柴犬がかかりやすい病気が知りたい|原因と予防法を知って健康管理しよう
かつて日本の山岳地帯で狩猟犬として活躍していた歴史を持つ柴犬。当時は外飼いされることがほとんどだったことから環境の変化への順応性が高く、比較的身体が丈夫で長生きする傾向にある犬種です。しかし、そんな柴犬にもかかりやすい病気は存在します。愛犬に少しでも健康で長生きしてもらうためには、どんな病気にかかりやすいのかを知り、日頃から予防に努めることが大切です。本記事では柴犬がかかりやすい病気と飼い主さんができることについて解説していきます。
柴犬がかかりやすい病気ってどんなものがあるの?
身体が丈夫であることから病気に強いと言われることも多い柴犬ですが、それでもかかりやすい病気はあります。日頃から予防・対策できるよう、柴犬がかかりやすい病気について知っておきましょう。
アレルギー性皮膚炎
犬も人間と同じでアレルギーを発症することがありますが、人がくしゃみや鼻水、目や皮膚のかゆみなどの症状が出るのに対し、犬の場合、主に皮膚に強く症状が出るため、「アレルギー性皮膚炎」と呼ばれます。アレルギー性皮膚炎にもいくつか種類がありますが、柴犬に特に多いと言われているのがアトピー性皮膚炎で、次いで食物アレルギー性皮膚炎です。これらのアレルギーを持っている犬は外耳炎を発症しやすくなると言われています。
アトピー性皮膚炎
ハウスダストマイトや花粉、カビなどの環境因子に対してアレルギー反応を起こし生じる皮膚炎です。主な症状は皮膚のかゆみで、顔回りや脇、お腹、足の付け根などに出やすく、左右対称に症状が見られます。高温多湿の時期や花粉が多く飛散する時期などに症状が悪化するケースも少なくありません。
生後半年~3歳くらいまでの比較的若い年齢で発症することが多く、完治が難しいため生涯に渡る治療が必要になることがほとんどです。アトピー性皮膚炎の原因は、遺伝的にアレルゲンに対して反応しやすい体質であることや皮膚のバリア機能が弱い(低下している)ことが関係していると考えられています。
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食物アレルギー性皮膚炎
食物アレルギーによる皮膚炎は、特定の食べ物に対して免疫が過剰に反応することで引き起こされます。皮膚のかゆみに加えて、下痢や嘔吐などの消化器症状も見られるのが特徴です。
1歳未満から発症することが多いですが、どの年齢でも発症する可能性があります。季節に関係なく1年を通して症状が見られ、アトピー性皮膚炎と併発することも多いです。
犬が食物アレルギーを起こしやすい食べ物として、牛肉、鶏肉、ラム肉、卵、トウモロコシ、小麦、乳製品などが挙げられます。
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外耳炎
外耳炎は耳の入り口から鼓膜までの外耳部分に炎症が起きる病気です。耳ダニなどの寄生虫、アトピーやアレルギー、異物混入、細菌・真菌(カビ)などの繁殖などが主な原因だと言われています。上記のほかに、構造的に耳の中が蒸れやすい垂れ耳の犬や、耳の中の毛の量が多い犬は外耳炎になりやすいです。
頭を振る、耳垢の量が増える、耳からニオイがする、耳を頻繁に掻く・床に擦り付けるなどの様子が見られます。
外耳炎自体は命に関わる病気ではなく、犬では比較的よく見られる病気です。しかし、再発しやすく、放っておくと悪化して中耳炎となったり慢性化して症状がひどくなってしまうこともあります。
膿皮症
膿皮症は皮膚のバリア機能や免疫力の低下、過剰なシャンプーや誤ったブラッシングなどの不適切なスキンケア、高温多湿な環境、外傷、内分泌疾患などが原因となり、皮膚の常在菌であるブドウ球菌が異常に増殖して皮膚に感染を起こし、炎症が生じる皮膚病です。
主な症状は膿疱やフケ、脱毛、皮膚の赤みなどで、梅雨から夏にかけての高温多湿になる時期によく見られます。食物アレルギーやアトピー性皮膚炎などの病気によって引き起こされている場合、膿皮症が改善してもアレルギーやアトピーが治っていないとこれらが誘発因子となり再発するケースも少なくありません。
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認知症
犬の長寿化に伴い、発症する割合が増えているのが認知症です。はっきりとした原因は分かっていないものの、加齢や脳の病気などにより認知機能が低下することで発症するのではないかと考えられています。
夜鳴きや昼夜逆転、ぐるぐると同じところを歩き回る、名前を呼んでも反応しない、トイレの失敗が増えるなどの様子が見られますが、歳を重ねたことによる行動の変化と似ている症状もあり、発見が遅くなってしまうケースも多いです。
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白内障・緑内障
白内障は、水晶体が白く濁り徐々に視力が低下していく病気です。人間の場合、加齢性のものが大半ですが、犬の場合は多くが若年性だと言われています。そのため、シニア期に入ったらよく見られるというよりも、6歳未満で発症し進行していくというケースも少なくないようです。
白内障の原因はほかの病気が引き金となるもの、外傷によって引き起こされるもの、糖尿病や甲状腺機能低下症などの代謝異常によって発症するものなどさまざまで、糖尿病になった場合はほぼ100%の確率で白内障を発症します。また、まれに先天的であることもあります。
若年性の白内障は短期間で重症化してしまうこともあるので、早期の発見と治療が重要です。
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緑内障は、眼房水という目の中にある液体がうまく排出されず溜まってしまうことで眼圧が上昇し、目の痛みや視界の狭窄、視力の低下を引き起こす病気です。
遺伝的に眼房水の出口が狭いことでうまく排出できないケースのほか、目の中の腫瘍や炎症などにより眼房水の排出が妨げられて発症するケースが考えられます。また稀ではありますが、先天性のものもあります。慢性的に眼圧の上昇が続くと目が突出したり、失明してしまうこともあるので、早期発見と治療が視力を守るカギです。
病気を予防するためにできることはある?
人間と同じで、犬も高齢になればなるほど病気のリスクは高まりますが、愛犬になるべく健康なシニアライフを送ってもらうために飼い主としてしてあげられることはたくさんあります。毎日の健康チェックやお手入れは怪我や病気の予防だけでなく、早期発見に繋がることも多いです。ここでは、柴犬がかかりやすい病気を予防するために飼い主さんが普段の生活の中でできることの一例をご紹介します。
定期的に健康診断を受診しよう
愛犬の様子が普段と違うということに気が付くことができるのは飼い主さんだけですが、目に見えないところで病気が進行していることもあります。そのため、半年に1回健康診断を受診するのがおすすめです。私たちと比べて犬は歳を重ねるスピードが早いので、半年に1回でも多すぎるということはありません。
どんな病気でも早期発見、早期に治療を開始することが大切なので、定期的に健康診断を受診するようにしましょう。
アレルゲンと接触する機会を減らそう
柴犬は遺伝的にアレルギーを発症しやすい体質であることや皮膚のバリア機能が弱いことからアレルギー性皮膚炎を発症しやすいと言われています。
体質や遺伝が原因の場合はなかなか予防は難しいですが、アレルゲンとなりやすい食べ物が含まれているドッグフードやおやつを避ける、こまめに掃除したり空気清浄機を活用してハウスダストマイトや花粉などのアレルゲンと接触する機会をできる範囲で減らすなどの工夫をしましょう。
耳のチェックを習慣にしよう
立ち耳の犬は垂れ耳の犬と比べて外耳炎になりにくいと言われていますが、外耳炎を発症する原因の1つにアトピー性皮膚炎があり、アトピーになりやすい柴犬にとって実は要注意な病気です。
日頃から愛犬の耳をよく観察し、耳垢の量やニオイ、赤くなっていないかなどをチェックしましょう。立ち耳は通気性は悪くはないですが、お散歩中に砂埃などの汚れが入ってしまったり、木の枝や葉っぱなどで耳の中が傷ついてしまうことがあるため、お散歩中に草の中などにズンズン入っていかないよう状況に応じてコントロールすることも必要です。シャンプーをした際には耳の中に水分が残らないよう拭き取り、しっかり乾かすようにしてください。
できる範囲でイヤーローションを使ったお手入れをしたり、必要に応じて耳毛の量を調整することも大切ですが、無理に行ったりやり方が間違っていると耳の中を傷つけてしまい、それが原因となって外耳炎となってしまうこともあるので注意が必要です。自宅で行うのが難しいという場合には、耳のお手入れをしてくれるトリミングサロンや動物病院に相談しましょう。
基本的に耳垢は自然に排出されると言われているため、耳垢が増えたと感じた時には進行していることも多いと言われています。頭をよく振る、地面やソファに擦り付けているなどの様子が見られたら外耳炎の可能性があるので、なるべく早く動物病院に連れていきましょう。
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ブラッシング・シャンプーで清潔な身体をキープ!
日々のブラッシングやシャンプーは皮膚のバリア機能を助け、皮膚トラブルを防ぐ効果が期待できます。ダブルコートの柴犬は日頃から抜け毛が多いので、こまめなブラッシングで身体に死毛が残らないようにしてあげることが大切です。ブラッシングには抜けた被毛を取り除くだけでなく、くっついたノミやダニなどの除去、皮膚への適度な刺激による血行促進などの効果もあります。
また、身体に付着したアレルゲンを落とすために定期的にシャンプーをすることもおすすめです。ただし、過剰なシャンプーは逆効果になるため、やりすぎないように注意してください。シャンプーは低刺激性のものを使うのが望ましいですが、何を使うかや頻度、やり方についてはかかりつけ医と相談して決めるとよいでしょう。
乾燥予防や皮膚のバリア機能を保つために、保湿も合わせて行ってあげてくださいね。
刺激のある日々を過ごそう
柴犬は長生きする子が多いため、相対的に認知症になりやすい犬種として知られています。ノミダニ対策とは異なり、これをやっておけば必ず防げる!という方法はありませんが、普段の生活の中で脳への刺激を与えることが大切だと考えられています。シニアになると寝ている時間が増えますが、お散歩の時間は必ず設ける、知育玩具で遊ぶ、ほかの犬や人と触れ合う機会を作るなど、単調な日々にならないように工夫しましょう。
また、DHAやEPA、ビタミンCなどの脳機能をサポートする栄養素が含まれた食事やサプリメントを取り入れることも認知機能の低下を防ぐ効果があるのではないかと期待されています。
紫外線対策と外傷に気をつけよう
白内障や緑内障は効果的な予防法はなく、いかに早期の段階で気づき進行を遅らせるかが重要です。ただし、白内障は長時間強い紫外線を浴びせないようにする、外傷に気を付けるなど日頃から意識することで発症を抑えられる可能性はあります。
柴犬は白内障になりやすい犬種ですが、飼い主さんが早期のステージ1や2の段階で気づくことは困難だと言われているので、若いうちから定期的に眼科検診を受けるようにしましょう。
一方で柴犬に多い原発性緑内障は遺伝が関係しているのではないかと考えられているものの、はっきりとした原因が分かっていないため、予防は困難です。しかし、片方の目が緑内障になった場合、将来的にもう片方の目も緑内障になる可能性が高いとされているため、緑内障を発症していない方の目の予防・治療が行われます。
ぶどう膜炎や白内障、網膜剥離、水晶体脱臼、腫瘍などが原因となって引き起こされる続発性緑内障の場合、これらの病気を早期に発見し治療を行うことがカギとなります。
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日頃からの予防と早期発見が大切
柴犬は身体が丈夫で病気に強いと言われていますが、一方で皮膚病や認知症の好発犬種としても有名です。中には予防が難しいものもありますが、日頃からのお手入れや健康チェックなどの習慣が発症のリスクを抑えてくれる可能性はあります。
そして病気は早期発見がとても重要です。1年に2回健康診断を受けるのは多すぎると思うかもしれませんが、わたしたちよりも早いスピードで歳を重ねていく犬にとっては決して多すぎる回数ではないのです。
また、柴犬は身体が丈夫なため、どこか不調があっても我慢してしまう傾向にあるとも言われています。早期発見することで症状の悪化を防いだり症状の緩和が期待できることも多いので、健康診断と合わせて、普段から愛犬の様子をよく観察するようにし、すぐに異変に気づけるようにしたいですね。
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この記事のライター
choco
シェルティとの生活に憧れる社会人です。みなさんの愛犬との暮らしがより豊かになるような情報を発信できたら、と思っています!
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