコット
- シルバー
- グレー
- ブルー
- シルバーベージュ
- ホワイト
- ブラック
- ブラウン
- クリーム
従来から名称が変更になる毛色
- 「レッド」→「レッド・フォーン」
※「レッド」でも登録は可能。ドッグショーに出る場合は「レッド・フォーン」で登録。
- 「アプリコット」→「オレンジ・フォーン」
※「アプリコット」でも登録は可能。ドッグショーに出る場合は「オレンジ・フォーン」で登録。
- 「クリーム」、「シャンパン」→「ペール・フォーン」
※「クリーム」や「シャンパン」でも登録は可能。ドッグショーに出る場合は「ペール・フォーン」で登録。
- 「カフェ・オ・レ」→「ブラウン」または「ペール・フォーン」
※「カフェ・オ・レ」でも登録は可能。ドッグショーに出る場合は「ブラウン」または「ペール・フォーン」で登録。
- 「シルバー」→「グレー」
※「シルバー」でも登録は可能。ドッグショーに出る場合は「グレー」で登録。
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今後スタンダード外とされる毛色
「ベージュ」、「シルバー・ベージュ」、「ブルー」はスタンダード外として扱われることになり、血統書の毛色の欄が×印の記載対象となります。
※「ベージュ」:スタンダード内の毛色である「ペール・フォーン」との区別を厳格に行うこと。
※「シルバー・ベージュ」:スタンダード内の毛色である「グレー」や「ペール・フォーン」との区別を厳格に行うこと。
※「ブルー」:スタンダード内の毛色である「ブラック」や「グレー」との区別を厳格に行うこと。
トイプードルの交配は慎重に
犬の交配は遺伝子や毛色の組み合わせなどさまざまなことに留意しなければならないので、知識がないまま交配させるのは避けるべきです。また、健康な犬であっても必ず健康な子犬が生まれてくるとは限りません。
健康な子犬が生まれるようにするためにも、犬種標準を守るためにも、交配においては信頼できるプロのブリーダーに相談しましょう。また、生まれてきた子犬たちのことも考えておく必要があります。里親が見つからなかった場合、すべての子を愛情をもってお世話できる環境や体力、時間、経済的な余裕があるのかも含めて検討してくださいね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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